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おすすめ映画感想|『聖なる犯罪者』(2021/ヤン・コマサ監督)『パラサイト 半地下の家族』と肩を並べて第92回アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートされた作品!

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『聖なる犯罪者』のあらすじと概要

過去を偽り聖職者として生きる男の運命を描き、ポン・ジュノ監督『パラサイト 半地下の家族』と肩を並べて第92回アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートされたポーランド発の衝撃的な人間ドラマ。ポーランド=フランス合作のポーランド語。

19歳の青年が、ある小さな村で実際に神父を装い、結婚式をはじめ、洗礼や葬儀も行っていたというのだ。村の人々にも気づかれず、むしろ親しまれていた彼は、完全に神父の仕事に魅了されていたという”事件”-

少年院に服役中のダニエルは、そこで出会った神父の影響で熱心なキリスト教徒となった青年でした。前科者は聖職に就けないと知りながらも神父になることを夢見ていました。

仮釈放され田舎の製材所で働き始める予定だった彼は、ふと立ち寄った教会で新任の司祭と勘違いされ、司祭の代わりを命じられてしまいます。村人たちは司祭らしからぬ若いダニエルに戸惑いを感じますが、徐々に彼を信頼するようになっていきます。

一年前にこの土地で起きた7人もの命を奪った凄惨な自動車事故を知ったダニエルは、村人たちの心の傷を癒やそうとやがて大胆な模索を開始します。しかしながら、突如ダニエルの過去を知る男の出現により、事態は思わぬ方向へと急展開していくことになります。

主演のバルトシュ・ビィエレニアが、少年院出身のダニエルと司祭トマシュという正反対の人物像を緊張感たっぷりに演じる。

監督は「ヘイター」「リベリオン ワルシャワ大攻防戦」のヤン・コマサ。

内容的には全く違いますが、イーサン・ホーク主演映画『魂のゆくえ』牧師が主演となっている映画の投稿記事:魂のゆくえ 映画 巨匠ポール・シュレイダー監督作品レビュー

『聖なる犯罪者』のスタッフとキャストについて

JasiuuによるPixabayからの画像

ヤン・コマサ監督:1981年ポーランドのヴィエルコポルスカ県ポズナニ生まれ、初監督した短編映画『Fajnie, ze jestes』(英題『Good, You’re Here』、04年)が第57回カンヌ国際映画祭シネファンデーション・コンペティション部門で高く評価された。長編デビュー作『Suicide Room』(11年)はポーランドの新世代が直面するインターネット中毒を生々しく描き、第61回ベルリン国際映画祭パノラマ部門に正式出品された。

バルトシュ・ビィエレニア(主演 ダニエル/トマシュ司祭役):7歳の時、舞台「星の王子様」で主役としてデビューする。2014年から2017年まで国立スタリー劇場に所属し、「エドワードⅡ世」「リア王」「ハムレット」などの舞台に出演した。

映画の中で徐々に彼が少年院に入れられた理由等は分かってきますが、背景・生立ち・家族などの詳細な描写は一切ありません。唯一の救いを神に求めている孤独な少年。

エリーザ・レチェムブル(マルタ役):アンナ・カゼヤク監督の「The Promise」で映画デビューを果たす。ヤツェク・ルシンスキ監督作「Carte Blanche」、アン・フォンテーヌ監督作「Innocent」などに出演している。

牧師の娘役、兄を交通事故で亡くす。ダニエルに心惹かれる。

『聖なる犯罪者』のネタバレ感想

Bronisław DróżkaによるPixabayからの画像

少年院の中の冒頭の凄惨な暴力シーンには驚愕させられました。また、全く聖職者になる為の教育も受けていなければ、資格も無い筈なのに、立派に偽司祭として役割を果たしていく様子が実に不思議な映画でした。

ネットの紹介記事ではポーランドでは結構偽の聖職者事件というのは頻繁に起こっている事件という事らしいです。牧師に証明書の提示を求めるような信者はそう多くはない様です。成りすましになろうとすればそれ程厳格な審査も無く、しっかりした本人の信心さえあればいいのかもしれません。

繰り返しになりますが、主人公ダニエルの少年院内部での生活が前半とラストで描出されますが、かなりおぞましい暴力シーンで、彼が成りすました聖職者の世界とは全く両極端の世界です。両極端の世界の中でひとりの人間が主人公となり、現実的に生活しているということ自体に驚きを感じました。昨日まで聖職者(のふり)だった人物が、今日は少年院の中では命がけの死闘をするなんて、、、

聖職者の衣服には威厳があるので、着替えた瞬間”聖職者”らしく見えてしまうところが、恐ろしい所。また、ダニエルは教育はそれ程十分に受けてはいないけれど、思考力、常識的な判断力はある事から、村の信者から、いとも簡単に信頼を獲得してしまいます。

それにしても、他の欧米系映画とは一味も二味も異なる、世相を色濃く反映した舞台が映画の題材になっています。非常に重苦しい雰囲気の中、ストーリーが進行します。

本作品を観賞するには少しだけ疲労感を伴うでしょう。しかし、たまにちょっと違った新鮮な空気の映画に触れるのもいいものです。

 

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