深田久弥「日本百名山」、「花の百名山」の『至仏山』に登ってきました。1980年代に一度だけ訪問経験のある「尾瀬」ですが、その当時は夜行バスを利用し、早朝燧岳に登り、山小屋一泊、翌日至仏山に登って帰るという元気溢れる行動をしていました。今回は尾瀬戸倉の宿に前泊し、至仏山にのんびりと登ることにしました。花の時季もそろそろ終わりだろうかと懸念していましたが、予想に反しかなりの数の高山植物との出会が待ち構えていました。散策ルート、登山道は相当整備されており、危険個所はほとんで無いと言ってもいいのじゃないかと思います。それでも、蛇紋岩剥きだしの上り下りは今回の様に晴れていれば問題ありませんが、少しでも雨が降り、濡れた場合はかなり滑り易くなり注意が必要だと思います。
報告をまとめるにあたり、高山植物の名前を調べましたが、良く分からない花も有る為、名前を記載していない画像も多くあります。ご容赦ください。また、尾瀬は広大な面積で見どころ満載です。1度や2度の訪問では尾瀬の魅力を知る事は不可能だと思いました。可能な限り、季節や場所を変えて何度も訪問してみたい思います。
尾瀬・至仏山へのアクセス方法
今回訪問したのは”尾瀬”の最も西端にある至仏岳登山が主目的だった為、たくさんある尾瀬の入り口の中の『鳩待峠』を利用しました。鳩待峠からは尾瀬ヶ原の最南端の拠点『山ノ鼻』までは徒歩で約1時間の位置にあります。鳩待峠から山ノ鼻は緩やかな下りの坂道なので早朝のウォーミングアップに最適でした。広大な尾瀬ヶ原は山ノ鼻が入り口となります。
至仏岳登山のルートについては『鳩待峠』から至仏岳に直接登る事も出来ますが、今回、山ノ鼻から登り、鳩待峠に下る周回ルートにしました。なお、山ノ鼻からのㇽ-トは”上り専用”で下りは禁止されていました。
尾瀬への入り口である『鳩待峠』へのアクセスは以下の通りです。
練馬IC(関越高速)⇒沼田IC(R120・R401)⇒片品村・「尾瀬戸倉」 約160㌔ 関越高速利用で約3時間弱。「尾瀬戸倉」⇒「鳩待峠」へはバス・乗り合いタクシーで30分程度。
前泊地「尾瀬戸倉温泉」(『水芭蕉の宿ひがし」)は鳩待峠へのバス発着場までは徒歩30分とかなり離れていました。【後から気付いたことですが、「戸倉」のバス発着所付近に大小規模の(温泉)旅館が多数ありました。こちらで宿を選んだ方が便利だったかもしれません】しかし、宿「ひがし」の方は5:00のバスに間に合うように、早朝4:45出発のマイクロバスでわたし一人の為に送迎をしてもらいました。自家用車でバス発着場まで行くことも可能でしたが、駐車場代が1日1000円必要です。また、下山後は再度鳩待峠まで迎えに来ていただきました。
戸倉⇒鳩待峠まではマイカーの交通規制あり。専用バスの約30分程度(1000円)となります。なお、8月でも平日に限り一般車両が「鳩待峠」まで乗り入れる事が制限されていない日があります。しかしながら、当日は『鳩待峠』駐車場は満杯との表示があり、「乗り入れ不可」の状況でした。事前に十分確認しておく必要がありそうです。また、鳩待峠まで自家用車を乗り入れた際の駐車場料金は2500円/日(24時間)となります。
尾瀬・至仏山の登山ルートと高山植物の開花状況
早朝、鳩待峠から山ノ鼻までの快適な樹林帯歩き、ウォーミングアップにはもってこいの爽快な散策路
充実した石畳の道
