『幸せの答え合わせ』のあらすじと概要
オスカー女優のアネット・ベニングとビル・ナイが離婚の危機を迎えた熟年夫婦を演じ、「ゴッズ・オウン・カントリー」のジョシュ・オコナーが息子役で共演した家族ドラマ。イギリス南部のイースト・サセックス地方にある海辺の町シーフォードで暮らすグレースとエドワードは、もうすぐ結婚29周年を迎えようとしていました。独立して家を出、一人暮らしをしている一人息子のジェイミーが久しぶりに帰郷した週末、エドワードは突然「家を出て行く」とグレースに別れを告げます。実は、エドワードは結婚生活に長らく不満を抱いており、1年前からこっそり付き合い始めていた他の女性と結婚するつもりでいました。突然別れようとする理由を聞いてグレースは絶望と怒りに支配され、そんな母を支えるジェイミーも自身の生き方や人間関係を見つめ直していくことになります。「グラディエーター」「永遠(とわ)の愛に生きて」でアカデミー脚本賞に2度ノミネートされたウィリアム・ニコルソンが、自身の実体験をベースに脚本を執筆し、自ら監督も手がけた作品です。
2018年製作/100分/イギリス
原題:Hope Gap
『幸せの答え合わせ』のスタッフとキャストについて
ウィリアム・ニコルソン監督・原案・脚本:BBCテレビでドキュメンタリー番組の制作に携わった後、作家・劇作家に転身、映画の脚本も執筆するようになります。『グラディエーター』や『エリザベス:ゴールデン・エイジ』、『レ・ミゼラブル』などの脚本を執筆
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アネット・ベニング(グレース):「アメリカン・ビューティー」(99)、「華麗なる恋の舞台で」(04)、「キッズ・オールライト」(10)の3作品でアカデミー主演女優賞にノミネートされています。
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ビル・ナイ(エドワード):TVドラマを中心に出演していたが、リチャード・カーティス監督の「ラブ・アクチュアリー」(03)で注目を集めています。「パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト」(06)のデイビー・ジョーンズ役など大作にも出演しています。
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ジョシュ・オコナー(ジェイミー):ジェーン・オースティンの名作恋愛小説をアニヤ・テイラー=ジョイ主演で映画化した「EMMA エマ」(20)で助演を務めています。
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『幸せの答え合わせ』のネタバレ感想・ハイライト
結婚29年を迎えた熟年夫婦の間に発生した突然の別れ話に驚愕する妻グレースの表情が凄かった。一方、他の女性がいると告白する夫エドワードは淡々とした表情でいつもと何ら変わりはありません。最近良く耳にする話では”熟年離婚”があります。身近な先輩でも経験されている方がいて身につまされます。結構悲惨な事になったと聞いています…定年退職、年金支給の年齢に達したところで、仕事一途で家庭を顧みてこなかった夫に愛想を尽かした妻が、ある日突然離婚を申し入れるというパターンが多いと聞いていました。本作品は真逆。愛を感じる事が出来なかった夫婦の生活に、夫が我慢に我慢を重ねた挙句の最終的な結論だったと思います。
突然”離婚”を突き付けられたグレースは、その現実を受け入れる事が出来ず、いつまでも抵抗をしましている姿は何となく哀れな気もします。離婚よりは”死別”の方が良かったとまで言い放っていましたが、これには心底驚きました…
私も最後の最後まで”アンジェラ”という女性は架空の人物で、もしかしたら本当はいないのではないかと感じていました。しかしながら、ラストで実在の女性でしかも彼女の家で二人は静かに暮らしている姿が映し出されてびっくり仰天しました。そこの元妻グレースも登場させているストーリーの残酷さには驚きます。
イギリス南部のイースト・サセックス地方の海岸の町の風景のシーンが何度も何度も繰り返し映し出されます。白亜の美しい絶壁が海岸沿いに長く続いています。何かあるとこの風景を眺めに行くようです。子育てをしている時代からも何度も訪れている場所で、昔とまったく変わっていない様に思えました。
険悪な二人の仲を右往左往しながら行き来する息子ジェイミーの存在も独特な映画の雰囲気を作る為には必要なものでした。監督・脚本を担当してウィリアム・ニコルソンの実体験を元に撮った作品という事で恐らくジェイミーには監督自身が投影されている思われます。自分の事で精一杯の年頃で、両親の愛憎劇に巻き込まれて苦労した様子が描かれていきます。
他人事のように思いながら視聴していましたが、何となく我が身にもいつ何時襲い掛かるか分からない”現実”という思いもあり…しんみりと観賞出来る良い作品だと思います。
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