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上映中 新作映画『助産師たちの夜が明ける』(2023/レア・フェネール監督)感想‣フランス産科病棟のリアル…まるで野戦病院のよう!

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『助産師たちの夜が明ける』のあらすじと概要

初監督作「愛について、ある土曜日の面会室」で高く評価されたフランスのレア・フェネール監督が、若い助産師たちが出産に立ち会うなかで突きつけられる現実に驚きながらも成長していく姿を、ドキュメンタリーとフィクションを巧みに織り交ぜ、リアルなタッチで描いたヒューマンドラマ。

ルイーズとソフィアは5年間の研修を終え、念願の助産師として働き始めます。貧困、移民、死産などさまざまな事情を抱える人々が産科病棟を訪れます。助産師たちは常に人手が足りなく現実の中、生と死が隣り合わせのの現場で、オーバーワークとストレスに押し潰されそうになりながらも、新しい命に出会う喜びを通して結束を強めていきます。

俳優と助産師が共に参加するワークショップを行い、これをもとにフェネール監督と脚本家カトリーヌ・パイエが共同で脚本を執筆。撮影には6つの病院を使用し、実際の出産シーンを織り交ぜながら臨場感たっぷりに描き出されています。本作は2023年・第73回ベルリン国際映画祭パノラマ部門で審査員特別賞を受賞しています。

2023年製作/100分/フランス
原題:Sages-femmes

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『助産師たちの夜が明ける』のスタッフとキャストについて

レア・フェネール監督(脚本):仏映画期待の新星。監督自身の体験を基に、どこの国でも誰もが直面する普遍的なストーリーには、熱い共感の声が寄せられています/移動劇団の座長の父と女優の母のもとで育ち、アジアを代表するドキュメンタリー作家として注目される、カンボジアのリティー・パニュ監督に師事した経歴を持ちます。

エロイーズ・ジャンジョー(ルイーズ):

カディジャ・クヤテ(ソフィア):

『助産師たちの夜が明ける』のネタバレ感想・見どころ

日本の産婦人科病院のイメージと全く違うフランスの産科病院の滅茶苦茶に多忙な様子にびっくり仰天!慢性的な人手不足、計器類が故障しても修理を依頼する時間も限られている、一人が休めば仕事量は職場の仲間への負担増に直結という悪循環の様相を、ドキュメンタリータッチでフィクションを交えた映像で活写されていきます。臨場感が半端ではなく伝わって来るのが恐ろしい、戦争映画(小説)の野戦病院の姿がダブってきました。

混乱する社会の実態を衝撃的な映像に納め、社会の問題点を暴露する手法はフランス映画のみならず、多くの国(日本を含め)の映画で、多いのではないかと思います。映画によって事実が世間に広まり政府もそれに(渋々!?)対応せざるを得なくなるのかもしれません。本作でも映画のラストで産科病棟の厳しい職場環境改善を訴えて”デモ行進”する映像が映し出されていました。

本作品ではめったに体験する事が出来ない”出産”に立ち会わされるシーンが連続します。助産師がぴったり付き添い、産婦の呼吸を整えさせているシーンは超リアルでした。こちらまで、思わずハーハーゼーゼー思わず息を合わされてしまいそうな緊迫した時間が連続します。新しい生命の誕生という劇的な瞬間です。それを支える助産師の役目もかなり重要であることは十分理解出来ますが、余りに過酷な現場、看護師によっては自己犠牲の上で成り立っているリアルな”職場”を目撃してしまうと、やはりちょっと気の毒な感じはありました。

また、助産師という言葉通り、女性の助産師に混じって何人か男性の助産師の姿も有りません。さすが男女平等の先進国フランス、男性の進出も有り得る職場という現実にもびっくり仰天しました。

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