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新着映画『ザリガニの鳴くところ』(2022/オリビア・ニューマン監督)感想‣孤独と差別に抗いながら湿地でただ一人生きる孤独な少女の生涯を描く

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映画『ザリガニの鳴くところ』のあらすじ概要

全世界で累計1500万部を売り上げたディーリア・オーエンズの同名ミステリー小説を映画化した作品。(日本でも2021年本屋大賞翻訳小説部門で第1位を獲得した作品です。500ページ超の大変な大作ながら、面白さに引きづり込まれ一気呵成に読むことが出来ます)オーエンズ69歳の時に出版されたデビュー作ということでびっくり仰天!

1950年代ノースカロライナ州の湿地帯で、将来有望な金持ちの青年が変死体となって発見されます。犯人として疑われたのは、「ザリガニが鳴く」と言われる湿地帯の人里離れた一軒家で育った無垢な少女カイア。彼女は6歳の時に両親に捨てられて以来、学校へも通わずに、裸足で歩き回り、湿地の自然から生きる術すべてをを学び、孤独ながらも色彩豊かな世界を、たった1人で生き抜いてきました。そんなカイアの慰めは動植物の絵を描く事でした。また、彼女の世界に迷い込んだ心優しい青年との出会いが、彼女の運命を大きく変えることになります。カイアは法廷で、自身の半生について語り始めます。

リース・ウィザースプーンが製作を手がけ、英ドラマ「ふつうの人々」で注目を集めたデイジー・エドガー=ジョーンズが主演を務めた。音楽は「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」でアカデミー作曲賞を受賞したマイケル・ダナ。テイラー・スウィフトが本作のためのオリジナルソングを書き下ろしたことでも話題を集めた。

 

2022年製作/125分/アメリカ
原題:Where the Crawdads Sing

(参考)小説『ザリガニの鳴くところ』の読後感想記事

おすすめ本|『ザリガニの鳴くところ』 ディーリオ・オーエンズ著 (早川書房)湿原の孤独な少女の成長を見守りましょう!

 

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映画『ザリガニの鳴くところ』のスタッフとキャストについて

オリビア・ニューマン監督

デイジー・エドガー=ジョーンズ(カイア):英・ロンドン出身/父親の家庭内暴力が激しく、多くの兄弟姉妹が次々と家を去って行く、母親も夫との生活に見切りをつけ、カイアを残し家出してしまう。暫く父親と2人で暮していたが、父親も6才のカイアを一人残し家を出てしまう。それ以降生きる術を身に着け日銭を稼ぎひとりで生きていく。

テイラー・ジョン・スミス(テイト):カイアの唯一の友人となる青年。幼い頃からカイアに読み書き・計算などを熱心に教えていた。しかし大学進学に伴い、湿地から離れる決心をする。その後カイアに一切なんの連絡をせず、カイアを落胆させる。

ハリス・ディキンソン(チェイス):テイトが湿地を離れた後、カイアと付き合い始めた金持ちの青年、本性は悪く、許嫁が既にいる事をカイアに隠し、二股を掛けていた事が判明する。ショックを受けたカイアは別れを告げるが、執拗にカイアに付きまとう。しかし、何者かにより殺害されてしまう。

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映画『ザリガニの鳴くところ』のネタバレ感想・見どころ

【ネタバレ有り】

原作は2021年日本の「本屋大賞翻訳小説」第一位を受賞した大人気の本でした。早速購入して読みました。舞台はノースカロライナの自然豊かな美しい「湿地」とありましたが、一体全体どんな人がどのような生活をしているのか想像も出来ませんでした。しかも多くの動植物を育む「湿地」とどんなところなんだろうと考えていました。本作が映画化されると聞いたので、非常に楽しみで見に行きました。

元々カイアのファミリーは大家族で愉しい生活を送っていました。但し、父親の暴力を除けば…やがて、兄弟たちはひとり抜け、二人抜けていきます。父親の目に余る暴力に耐えられなかったのでしょう。ついに母親までもが幼いカイアを父の元に残し失踪してしまいます。やがて、何が理由か良く分かりませんが、父親も6才のカイアを残し、消えてしまいます。天涯孤独な6才の少女が一人で何の頼る術もない場所で、本当に生きて行けるものだろうか?これは最大の謎でした。湖沼で採集したムール貝を親切な黒人夫婦が経営する商店に卸して日銭を稼いでいました。親もいなければ、学校へも通わず、裸足で歩き回っている姿はあまりに痛々しく哀れで涙を誘われました。

凄まじい生い立ちにびっくり仰天します。町に住む人々から偏見の目で見られる事は堪え難かったのではないかと思います。当時、差別されていた黒人以下の「貧乏白人」として蔑まされていた様子が気の毒でなりません。

そんな過酷な生活を送る中にも、湿地で偶然知り合った純情な少年テイトとの友情が唯一の救いでした。彼は読み書きそろばんを教えてくれたので、図書館から本を借りて読めるようになりました。やがてそのことは、天与の才能である、自然観察能力を生かして描いた動植物の絵を出版するという結果を生んでいます。

執拗にカイアに纏わりついていた金持ちのドラ息子チェイスが何者かによって殺されます。あるいは火の見櫓の鉄塔の最上部から誤って転落した事故だったのかもしれません…しかし、「湿地に住む娘」というだけで、何の確たる証拠も無く、カイヤは不審人物として殺人の罪を着せられ起訴され拘留されてしまいます…

善意の弁護士の必死の弁護が奏功し、「無罪」を獲得します。しかしながら、ここでは言えませんが、観客はラストに飛んでもない事実を「目撃」する事になります。これには大きな衝撃を受けました…

豊かな社会から取り残された生活を送る人々に焦点を当てた衝撃の作品です。小説の題材として取り上げられなければ見過ごされていた存在だったかも知れません。映画化により鮮明な印象を深める事が出来ました。

 

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