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幌尻山荘連泊で登る北海道日高山脈最高峰「幌尻岳」(2052㍍)

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幌尻岳に登ってきました(日本百名山の100座目となります)。恐らく多くの方々、特に北海道以外の登山者の方も「幌尻岳」は面倒臭そうなので「後回し」になっているのではないかと思います。わたしも実はそうでした。残された大自然、遠い、川の渡渉・増水、山小屋で自炊の必要、時間・費用がかさむ、ヒグマとの遭遇等々数多くの懸念材料があり敬遠されがちです。しかしながら、この山を登らないと百名山を完登出来ません…今回は、日頃の行いが良かったのか、天候にも恵まれ初挑戦ながら「一発合格」する事が出来ました。正直頂上に立つまでは不安がいっぱいの山でした。今回の山行経験に基づき気付き事項を報告させて頂きます。現在、幌尻岳挑戦を検討されている登山者(単独・少人数の60歳以上)方々に少しでも不安解消、事前準備、安全登山の参考にして頂ければ嬉しい限りです。

幌尻山荘の予約(完全予約制)を取るのが難しい

通常毎年前年12月15日からインターネット予約開始が開始されます。電話予約開始はその年の4月1日より…インターネットの予約は早い時期から7-8月は満員になってしまう可能性が大きいです。しかしながら、心配は無用です。例年6月頃に7-8月分のキャンセルが徐々に出始めます(勿論キャンセルが出る事は100%保証出来ませんが…)今年の予約状況も大分ポロポロと空きが出ていました。わたしが今回利用したのは、たまたまキャンセルの出た8月上旬の幌尻山荘予約を確保、その上でとよぬか山荘、マイクロバスの乗車時間帯の往復席を予約しました。(とよぬか山荘、マイクロバスは比較的空いているので幌尻山荘の予約さえ出来ればほぼ問題無く予約出来ると思います)すべてインターネットで予約が可能でした。なお、 幌尻小屋の宿泊料金のみ事前に宿泊予定日の1ヶ月前迄に(銀行)振込する必要があります。その他は現地にて現金払いで受付です。

※テント泊は基本的に出来ません

8:00出発の第二ゲートに向かうマイクロバスの中、元気いっぱいの中高年多し

約一時間の乗車後バスを降り、いよいよ林道歩きを開始します。そこにはアブ・ブヨ大群のお出迎え!

小中学校廃校跡地を再利用した宿泊施設、2段ベッド、食堂・浴室などが完備、冷房もありかなり快適。駐車場料金一回300円は別途徴収されます。チェックイン受付は15:00開始〜予想以上の暑さと湿度に驚きましたが…

かつて小中学生が大勢の姿があった運動場跡・・・絶景!

名物ジンギスカン鍋!大好物です。翌日の汗は何となくラムの匂いがしました…3日後の晩も当然ながらまったく同じメニュー!朝食は梅おにぎり4個!ご飯の追加は一膳50円。

糠平川が増水すると渡渉出来ない(マイクロバスが運行されない)リスク

正直なところ、天候ばかりは運を天に任せざるを得ません。川の増水リスクがあるので登山計画は予め余裕を持って立てる必要があります。わたしは前泊地とよぬか山荘に登山の前後2泊、幌尻山荘に2連泊というかなり緩めの計画にしました。今回の山行では幸運な事にマイクロバスは川の増水の影響で運行中止される事はありませんでした。しかしながら、とよぬか山荘入りの前日、山荘から出発予定の第一便(4:00出発)は増水の為、「運行中止」となっていました。更に、無事下山しとよぬか山荘宿泊後(わたしはレンタカーで帰途につきました)翌朝の第一便も「運行中止」となっていました…渡渉の回数は15回程度と多くのガイドブック、SNS情報に記載されています。しかし、実際は30回以上あった様に思います。今回は殆んどの渡渉が膝下程度の水量で全く問題ありませんでしたが、2,3か所股下まで水に浸かる場面もありました。ここも摺り足で慌てずゆっくり渡ればまったく問題ありません。渡渉はいずれも短い時間で渡り切りますが、真夏でも水はとても冷たく感じました。ほとんどの重大事故は増水時の無理な渡渉が原因だそうです。余裕を持った計画を立て、無理をせず水量の少ない時間を狙い、安全第一を心掛けるべきだと思います。《安全対策で増水時はマイクロバスの運行もストップされています》

沢登りの経験はあるが、糠平川の渡渉とどう違う?

