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おすすめ映画『告発のとき』(2007/ポール・ハギス監督)感想‣軍隊から脱走した息子の消息を探す父親の実話を基に、アメリカ社会の深い闇を描く

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『告発のとき』のあらすじと概要

「クラッシュ」(05)のポール・ハギス監督・脚本によるサスペンスドラマ。イラクの最前線からアメリカに帰還したマイクは、その帰国直後に軍隊から脱走し、行方をくらまします。マイクの父親の退役軍人ハンク(トミー・リー・ジョーンズ)は、地元警察の女性捜査官(シャーリーズ・セロン)とともに息子の捜索を始めますが、真実を追い求めるにつれて、父親の知らない息子の素顔が明らかになっていきます……。本作品はPTSD(心的外傷後ストレス障害)を題材に、米国内で実際に起きた事件をもとにし、イラク戦争の現実を描いた作品となっています。なお、アカデミー賞受賞者が3人も揃う作品は少なく、その意味でもたいへん興味深い作品となっています。

2007年製作/121分/アメリカ
原題:In the Valley of Elah 「エラの谷(In the Valley of Elah)」で巨人兵ゴリアテを打ち負かしたダビデの話をハックは女性刑事エミリーの息子に話して聞かせています…

『告発のとき』のスタッフとキャストについて

ポール・ハギス監督・製作・脚本:クリント・イーストウッド監督作「ミリオンダラー・ベイビー」(04)の脚本を手がけ、同作がアカデミー作品賞ほか主要4部門を受賞、自身も脚色賞にノミネートされて一挙に注目を集めています。

トミー・リー・ジョーンズ(ハンク・ディアフィールド、イラク戦争に参加していた兵士マイクの父親、ベトナム戦争にも従軍し軍警察を退役して現在は隠居生活をしています。但し、長男もイラク戦争で亡くしています)。警察軍警察も信用が出来ず、個人的に真相究明に乗り出すというバイタリティ溢れる父親役。身だしなみには相当を気を使っている映像が多く見られる…/日本では、「メン・イン・ブラック」でエイリアンを取り締まるエージェントを演じたジョーンズにちなんだ“宇宙人ジョーンズ”のCM(06~)も話題に…

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シャーリーズ・セロン(女性刑事エミリー・サンダース):いつもブロンドとは違う雰囲気の地味な黒髪の髪型で最初は誰だか分かりませんでした。一人の子供を育てるシングルマザー役。男性中心社会の警察内で若干生き辛さを感じている様子ながらへこたれることなく闘志を剥き出しに頑張っている姿が凛々しい。

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スーザン・サランドン(ジョアン・ディアフィールド、マイクの母親)映画「依頼人」以来の共演となった スーザン・サランドンとトミー・リーの夫婦役も見どころの一つ/退役軍人であった夫に憧れ軍人となったふたりの息子を失う事になり、悲しみのどん底に突き落とされる事になります。

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『告発のとき』のネタバレ感想・見どころ

本作はシャーリーズ・セロン出演作という事で見てみました。黒髪・とても地味な髪型の女性刑事役だったので最初は誰なのか分からず、顔をまじまじと見るほどいつもの華やかさは影を潜め、男性社会で生きる紅一点、居心地は何となく悪そうな中でひとり気を吐いていました。しかも頑固おやじの捜査に最初は嫌々ながら協力し、最後には捜査にのめり込んでいく姿もありました…

イラク戦争を背景とする一人の若い兵士の”失踪事件”を扱ったミステリー仕立ての映画です(実話に基づく)戦争が如何に人間を狂わせてしまうかという事を表現しているのだと思います。しかも、これらの深刻な問題(イラク帰還兵のPTSD<心的外傷後ストレス障害>)はほとんどのアメリカ市民が自分自身あるいは周囲の人々が経験し、知っている周知の事実なのではないかと思いました。そもそもイラクに攻撃を仕掛けた「イラク戦争」そのものの”大義”があやふやであった事が、出征兵士の精神状態にも強く影響しているようにも見えました。

かなり奥深い問題を含んでいる映画でした。さらに、帰還兵士マイクの父親ハンク役ト三―の演技は真に迫る迫力満点でした。退役軍人とはいえ観察力・推理力は抜群の冴えを見せていました。自宅から2日間も車を運転し、息子マイクの所属部隊があるフォート・ラッドへと向かいます。息子が寝起きしていた部屋を訪れ、そこにいた戦友らと会話をしています。そして、まったくやる気のない警察・軍警察に頼らず、自分自身で息子の捜索を開始します。しかしながら、直ぐに最悪の知らせを受け取る事になります。

日本ではコーヒーメーカーのCMでひょうきんな役どころを演じ大変人気のあるト三―ですが、本作ではほとんど笑顔を見せる事が無く、物凄い真剣な表情で、懸命に息子殺害の犯人探しに没頭します。わたしは不謹慎にも『メン・イン・ブラック』のイメージが常にチラつき、にやにやしながらト三―の演技を見てしまいました…(困ったもんです…)

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