『痛いほどきみが好きなのに』のあらすじと概要
原作は1996年にホーク自身が書き下ろした同名ノベルス『痛いほどきみが好きなのに』。イーサン・ホークの監督2作目であり、自身の体験を基にした半自伝的な小説を脚色し映画化した、『痛いほどきみが好きなのに』は、ニューヨークを舞台に繰り広げられる、若手俳優の男子とミュージシャン志望の女子という2人の恋の行方を描いたラブストーリー。ホーク自身父親ヴィンス役で少しだけ出演しています。
(あらすじ)
内容は正に題名の通りです。
若手俳優のウィリアム(マーク・ウェバー)は、ニューヨークのバーで歌手を目指すサラ(カタリーナ・サンディノ・モレノ)と出会う。偶然にも向かいのアパートに住んでいることが分かり、運命的な出会いを感じた2人は急速に距離を縮めていく。
ある日、サラはウィリアムを連れて実家へ行き、彼女の母(ソニア・ブラガ)に彼を紹介します。たまたま聞こえた母娘の会話から、サラの過去の失恋を知ったウィリアムは、彼女を本気で愛するようになっていきます。そして映画の撮影のため訪れたメキシコで過ごした一週間、二人は結婚を誓い深く愛し合うようになります。
ところがニューヨークに戻ると、サラの態度に変化が生じます。そして彼女は歌手の夢を追うため自立したい、その為にウィリアムと距離を置きたいと打ち明けます。突然の事に動揺したウィリアムは、元恋人のサマンサ(ミシェル・ウィリアムズ)に会ってしまいますが、当然上手く行きません。ウイリアムは諦めきれず、何度も彼女のもとを訪問したり、留守電に伝言を入れたり食い下がりますが、彼女の気持ちは戻ってきません。
また、離婚してから一人身の母ジェシー(ローラ・リニー)にも会いますが、母には新しい恋人がいて、さらにむなしさを募らせるだけです。そしてウィリアムは、長年敬遠していた父ヴィンス(イーサン・ホーク)に会い行きます。母との離婚以来、確執のあった二人でしたが、長年会いもせず、音信不通だったにもかかわらず、久しぶりに再会し、親子の、そして男同士の会話をします。失恋して、如何したら良いのか父親に相談に来たのでした。(私の場合は失恋の相談は親にはしないと思います)
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イーサン・ホークは元々は作家を目指していたが、中学時代に演劇を始め、プレストン大学にある劇団「マッカーター・シアター」で演技のレッスンを受けたことから俳優の道に進むことを決意します。1985年、ジョー・ダンテ監督作「エクスプロラーズ」で映画デビューを果たしました。
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『痛いほどきみが好きなのに』のスタッフとキャストについて
監督・脚本 イーサン・ホーク :テキサス出身、元々は作家を目指していましたが、中学時代に演劇を始め、プレストン大学にある劇団「マッカーター・シアター」で演技のレッスンを受けたことから俳優の道に進むことを決意します。1985年、ジョー・ダンテ監督作「エクスプロラーズ」で映画デビューを果たした
音楽 ジェシー・ハリス:2002年にノラ・ジョーンズの「Don’t Know Why」でグラミー賞を受賞したジェシー・ハリスが行っている。ハリスとホークの呼び掛けで、ウィリー・ネルソン、ノラ・ジョーンズ、キャット・パワー、ブライト・アイズ、ファイスト、ザ・ブラック・キーズら豪華歌手が集い、ハリスの曲を本作品内で歌っています。 イーサン・ホークも音楽には相当なこだわりがあった様です。
マーク・ウェバー(ウイリアム役):心優しい青年イーサン・ホーク役ですが、失恋のショックが大きく立ち直れない。
カタリーナ・サンディノ・モレノ(サラ役):女心は理解に苦しみます。男性から見れば随分、自分勝手な女という気がします。メキシコの楽しい思いだから、帰国して一転心境がこれほど変わるものなのか理解不能です。「こんな彼女は捨てちゃえば?」という言葉がぴったりという気がするのですが、、、ダメかなぁ
『痛いほどきみが好きなのに』のネタバレ感想
イーサン・ホークの半自伝小説の映画化、しかも監督・脚本・原作・出演ということで大きな期待を持ってみましたが、前半は余りにもウィリアムとサラのこれでもかこれでもかという激しい燃え上がりを見せらればかりで少し目のやり場に困りました。メキシコでは「結婚」の約束をするほどの仲に急速に発展しながら、帰国後のサラの心の変化の落差は余りに大き過ぎました。『自立』したいという欲求が強く、ウィリアムと一緒には暮らせないと突っぱねます。イーサン・ホークも20代前半でここまで非情な大失恋をしたのは少し気の毒な気がします。別れてからも、何度も電話、訪問を繰り返します。しかし、全く相手にして貰えず、最後には何年もあっていない父親に再会して、悩みを聞いてもらうという行動にまで出ています。
この経験が、その後の俳優としての活躍の糧になったと思いますが、是ほど惨めな失恋経験を半自伝的な小説に書き、映画化するというイーサン・ホークの本心はどこにあるのでしょうか? 涙無くして笑えない打ち分け話の領域を遥かに超え、小説化、映画化までしている意図はなんだったのでしょう?その心理を探りたいところです…
本作品は失恋のシーンで終わっていますが、その後のウィリアムの覚醒、立ち直り、俳優としての成功物語の方が、小説、映画の題材として興味のあるところですが、イーサン・ホークは続編の小説を書いているのでしょうか?
期待が大き過ぎたのかもしれませんが、期待外れな面もある作品かもしれません。
イーサン・ホークが自分の父親役で出演しているところはなんとも面白かったのですが、、、
最後に
映画雑誌のインタビューでイーサン・ホークはサラは実在の人物かという質問に対して、このように答えています。
サラのモデルは誰か具体的に存在するわけではないんだ。これまでに会ってきた女性やいろんな経験、そして自分のイマジネーションを基に創作したキャラクターだね。
実在の人物ではなく、少し残念な気持ちがします。でも、おそらく実在の人物ではないと回答されていますが、実際はサラに近い恋人は本当にいたに違いない様な気がします。
少ししか出てきませんでしたが、元恋人サマンサ(ミシェル・ウィリアムズ)の方がいかしていると思いました。
ミシェル・ウィリアムズ:アン・リー監督の「ブロークバック・マウンテン」(05)でアカデミー助演女優賞にノミネートされ、一躍有名になる。その後は「脳内ニューヨーク」(08)や「シャッター アイランド」(10)などに出演し、演技派として着実にキャリアを積み上げる。「ブルーバレンタイン」(10)と、マリリン・モンローを演じた「マリリン 7日間の恋」(11)でアカデミー主演女優賞、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」(16)で同助演女優賞にノミネートされた。
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