『キング・オブ・コメディ』のあらすじ概要
「タクシードライバー」「レイジング・ブル」のマーティン・スコセッシ監督&ロバート・デ・ニーロ主演によるブラックコメディ。コメディアン志望の34歳の青年ルパート・パプキンは、大ファンである有名コメディアンのジェリーに接触し自分を売り込もうとしますが全く相手にされません。そこでルパートは、ジェリーの熱狂的ファンである女性マーシャと手を組んでジェリーを拉致・誘拐、替わりに自らのテレビ出演を要求しますが……。ルパートはTVショーで困窮し虐められていた自分や家族の過去をネタにし、ジェリーを誘拐してこの場にいることも洗いざらい喋りますが、観客はそれもジョークとして受け取り大歓声を送ることになります… ジェリー役に往年の名コメディアン、ジェリー・ルイスが出演
1983年製作/109分/アメリカ
原題:The King of Comedy
ロッテントマト支持率:90%!
『キング・オブ・コメディ』のスタッフとキャストについて
マーティン・スコセッシ監督:本作「キング・オブ・コメディ」は公開当時は失敗作と言われましたが、月日が経つに連れ、役者の演技や脚本などの評価が高まり、現在ではスコセッシの代表作の一つとされるようになっています。マーティン・スコセッシ監督とロバート・デ・ニーロは今作『キング・オブ・コメディ』で5度目のタッグとなります。
➢おすすめ映画感想|『レイジング・ブル』(1980/マーティン・スコセッシ監督)実在のボクサー、ミドル級チャンピオン ジェイク・ラモッタの半生
ロバート・デ・ニーロ(ルパート・パプキン):本作役作りの為に、”コメディアン志望の青年であるルパート・パプキンを演じるにあたり、デ・ニーロは数か月間に渡ってスタンダップコメディアンたちのステージを鑑賞し続け、パフォーマンスにおける間やタイミングを研究した”とあります。
その甲斐あって終盤で演じられる独り舞台の爆笑コントは心底大うけ!
なお、ウィキペディア情報となりますが、松田優作の詳しいコメントが掲載されていました。
松田優作は『ペントハウス』誌(講談社)のインタビューで、本作で主人公を演じたロバート・デ・ニーロについて「俺、『キング・オブ・コメディ』まではある程度とらえられる距離にいたつもりだったんだ。だけどあれを観てほとんど絶望感じたね。完全に落ち込んじゃった。今世紀生きているうちは、とてもじゃないけど勝てっこねえ。何て言うか役者として誰も行かなかったところに、デ・ニーロはさわった気がするんだ。もうとても、俺なんかとは比較になるようなもんじゃねえよ」と発言している
という凄まじい”嫉妬”とも思えるデ・ニーロの演技に対する惜しみない称賛の言葉が残されています。(ちょっと驚きでした・・・)
➢おすすめ映画『アナライズ・ミ―』(1999/ハロルド・ライミス監督)感想‣マフィアもののコメディ&パロディ。「アニマル・ハウス」に通じる笑いの渦!
ジェリー・ルイス(ジェリー・ラングフォード)1946年にディーン・マーティンと「底抜けコンビ」を結成。人気ナイトクラブでの活動に加え、パラマウント映画製作によるコメディ映画の人気シリーズに出演しています。
ダイアン・アボット(リタ・キーン):1976年の映画『タクシードライバー』でロバート・デ・ニーロと共演しました。ダイアンとロバートは1976年に結婚しています。
サンドラ・バーンハード(マーシャ):本編『キング・オブ・コメディ』の得体の知れないストーカー女役で強烈な印象を残しています。
『キング・オブ・コメディ』のネタバレ感想・見どころ
ネタバレ有り
何度断られてもしつこく食い下がり続ける精神力については、見上げたものと尊敬する点です。しかしながら、それが度を越しているのは確かです。精神異常者のストーカーもどきの執念深さには本当に病的なものを感じました。また、狂信的な女ストーカーとダブルで攻められたら、有名人も堪ったものではないなと恐怖を覚えました。
確かに多くの映画評論では、『タクシー・ドライバー』『ジョーカー』に似通ったストーリーの展開と評されていました。「一生下積みで終わるよりは、一夜でも”キング”になりたい」という願望は分かりますが、その実現の仕方が常軌を逸している事は大いに問題です。このように一般模範的な反応しか頭に思い浮かびませんが、『ジョーカー』でもホアキン・フェニックスが演じた人物の様に、世間に不満を持つ人間が何をしでかすか分からない状況を肯定する事は出来ません。
『キング・オブ・コメディ』の中では、ルパートの頭の中だけの妄想が突然、映像シーンとなって度々出てきます。わたしは実際視聴中、脈絡なく突然シーンが変化したので、”昔のレコード盤のように針でも飛んだ”のかと勘違いして、ちょっと巻き戻して見直して見ました…(あぁ!これは非現実の妄想シーンかと後で理解出来ましたが…)自己中心的な妄想は個人的な楽しみであれば、問題ありませんが、赤の他人を巻き込む事は許されないと思います。
『キング・オブ・コメディ』は公開当時は興行成績が振るわなかったと聞きました。多分1980年代当時はストーリーに賛同する人が少なかったのだと思います。しかし、近年評価が高まっているという理由は、ロバート・デ・ニーロの演技力の再評価もあるかもしれませんが、一方で浮かばれない底辺の一般大衆の”苦悩”を描いている点が多くの共感を呼んでいるのかもしれません…
コメント