周回コース 鳩待峠 → 山ノ鼻 → 至仏山(2228㍍)→ 小至仏山 → オヤマ沢田代 → 鳩待峠 (標準コースタイム 約6時間)
実際のコースタイム:
5:38 鳩待峠発
7:00 山ノ鼻出発
7:57 途中休憩
9:00 至仏山山頂着
10:20 小至仏山着
11:03 途中休憩
12:20 鳩待峠着
鳩待峠到着後、山ノ鼻までは小1時間の楽しいダケカンバ、ブナ、ミズナラなどの灌木帯の森林歩き(木道がほとんど)の下りとなります。至仏山登山開始前に時間的な少し余裕があったので尾瀬ヶ原の西端を30分程度散策して戻ってきました。正面に大きな燧岳がくっきりと見えました。また、朝露に濡れる湿原の植物を眺める事が出来ます。
山ノ鼻からの至仏山の登りは一方通行の為、山頂登頂後は鳩待峠方面へ下るしかありませんので、ご注意を!コースタイムは3時間とありますが、休憩を一度取って2時間で登る事が出来ました。振りむけば、尾瀬ヶ原の壮大な景観と燧岳の雄姿が終始遠望出来るという絶好の好天に恵まれました。
山ノ鼻から至仏山への登山道入り口のゲートには『熊が頻繁に見掛けられているので、十分注意が必要』との警告がありました。また、朝6:00以前のゲート内立ち入り不可となっていました。
登りは鎖場も数か所あります。本当に鎖が必要な個所は最初の鎖場だけで、他の個所はかなり足場もしっかりしていたので、鎖に頼る程の難所ではありません。でも、鎖をしっかり握ればより安全に登る事が出来ます。
登攀の注意点は全山蛇紋岩で覆われている為、大小岩がむき出しになっている部分はスリップ、転倒に十分注意して上り下りする必要があります。木道、木製階段等々しっかり整備されていて、ほとんど危険個所は無いとはいうものの、美しい景色に目を奪われ、ちょっとした油断が思わぬ転倒事故を招く可能性があるので、行動中はくれぐれも気を緩めず慎重な行動が求められます。特に山頂直下の下りルートは細心の注意が必要です。
朝露に濡れ滑り易い木道の下り坂にはゴム製のすべり止めが付いています。
鬱蒼とした灌木林が続きます
あっという間に山ノ鼻に到着、早朝6時台は未だ人影は少なし
前日に山小屋まで入り、前泊すれば翌日の行動はかなりの時間的余裕があります。次回は是非尾瀬の中にある「山小屋」に泊まってみたい。
愈々尾瀬ヶ原入口、緑のマットを踏んで登山靴の靴底を消毒、外部の植物の種子などを湿原に入れない為だとか…
真っすぐ尾瀬ヶ原に通じる木道、遥か彼方に燧岳の姿が見えました。基本的には木道は右側通行です。
早朝の森林浴 清々しい一日の始まりを感じます
熊出没注意の看板がありましたが、、、
オオカニコウモリの蕾?
線香花火の様な白い花ですが、名前が分かりません。
これ程美しい緑の森も珍しい景色
マルバタケブキの群生、黄色い花で良く目立ちます。
マルバダケブキ
オゼトリカブト
木道から少し離れて咲いていました。猛毒。葉っぱが確かにトリカブトっぽい!朝露に濡れて水が滴り落ちそう。
多数の巨木群との遭遇…
この線香花火の様な花は群落で咲いていました。残念乍ら名前が分かりません!ミヤマセンキュウの蕾???
早朝の新鮮な空気は格別です
ソバナ 秋を感じさせる尾瀬の花!
ツリガネニンジン(白花)圧巻!雌蕊が可愛い
朝日が当たり始める朝の森
朝露に濡れる笹の葉
オゼミズギク、8月の中旬に尾瀬で咲く花
尾瀬の覚醒!
ヤマハハコ?
愈々至仏山に向かう登山口へ… 熊出没要注意の看板が入り口手前にありました。
振りむけば燧!