私自身、かなり以前沢登りの経験は少しだけありました。(丹沢勘七沢、小川谷、巻機山米子沢他)草鞋を利用した時代です。糠平川の渡河10数回の実際の難易度はまったく不明でした。今回ほとんどの渡渉は膝下までの水位でしたが、2か所程股下までくるところもありました。急流ではつま先を上流に向け、足は摺り足、足を高く上げ過ぎると水圧で持っていかれてしまいます。急流ではストックはあまり頼りません。ストックの中が空洞で軽く水圧で持っていかれてしまいます。沢靴は新たに購入せず、スキューバダイビング用のゴム底の靴で代用しました。水流が早いので水の中の(丸石)大岩の表面には苔が生えていません。その為水中の丸石に足を掛けてもゴム底靴のグリップが良く効いた印象があります。へつりには鎖、階段が設置されているのでゆっくり確実に一歩一歩進めば川に転落の危険は無いと思います。また、ピンクのテープを頼りに渡渉すればルートを迷う事はありません。万一テープが見当たらない場合、自分でルートファインディングすることはほぼ不可能と感じました。ピンクのテープを見失ったら、とにかく目を凝らして周囲をキョロキョロすれば必ず見つかるので落ち着いてゆっくり探しましょう!

今日の水量は多いのか?少ないのか? 行きと帰りではほとんど変わらなかった様な気がします。

沢の水は濁っていないので上流では雨は降ってい無さそう…

ピンクリボンを頼りに、ここは川の左側から右手のリボンに向かいじゃぶじゃぶと突き進む…

今度は左側のピンクを目指して渡渉…ここは楽勝

あんなところ(右上石の上と木の枝)にピンクのマークが…ここはちょっと手強そう…安全ルートを探す!

いよいよ川の渡渉も終盤(いい加減飽きてきました…)

山中の長時間の行動

幌尻小屋から幌尻岳往復は約8時間、その前後に林道歩き、川の渡渉含む4時間は体力的に1日では無理と感じたので、幌尻小屋2泊としました。山麓のとよぬか山荘も前後2泊としました。幌尻岳は川の渡渉2時間の苦労ばかり強調されていますが、幌尻山荘からの登りもかなりの急登から始まります。わたしは、登山開始5分後にうっかり左に折れ曲がるべきルートを沢沿いに直登し、藪漕ぎ後異変に気付きヤマップのルートを確認すると正規ルートからずれている事に気付きました。幸いなことに10㍍左のブッシュの先の木の枝にピンクのテープを発見し薮越えして正規ルートに戻りました。それ以降はまったく迷う事の無い一本道でした。

愈々登攀開始

ミヤマアキノキリンソウ

向かいの稜線が鮮やかに見えてきました…戸蔦別岳?

ナナカマドの真っ赤な実

命の水は下山時に水分補給の為立ち寄りました…(山道から2,3分下ります)

ハイマツ帯前方にこれから登るルートがくっきりと、前方を歩く登山者の背中が見えています…幌尻岳山頂方面には厚い雲

幌尻岳北カールを左手に見下ろす

オヤマリンドウ

チシマキンレイカ

新冠コースとの分岐に到達

視界不良ですが、感無量の山頂!

後は足元を注意して下るのみ…

長い長い尾根道ながら心も軽く!

全面に小さな花のお花畑が広がります

お花畑の広がる北カール

チングルマ

チシマギキョウ

 

何と美しい模様! 朝顔の様な蕾…リシリリンドウ?

