映画『ストーリー・オブ・マイ・ワイフ』のあらすじ・概要
「心と体と」で2017年・第67回ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞したハンガリーのイルディコー・エニェディが監督・脚本を手がけ、「アデル、ブルーは熱い色」のレア・セドゥーが主演を務めたラブストーリー。
ハンガリーの作家ミラン・フストの小説を原作に、出会ってすぐに結婚した男女の官能的で切ない愛の行方を描き出します。舞台は1920年、マルタ共和国のとあるカフェ。貨物船の船長ヤコブは友人と、店に最初に入ってきた女性と結婚するという賭けをします。現れたのはリジーという美しい女性、ヤコブがカフェに入ってきた彼女を見初め、一目散にリジーのもとへ駆け寄り「私の妻に」とプロポーズする場面から始まります。そして週末、ヤコブとリジーは2人きりで結婚の儀式を行います。結婚した後も船海で度々家を空けるヤコブでしたが、それでも二人の幸せな時間を過ごすヤコブとリジーでした。しかし、リジーの友人デダンが出現すると、ヤコブは2人の仲を疑って嫉妬するようになり……。
ヤコブを「マイ・フーリッシュ・ハート」のハイス・ナバー、デダンを「グッバイ・ゴダール!」のルイ・ガレルが演じる。2021年・第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。
2021年製作/169分/ハンガリー・ドイツ・フランス・イタリア合作
原題:A felesegem tortenete
映画『ストーリー・オブ・マイ・ワイフ』のスタッフとキャストについて
イルディコー・エニェディ監督・脚本:前作『心と体と』(18)で第67回ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞したハンガリーの鬼才女性監督。コンセプト、メディアアーティストとして自身のキャリアをスタートさせ、芸術家グループのIndigoや当時東ヨーロッパで唯一の独立系映画スタジオだったバラ―ジュ・ベーラ・スタジオのメンバーの一人として活動に従事していました。
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レア・セドゥー(リジー):「美しいひと」(07)でフランスのアカデミー賞にあたるセザール賞の有望若手女優賞にノミネートされています。「007 スペクター」でボンドガールに抜てきされ、「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」(20)にも出演した。フランスにとどまらず今や世界で最も需要のある俳優の一人となっている。
➢「レア・セドゥ」おすすめ10作品(最近観た映画、見直して観た映画限定、順不同)
ハイス・ナバー(船長で夫のヤコブ):オランダで最も引っ張りだこの俳優の一人です。
ルイ・ガレル(リジーの友人デダン):ベルナルド・ベルトルッチ監督の「ドリーマーズ」(03)で国際的に注目を浴びる/久々にフレンチ正統派俳優で、ルネサンスの彫刻を思わせるような顔立ち。
映画『ストーリー・オブ・マイ・ワイフ』のネタバレ感想
(ネタバレあり)期待以上に素晴らしい映画でした。レア・セドゥーの魅力爆発。イルディコー・エニェディ監督(脚本)の脚本、演出の面白さに上映時間169分の時間が決して長く感じられませんでした。
監督はもともとメディアアーティストとして経歴をスタートさせたこともあり、冒頭の海洋シーン、船上から海を捉えるシーン、力ず良い映像が強烈な印象を与え、ぐいぐいと映画の世界に引き込まれていくところは、さすがの演出だと感心しました。また、音楽も勿論効果的に使用されていますが、必要の無い所ではまったく音を消してしまうところは実に独創的です。そこが堪らない魅力となっていました(最近の映画は全編がバックグランドの音楽に包まれているものが多過ぎです)
1920年代のマルタ島やハンブルグの運河や街並みなど初めて映画で見るシーンなどもかなり秀逸で素晴らしい。
「(マルタの)カフェに最初に入って来た女性と結婚をする」という突拍子もない賭けをします。それが「瓢箪から駒」レア・セドゥー扮するリジー(素性を一切知らず)を一目見てプロポーズするシーンには目も耳も疑いそうになります。しかし、これは序の口でした。リジーはこのプロポーズを受け入れます。「奇跡」とはこの時の為に使うべき言葉だと思います。また、”映画”のストーリーはこうでなければならないと思いました。”映画”には常識は一切無用なのでしょう…
一方、夫である船長ヤコブの仕事も大変でした。なんと、一度航海に出発すると4か月間も家に戻ってくることが出来ません。ある日、若い男が何やらとても親しげに若妻にまとわりついてくるのを目撃してしまうと、心中穏やかではない気持ちは良く分かります…
誠実な船長とちょっと謎めいたところのある美女の一組の夫婦の心の葛藤、喜び、猜疑心、諦め、包容力、迷い、動揺などなどありとあらゆる感情や心に秘めた気持ち、揺れ動きが見事に言葉、表情、アクションなどで表現されていきます。
なお、ラストシーンにもちょっと泣かされる場面があるので、是非期待して観て見ましょう!
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