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映画『エイブのキッチンストーリー』(2019/フェルナンド・グロスタイン・アンドラーデ監督)感想‣ブラジル人監督自身の半生をベースに描いたハートフル映画!

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『エイブのキッチンストーリー』のあらすじと概要

Gilmar KoizumiによるPixabayからの画像

異なる文化を背景にもつため対立しがちな家族の絆を、手作り料理でつなげようと奮闘する少年の成長を描いたヒューマンドラマ。

ニューヨーク・ブリックリンに暮らし、イスラエル人の母とパレスチナ人の父を持つ12歳のエイブ(ノア・シュナップ)は、文化や宗教の違いから対立する家族に悩まされるなか、料理を作ることを唯一の心の拠りどころにしていました。

そんな自分のことは誰にも理解してもらえないと思っていたエイブは、ある日、両親の薦める料理を教えるサマースクールからこっそり抜け出し、世界各地の味を掛け合わせた「フュージョン料理」を作るブラジル人シェフのチコ(セウ・ジョルジ)と出会います。フュージョン料理を自身の複雑な背景と重ね合わせたエイブは、自分にしか作れない料理で家族をひとつにしようと決意します。

大ヒットシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のウィル役で知られるノア・シュナップが映画初主演を務め、等身大の少年エイブを好演。ブラジル人の映画監督で、YouTuberや雑誌記者などの顔ももつフェルナンド・グロスタイン・アンドラーデが、自身の半生をベースに描いたハートフル映画。

 

『エイブのキッチンストーリー』のスタッフとキャストについて

Ju FiorotoによるPixabayからの画像

フェルナンド・グロスタイン・アンドラーデ監督:1981年ブラジル生まれ。映画監督であり、YouTuberであり、新聞や雑誌の記者でもある彼が、自身の半生をベースに独自の視点で描く。ユダヤ人とカトリック系ブラジル移民の孫として作品を生み出し続けています。

また、ニューヨーク・ブルックリンが舞台ですが、これに関しては監督はあるインタビューでこのように応えています。

ブルックリンは多様な文化の一大メルティングポットで、ポーランド人が多く住む地区やロシア人が多く住む地区もあれば、イスラム教徒が多く住む地区もあり、本作に出てくるようなカップルが実際にいてもおかしくありません。こんな場所は世界中でも珍しく、ダイバーシティやアイデンティティをテーマに、異なる文化の出会いは美しいカオスを生み出せることを表現するこの映画にはピッタリの場所でした。

この町の魅力もふんだんに楽しめるシーンが満載の映画です。

ノア・シュナップ(エイブ):2004年ニューヨーク生まれ。スティーブン・スピルバーグ監督作「ブリッジ・オブ・スパイ」(15)で映画デビュー。3Dアニメーション映画「I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE」(15)では主人公チャーリー・ブラウンの声を担当した。ゴールデングローブ賞作品賞にもノミネートされた大ヒットシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」(16〜)で少年のひとりウィル・バイヤーズ役を演じている。本作は初主演作品。

セウ・ジョルジ(チコ):ブラジル・リオネジャネイロ出身。ミュージシャン・歌手・作詞家・俳優。19歳から3年間、ホームレスとして暮らしていたが、路上生活で才能が花開き、貧民街で一躍有名になる。ブラジリアンポップサンバの改革者として知られ、影響を受けた音楽として、アメリカのスティービー・ワンダーや、サンバを挙げている。俳優としては『シティ・オブ・ゴッド』(02)やウェス・アンダーソン監督『ライフ・アクアティック』(04)など様々な作品に出演している。

『エイブのキッチンストーリー』のネタバレ感想

Sandro Lins MachadoによるPixabayからの画像

12才の料理好きな少年が、一流シェフに弟子入りしてブラジル系のヒュージョン料理を作る映画と単純に思っていました。しかしながら、ストーリー展開は予期せず、エイブの複雑な家庭環境(宗教対立)の為、言い争いが絶えない中で育っており、そのどうにもなりそうもない状況を解決する為、自分がイスラエルとパレスチナの料理がミックスした自分独自の味の料理を食べさせます。家族の心を一つにしてしまおうという壮大な構想がありました。

監督自身が超有名なユーチューバ―という事もあり、映画作りのあちこちにSNS画面が頻繁に使用されており、こうやって使われているのかと感心することが多く、その面でも大変楽しめる作品となっていました。

ブラジル料理や中南米料理は余り縁がありませんでした。スパイス、酸味、苦み、甘さなどの豊かな組み合わせて、美味しそうな味を醸成しているシーンには、もう口が思わずあんぐり空きっぱなしでした。映画では残念乍ら、それら料理の味も香りもがどんなものかは想像するしかなく、本当に残念!

ひとつの料理でバラバラの家族の心を一つにするという目的は最後には予期通り達成されたようです。世の中そんな単純なものではないという人も多分多いと思いますが、イスラエル・パレスチナ人も宗教的対立はするものの、美味しいものを食べるという生理的欲求(胃袋は同質!)は同じ人間としてまったく変わらないと思いました。料理の魅力にスポットを当てた本作品は世界の抗争・対立における問題解決策の糸口の一つになるのではないかと、はっと気付かされました。

 

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