武当山は道教の聖地、中国武術武当拳の発祥地です。周囲400㎞、72峰が連なる広大な山地、主峰は天柱峰(標高1612㍍)、山中には7世紀の唐代より道観(道教寺院)群が建設始められ、宋・元・明代の拡張・消失、再建などを経て、現在その数130の古建築が残っている。
日本では映画「グリーン・デスティニー」や「ベスト・キッド」の舞台となったことで、有名になった山です。
山岳信仰の他の山々としては、
世界遺産 廬山国立公園と中国丹霞・龍虎山 現地観光バスツアー
などがある。
「武当山古建築物群」へのアクセス
- 1日目 :20:16長沙東駅発 ➢ 21:49武漢駅着 (新幹線 G1134)武漢泊
- 2日目 :7:10武漢市内 ➢ 武当山 (現地ツアーバス) 武当山泊
- 3日目 :武当山発 ➢ 20:59武漢発 ➢ 22:32長沙東駅着 (新幹線 G505)
武当山は武漢の西北400㌔(車で高速道路他で4時間)、武漢は長沙の北方300㌔に位置する。
当初武当山に行くのは電車で行くか、それともバスツアーで行くか悩みました。武漢、武当山間の距離は400㌔もあり高速バスで行っても4時間以上掛かります。今回は列車の方が便利で楽ではないかとも悩んでいました。
武当山は中国の代表的な国営自動車会社である東風汽車の生産拠点がある十堰市に近いので、交通アクセスは比較的整備されているのではないかと思っていました。
当然十堰までは新幹線が開通していると思い込んでいました。しかし、新幹線はまだ、武漢までしか開通しておらず、武漢から先は在来線の利用になります。列車利用でも乗り換え時間も含めれば5,6時間も要する計算でした。
最終的にいつもの通り、武漢出発のバスツアーに参加申し込みをしました。実際、C-trip(携程)の多くのツアーが武漢から在来線列車利用するツアーも組まれていました。列車に乗る場合は乗車券の購入・受け取り(手配は旅行会社が代行してくれますが)が面倒臭さそうなので、結局長時間のバス乗車を我慢することとし、乗り換える必要の無いバスツアーの方に参加する事にした経緯があります。
片道400㌔の距離は高速道路を利用したとしても4時以上掛かります。往復800㌔ののバスの乗車は正直今回はうんざりしましたが、、、
「武当山古建築物群」の概要
武当山と聞いてピンとくる日本人は余りいないではないでしょうか。わたしも湖南省長沙に来るまで全く名前すら知りませんでした。太極拳と同じような武術である武当拳も盛んであると聞きましたが、こちらもどんな武術か全く知りません。
しかし、隋唐時代より道教の道士が修業をする場所であり、武当山は明代からは中国五岳の上位に置かれる扱いを受ける程重要な道教の本山となり厚い信仰を受けています。
1994年に古建築群が世界文化遺産として登録をされました。また、天頂殿(山頂直下に建てられている金殿)は1416年に建設されており、中国最高地点に建設されている純銅製建築物という事です。建物そのものは想像よりもやや小ぶりながら本体全体が銅で出来ている珍しい建造物です。
山域は幾つからのエリアに別れますが、最も印象的なのは「太子坡」です。朱塗りの壁に囲まれた曲がりくねった回廊を100㍍近く登って行くと、本堂が出現してくる配置になっています。
ほとんど直線的に建設される見慣れた仏教寺院と全く異なり、自然との融和を重要視し曲線を多用した道教寺院には異次元の空間を感じさせられる雰囲気が濃厚です。
宿泊は山の中腹(ここまで観光バスは山道を登って来られます)のホテルでした。
付近には山中でもっと美しい景観の南岩宮等を散策する事が出来ます。午後早目にチェックインした後の自由行動時間に、南岩宮にひとり参観に向かいました。
翌朝は頂上を徒歩で往復して、バスの出発時間までにホテル近くの集合地点に戻る指示に従い、単独で南天門、黄龍洞、朝天宮、太和山(標高1,612㍍)を目指しました。
頂上直下の石段は勾配がきつくかなり息が切れますが、一汗掻けば難なく登り切る事が出来ます。頂上付近の建築物が複雑に入り組んでおり、ここで修業している道士の姿を多く見掛けました。
武当山の石段は7777段と聞きました。これは山東省泰山の6666段よりも1000段も多い階段です。
「武当山古建築物群」の主な見どころ
主な見所 :太子坡、南岩宮、朝天宮、太和宮、紫宵宮、金頂金殿等
最後に
武当山訪問前後に立ち寄った都市「武漢」の典型的な朝食は「熱乾麺」です。小麦の麺に、芝麻醤、搾菜、葱、胡椒を食べる直前に加えて調理する麺で、武漢に行ったら必ず食べる様に中国人知人に勧められて食べてみました。庶民的な味でさっぱりしていてとても美味しい。これは山西省の刀削麺、広東省伊府麺、四川省担々麺、中国北部の炸醤麺と共に中国五大麺の一つらしいです。
わたしも武漢のホテルに前泊して、朝食を食べる為夜が明け切らぬ早朝、市内を歩いていると、電球の光で煌々と照らされた「熱乾麺」の看板が目につきました。しかし、暗がりの中、店内を覗いてみると、とても衛生的とは言えない店だった為、入る事を躊躇しました。本当は美味しかったかも知れませんが、入る勇気がありませんでした。ほんとうに惜しい事をしました。
「武当山」はアクセスは余り良くありません。しかしながら、人を引き寄せる魅力的なポイントも多く、機会があれば是非訪れたい世界文化遺産だと思います。
「武当山」は道教の総本山であり、武当拳などの武術を指導している一方、風水学なども永年研究されていました。お寺の施設内部を案内してくれた「僧」(道教では何というのか?)の話で、風水に関わる興味深い話を伺いました。
中国では龍(中国では皇帝は龍の化身といわれる)は水を好むため、毛沢東は自らを龍と見做し、良く河で水泳をするのを好んだとか、湖南省韶山市の毛沢東の生家は近くに湖があり、やはり「水」との関連性がある為、風水的に大人物が生まれる家相をしている等と解説をして頂きました。
また、商売をする場合、良く事務所の玄関が道路から階段を何段か上がった高い位置するところにありますが、これでは入ってきたお金を吸い上げられず、金庫に金がたまらない悪い状態であり、そのままではお金が流出してしまうと解説していました。
わたしの出向していた会社の本社の正面玄関はこの話の内容とそのままで、階段を20段程上がった所に玄関ドアが有る構造で、まさに「僧」が話している店構えそのものでした。入ってきたお金は全く蓄えられません。
興味を持ってさらに僧の説明に聞き耳を立てていると、お金を流出せず金庫に留める為の「風水」的な問題解決策は、階段の上段左右に大きな長い鼻の「象」の像を置いて、流入してきたお金を象の長い鼻で吸い上げる様にするのが最も良いと教えて頂きました。
このような石段を登った所に玄関がある構造は、中国国内のあちこちの銀行や金融会社の玄関先で象を良く見掛ける事がありました。これらの象は単なる装飾品ではなく、風水の教えに忠実に従っているのだと初めて「ガッテン」がいきました。
わたしはその話に納得して、翌週会社に帰り、さっそく上司にそのまま風水の聞きかじりの知識を話ましたが、残念ながら「あぁ、そうなの」という反応で終わってしまいました。
今、この合弁会社は儲かっているのでしょうか! 気になるところです…
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