尾瀬の湿原を彩るサワギキョウ
素晴らしい景色を独り占め!
思いっきり朝日を浴びる高山植物、朝日を浴びた植物の写真はきれい写ります
蛇紋岩の岩の”小道”つるつる滑るので転倒注意!
かなり標高が上がりました。広大な面積の尾瀬ヶ原が手を取るように見えてきました
天まで続く蛇紋岩ロード!
ミヤマアキノキリンソウ
嬉しくなってもう一枚 ミヤマアキノキリンソウ!
標高2228㍍の頂上着
至仏山山頂より尾瀬ヶ原方面の眺望 燧岳はすっかり雲が掛かりました
小至仏山方面への下りルート、爽快な眺め!
鳩待峠方面への下りルート
下山ルートはしっかり緑のロープで仕切られているので、踏み出さない様にルートを守ります
小至仏山のピークはすぐそこですが、蛇紋岩の折り重なる岩に阻まれゆっくりペースで下ります。少し緊張したせいか、やたら喉が渇きました
山中至る所にサバナの大群落を見る事ができました
ウメバチソウ、花の中央に雄蕊が五本
小至仏から至仏方面を振り返る
元気な小学生の一団とすれ違う、目立つピンクのTシャツで識別されるのがいい!
あまり蝶には関心はありませんでしたが、かなりの標高でも多くの蝶の姿を見掛けました
穏やかな下山道がしっかり見えています。道迷いすることはなさそうです。
鳩待峠方面からも像続ハイカーが登ってきます。
木製の階段など登山道は物凄く整備されています
花が咲き終わってしまったエーデルワイスの仲間のホソバヒナウスユキソウ?
今にも崩壊しぞうな大岩
8月に尾瀬を歩けばハナニガナに必ず出会える。
チングルマ
ミヤマアキノキリンソウの大群落
滑らない様にごろごろした岩石を敷き詰めたのか、ここは結構歩きずらかった
このあたりはひたすら下ります
登山道に待ち受けるミヤマシスウド
後はゆっくり下るのみ。
尾瀬・至仏山登山の前泊宿泊地情報
宿泊した旅館は尾瀬戸倉温泉「水芭蕉の宿ひがし」場所は戸倉バス停までは2.7㌔程離れており、徒歩で30分登り坂。マイクロバスによる送迎を無料で行っていました。天然温泉ですが、『掛け流し』では無かった様です(循環式)
1泊2食昼食おむすび弁当付きプランで9500円と破格の値段でした。更に『愛郷ぐんまプロジェクト 県民割』にて 5000円割引、2000円の買い物クーポン(片品村内のお店のみ利用可能)の(千葉県民も資格あり)提供を受けました。ワクチン3回接種証明書提示が条件。(このキャンペーンは8月31日まで実施される予定)
テニス(テニスコート2面あり)、スキーなどの合宿に便利
24時間入浴可能な温泉
道端に咲く変わった品種、美しい満開のヒマワリ群、旅館の周囲の村落を散策中に出会う
最後に
今まで知りませんでしたが、上州から尾瀬を抜け檜枝岐(会津)へ向かう道「会津沼田街道」は、上州沼田の真田家が整備した峠道だそうです。尾瀬への玄関口戸倉には「戸倉関所」が置かれ、上州と会津の物資が行き来する要衝であったことを知りました。400年以上も前から開けていた『古道』であったことを認識しました。大清水・一ノ瀬間は「旧道」(3.4㌔)としての昔の名残が良く残されている登山道であり、これもまた興味津々です。
帰り道に立ち寄った道の駅「尾瀬かたしな」や「白沢・望郷の湯」で産直野菜・果物を購入しました。直径30㌢の西瓜がなんと1000円!早速自宅で冷やして食べましたが、とても甘くて美味しい!とうもろこし、枝豆、白桃、ブルーベリー等々どれも味が非常に濃くぐんまの夏の味を持ち帰る事が出来、家族も大満足してました。
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