様々な種類の花が咲き乱れる北カールのお花畑

ウサギギク

ミヤマアズマギク

オトギリソウ

チシマキンレイカ

幌尻山荘は食事の提供無し(管理人は常駐)

自炊用ガスバーナー、ガス缶、炊事道具、食料(増水で渡河不可の場合があるので予備食料も含める)を運び上げる必要があります。登山者が置いて行ったガス缶をとよぬか山荘で無料レンタルしてくれます。新品のガス缶も販売されています。幸い雨に降られなかったのですが、山小屋の炊事場・食事場は露天なので雨天時どうなのか少し気になりました…(小屋内では火気厳禁)山荘の前には沢の水を引き込んだ水道口があります。寄生虫の心配もある為、気になる人は一端煮沸して飲む様にとの断り書きがありました。

ウサギギク

ウメバチソウ

エゾツツジ

ヒグマ対策

ヒグマの棲息地域の為、熊に遭遇するリスクは避けられません。購入済の熊除けスプレーを宅急便(佐川急便のみ陸送受け入れ可)で佐川急便苫小牧営業所に事前に送付し、レンタカーでピックアップした。送料片道1440円。幸い今回はヒグマとの遭遇はありませんでしたが、幌尻岳北カールは雰囲気的にクマがいつ出てもおかしくない場所だと感じました。ハイマツの松ぼっくりの表面の柔らかい部分だけ齧り、芯のみたくさん残されていましたが、これはヒグマが食べ残したものなのでしょうか!? 熊除けの鈴は効果無いのではないかと言われたので煩いので着けませんでした…

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雲霞の如く攻撃を仕掛ける虫の大群

第二取水口から林道歩きは猛烈な虫の大群(ブヨ、あぶ他)持参した虫除けスプレーを撒きまくりましたがほとんど効果がありませんでした。ハッカスプレーもダメ、「オニヤンマ君」も全く役立たず。養蜂家が使う保護ネットの様なものが顔面攻撃対策に効果有りそうでした。渡渉中は虫は気になりません。幌尻山荘・幌尻岳登山中は虫は殆どいませんでした。もっと強力な防虫剤を研究し持参すべきでした、靴下・タイツの上からも容赦なく刺してきます。また、山では暑さ対策の為半袖を着用しましたが、これが大失敗左右10数か所ブヨ等に刺されまくりました。未だに痒さが無くなりません。長袖・長ズボン、肌の露出を絶対に避け衣服にはたっぷり虫の嫌う殺虫剤を染み込ませて行動することがとても重要です。

 

 

ウメバチソウ

幌尻岳の気温(8月初旬)

8月初旬気温は予想より高め、稜線、山頂は風もありちょっぴり”寒く”感じたが、それ以外は半袖Tシャツで通しました。北海道とは思えない湿度の為、全身汗まみれでした。山小屋の朝晩の冷え込みもそれ程でもなかったように感じました。なお、山小屋では断熱マット1枚の無料貸し出しがありました。シュラフ・毛布は有料(500円)にて貸し出し可。わたしはシュラフカバー一枚で寝てもそれ程寒く感じませんでした。宿泊当日は”満員”と聞いていましたが、場所的にはまだ余裕たっぷりだったと思います。

水場

渡渉中の沢の水は顔を洗ったり、口を漱ぐ程度に留め飲むことは出来るだけ避けました。幌尻山荘の蛇口からでる沢水も基本的には煮沸して飲むことが推奨されていました。登山道途中(ほぼ尾根まで登り詰める直前)にある湧水「命の水」は冷たくて本当に美味しく生き返りました。下山途中にのみ立ち寄りました。

写真では良く分かりませんが、冷たくて最高に美味しい湧き水たっぷり飲みました!

下山後の日帰り温泉 平取温泉(びらとりおんせん)ゆから

最終日幌尻山荘を後に、4時間の渡渉・林道歩きを終えてマイクロバスの出迎え地点に戻り安堵。チェックインは15:00スタートの為、とよぬか荘に荷物を置き、早速温泉施設「ゆから」に車で向かい汗を流しました(料金大人500円)。地元産平取和牛のステーキなどが食べられるレストランが併設されています。(14:00にランチ・ラストオーダー要注意、16:00ディナー営業再開)とよぬか山荘から30㌔程平取町中心部に向かいます。

ゆからは冷泉の沸かし湯らしいですが、期待以上の立派な施設でゆっくり寛ぐことが出来、山の疲れをしっかり癒す事ができました。(勿論こちらの施設に空きがあれば宿泊する事も出来ます)

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