『アダマン号に乗って』のあらすじ概要
「ぼくの好きな先生」「人生、ただいま修行中」などで知られるフランスのドキュメンタリー監督ニコラ・フィリベールが、パリのセーヌ川に浮かぶデイケアセンターの船「アダマン号」にカメラを向けたドキュメンタリー作品。
パリの中心地・セーヌ川に浮かぶ木造建築の船「アダマン号」は、精神疾患のある人々を迎え入れ、文化活動を通じて彼らの支えとなる時間と空間を提供し、社会と再びつながりを持てるようサポートしている、ユニークなデイケアセンターでした。
そこでは自主性が重んじられ、絵画や音楽、詩、カフェの運営などを通じて自らを表現することで患者たちは癒しを見いだしていきます。そして、そこで働く看護師や職員らは、患者たちに寄り添い続け、誰にとっても生き生きと魅力的なアダマン号という場所と、そこにやってくる人々の姿を、フィリベール監督によるカメラが優しいまなざしで見つめます。
2023年・第73回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品され、最高賞の金熊賞を受賞(女優クリステン・スチュワートら審査員たち)。2003年の「パリ・ルーヴル美術館の秘密」以降のフィリベール作品を日本で配給してきたロングライドが共同製作。
2023年製作/109分/フランス・日本合作
原題:Sur l’Adamant
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『アダマン号に乗って』のスタッフとキャストについて
ニコラ・フィリベール監督・撮影・編集:『パリ・ルーヴル美術館の秘密』『音のない世界で』で国際的な名声を獲得。『ぼくの好きな先生』はフランス国内で異例の200万人動員の大ヒットを記録し世界的な地位を確立しています。
『アダマン号に乗って』のネタバレ感想・見どころ
精神疾患のある人達の為のデイケアセンター船アダマン号と聞いて、どんな船内の様子か全く想像も出来ませんでした。撮影された100時間にも及びドキュメンタリー映像から監督自身取捨選択を行い、109分の同作品に仕上げたと聞きました。誰が患者で、医師で、介護者なのか判別も付かない状況に少々驚きました。特に何やら皆で何をやるか決める会議では、参加者は当然としても司会担当者も”患者”だったのではないかと思いました。
精神疾患とはいうものの比較的”軽度”の方々で一般人とあまり変わらずコミュニケーションは取る事は可能の様です。しかし、病歴20年、30年という長期的に投薬治療を継続している人もいました。
多くの映画で精神疾患患者を取り上げた作品が作られています。そして、どの作品を見てもこれ程自由で、各自の個性が尊重されケアされている”施設”はありませんでした。勿論、具体的な施設を訪問した経験はないので、どれ程の自由度、患者対医師・介護者との実際の関係については想像する以外に方法はないのですが…
また、登場人物の撮影で一切の演出が加わっていないとすれば、多くの”出演者”(精神疾患を持っている方々)は余りにも饒舌で、世間一般の健常者より確立した”個”を持っているという印象を受けました。カメラで撮影されている事は意識していたと思いますが、淡々と自己を主張する歌にしろ、発せられる言葉にしろ、自家製マンゴージャムにしろ、出来過ぎではないかと思われる内容でした。
「精神疾患」に対するデイケアセンターそのものに対する考え方、それが日本の状況とはかけ離れている事はわかっていても、おぼろげながら理解が少し深まる一作品であることは確かだと思いました。正直なところ、あるがままの日常風景の映像の連続を見せられ途中うとうとしてしまったところもありましたが、興味のある方はのぞき見る価値は十分あると思います…
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