『ロープ』のあらすじ概要
アルフレッド・ヒッチコック監督が、アメリカで実際に起きた「レオポルドとローブ事件」をもとにした舞台劇を映画化。物語の全編をワンシーンで繋げ、映画内の時間と現実の時間が同時進行するという実験的な手法で描ています。
ニューヨークのとある摩天楼を見渡せるアパートの一室。大学を出たばかりの青年フィリップとブランドンが同級生を絞殺し、その死体をチェストに入れます。殺害の動機無く、単に自分たちが他者より優れていることを証明する(ニーチェの理論)ためだけでした。2人はさらなるスリルを求め、被害者の父や恋人、恋仇、伯母、そして恩師である大学教授を部屋に招いて晩餐会を開きます。大胆にも彼らは、死体入りのチェストの上にごちそうを並べて皆に食べさせたり、殺人に使ったロープで本を縛って父親に贈ったりして、優越感を味わっていました。それでもデイヴィッドがなかなか現れないので、みんな心配し始めます・・・
犯した罪の恐ろしさに次第に冷静さを失っていくフィリップの姿がありました。2人の異常さに徐々に気づいた教授は、帰りに偶然被害者の帽子を見つけることになります。一度帰りますが、煙草入れを忘れたと口実の電話して、再び部屋を訪れます…教授役に「素晴らしき哉、人生!」のジェームズ・スチュワート。
1948年製作/80分/アメリカ
原題:Rope
ロッテントマト批評家支持率:92%
『ロープ』のスタッフとキャストについて
アルフレッド・ヒッチコック監督:
➢おすすめ映画『白い恐怖』(1945/アルフレッド・ヒッチコック監督)感想‣I.バーグマンが出演するヒッチコック作品3本の内の一つ
ジェームズ・スチュワート (ルパート・カデル教授):191cmの長身で、その誠実な人柄と、日々の生活で困難に立ち向かう「平均的な中流階級のアメリカ人」の善良な役柄を多く演じています。
➢おすすめ映画『裏窓』(1954/アルフレッド・ヒッチコック監督)感想‣暇つぶしに窓から外を覗いている内にとんでもない事件を目撃してしまう…
ジョン・ドール(ブランドン・ショー):自信過剰、傲慢な性格
ファーリー・グレンジャー(フィリップ・モーガン):かなり気弱な性格
ジョアン・チャンドラー(殺されたディヴィッドのフィアンセ、ジャネット・ウォーカー):
『ロープ』のネタバレ感想・見どころ
ネタバレ有り、閲覧ご注意!
殺害の動機は無く、単に自分たちが他者より優れていることを証明する(ニーチェの理論)ためだけだったということがさっぱり理解出来ず、中々感情移入しずらい所でした。しかしながら、本作品は実際にあった事件に基づいているということなので、これにはびっくり仰天しました。ニーチェの超人思想等の影響を受け,優者は劣者を殺してもよいという大変馬鹿げた思想に魅了された2人の青年が友人を殺すといういきなり冒頭のシーンに驚かされました…
敢えて言うならば”狂人”二人組です。この二人は、殺害した友人のご両親、フィアンセ、大学の恩師までを殺害現場で開かれた当日のパーティーに招待するという飛んでもない企みを実行しています。
最終的に事件を解明したのは、招待客の一人ルパート・カデル教授だったのは皮肉でした。彼はパーティの席では、ニーチェ理論の信望者とも取れるような発言をしていました。しかしながら、デヴィッドの死体を目撃した瞬間、君らは処刑台行きだ、もう逃げられないと罵ります。この見事な掌返しは一体どうなっているのでしょうか!?
二人組の一人フィリップは犯行直後から、心理的に変化が現れ、良心に咎められ動揺した表情を現しています。一方のブランドンは好対照で鉄面皮の男、かなり強気で押し通してきます。ピストルをポケットに忍ばせ、犯行がバレそうになる事を想定して、カデル教授を殺害する準備をします。それを教授に見透かされた為、ピストルを放り投げて旅行の為護身用だと弁明しています。
本編は、犯人とカデル教授の心理戦のバトルを愉しむことと、何度も出て来てとても有効に使われている小道具=ロープの作用に注目するべきだと思います。(殺害に使用される。チェストの隙間から見えている。初版本の束を括る為に使われる。カデル教授が突然ポケットから繰り出し見せつけふたりを動揺させる…)
なお、殺害されたデイヴィッドのフィアンセ役のジョアン・チャンドラーはたいへんに美しい女優です。勝気で、恋多い女性の役を演じていました。他の映画作品にも出演している様ですが、入手可能な情報量が少なく少し残念です。
コメント