『白い恐怖』のあらすじ概要
アルフレッド・ヒッチコックが「汚名」(46)に先立って監督した1945年度スリラー映画。フランシス・ビーディングの原作を「汚名」と同じくベン・ヘクトが脚色しました。「精神分析」がメインテーマとなっている作品です。
バーモント州のグリーンマナー精神科医院『緑の園』の新しい病院長に就任したエドワーズ博士は、白地に縞のある模様を見ると発作を起こす奇妙な病癖を持っていました。やがて彼はエドワーズ博士とは別人であることが発覚します。本物のエドワーズ博士はどこにいるのかわからぬまま、疑いの目は「彼」に向けられますが、病院の勤務医で、「彼」と愛し合うようになっていたコンスタンスは「彼」の無罪を信じ、2人は協力して発作の原因である「彼」の記憶をたどっていくことになります・・・
シュールレアリスムの巨匠S・ダリの協力によるイメージシーンが話題を呼んだそうです。さらに、バーグマンの絶頂期の作品と言われ、美貌と演技力がともに十分発揮されている作品と言われています。
1945年製作/111分/アメリカ
原題:Spellbound(原題には「魔法にかかった」「魅了された」「うっとりした」などの意味があります)
ロッテントマト批評家支持率:85%
『白い恐怖』のスタッフとキャストについて
アルフレッド・ヒッチコック監督:
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イングリッド・バーグマン(コンスタンス・ピーターソン):精神科病院で働く精神分析医。恋愛過多の患者の診察は不可能と言われる程仕事一辺倒の女性。しかしながら、ジョンを一目見た瞬間に一目惚れしてしまいます。厳格な精神分析医として彼を見る事が出来ず、恋する女性として彼を信じるようになります。「カサブランカ」でハンフリー・ボガードに「君の瞳に乾杯」と何度も言わしめた美貌は健在です…
スウェーデン出身。バーグマンは本作『白い恐怖』(1945年)、『汚名』(1946年)、『山羊座のもとに』(1949年)と、3本のアルフレッド・ヒッチコックの監督映画作品に出演しています。
グレゴリー・ペッグ(ジョン・バランタイン「彼」):ハリウッドを代表する俳優ですが、当時は映画デビュー2年目の若手。記憶喪失者役を好演、時々白と黒の縞模様を見るたびに思い出す”悪夢の様な記憶”の断片が彼を苦しめます。
ウィリアム・ワイラー監督による『ローマの休日』の新聞記者役を演じた際にはオードリー・ヘプバーンの才能をいち早く見抜き、ヘプバーン本人を含めスタッフに様々な助言をし、映画を大成功に導いています。なお、「ローマの休日」、アカデミー賞を受賞しています。
『白い恐怖』のネタバレ感想・見どころ
ネタバレ有り、閲覧ご注意!
原題Spellbound(「魔法にかかった」…)とは全く違った意訳「白い恐怖」は、やはり原題に近い翻訳の方が良かった様な気がしました。
以前、男性に興味を示さなかった真面目で堅物の精神分析専門の女医コンスタンスがある男性ジョンと会った瞬間、恋に堕ちてしまうという展開でした。周囲からは散々あなたは前途洋々とした将来のある女医であると、何度も繰り返し言われます。本心は何やら胡散臭い男とは関わりになるなという親切心からでした。しかし、周囲のアドバイスには一切聞く耳を持たず、ひたすら女性としての直観だけを頼りに彼を完全に信じ込んでしまいます。恋は盲目を地で行っていました。
最後まで、本物のエドワード博士に成り替わっている男ジョンの正体がはっきりせず、もしかすると殺人犯ではないかという嫌疑も有りましたが、真相は全く分かりません。夢判断も大きく役に立ち、徐々に彼の周囲に何が起きていたのか解明されていきます。また、彼の記憶・トラウマなども断片的に思い出されていきます。
スキー場のシーンにはびっくり仰天しました。エドワード博士が実際転落した崖が目前に迫ります。夢に出てきそうな崖っぷちにあるコースです。こんな危険極まりないスキーゲレンデが存在する訳はないと思いますが…流行のバックカントリースキー(山スキー)で行くのであれば話は別ですが…(ま、そんな野暮な話はさておき…)コンスタンスもジョンも危機一髪で崖っぷちで急停止し九死に一生を得ていました。本作でもっとも恐怖を感じた場面ではないかと思います・・・
しかも、その後エドワード博士は背中を銃撃されていたという事実が明らかになり、様相は複雑化し、意外な展開になって行きます・・・
また、絶世の美女も理性を欠き、恋に堕ちることもある事を知りました。これは少し驚きでした…
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