マルホランド・ドライブ のあらすじ概要
2001年カンヌ国際映画際で監督賞を受賞している本作品を解説するレビューは現在ネット上で数多く見る事が出来ます。映画を見る前、または見た後でもこれらの解説を読んでもわたしには良く理解出来なかったというのが正直な感想です。それ程難解な映画です。正直おすすめ映画として紹介するには少し荷が重いと感じました。それもそのはず、日本公開時のキャッチコピーは「わたしのあたまはどうかしている」だったそうです。この文章だけは良く理解出来ますが…ご興味のある方は是非読み進めて見てください。
英BBCが選んだ「21世紀 最高の映画100本」でベストワンに選ばれているというから恐ろしい!更に、イギリスのエンタメニュースサイトdigital spyの「映画に出てくる名セックスシーンベスト10」で3位に選ばれたというがはっきり言って選ばれる基準が良く分からないですが、いわゆる見せ場であるに違いないと思います。
あらすじは、夜のマルホランドドライブ(山の山腹を縫う道路で、眼下にハリウッドの綺麗な夜景を眺める事が出来る)で自動車事故が起き、事故現場から一人生き延びた黒髪の女性は、助けを求めにハリウッドまでたどり着きます。女性が偶然潜り込んだ家は、有名な女優ルースの家でした。ルースの姪である女優志望のベティ(ナオミ・ワッツ)に見つかった黒髪の女性カミ―ラ(ローラ・ハリング)は、部屋に貼られていた女優リタ・ヘイワースのポスターを見て、反射的に「リタ」と名乗ります。彼女はベティに自分が事故で記憶喪失になっていると打ち明けます。リタのバッグには大金と青い鍵。ベティはリタの失った記憶を取り戻すことに協力していくことでストーリーが進展して行きます、、、残念ながら詳細については他レビューに譲りますが、多少ネタバレの概要をまとめると以下の通りです。
(映画鑑賞後に是非読んでみてください)
『女優を目指してカナダからハリウッドにやってきたダイアン(ナオミ・ワッツ 途中で人が入れ替わっている)は、思うような成功を掴めず売れない女優のまま。一方、”恋人”のカミーラは映画監督に気に入られて大役を掴んだ上、ダイアンを捨てて監督と婚約していまう。裏切られた怒りと嫉妬に狂ったダイアンは、カミーラを殺そうとするが、警察の捜査の手が迫り、自殺する。死の直前にダイアンの脳裏をかけめぐった夢が、彼女もカミーラも別人になっている前半部。夢の中では前途有望な女優であるダイアンは、何者かに殺されかけたことで記憶喪失になり、彼女の家に迷い込んできたカミーラを助ける』
「マルホランド・ドライブ」はダイアンの夢(妄想)、回想、現実の3つの部分から成り立っています。大きく分けて、死神がダイアンを起こしに来るまでが主にダイアンの夢、そして、それ以降は回想と現実が入り混じっています。この3つを見分ければ、難解なストーリーを理解する助けなると言われています。
但し、一度見た時はすべてが現実と思っていているので、観客の頭はだんだん大混乱をきたします。その為、観客に分かるまで何遍も映画を見直して貰おう映画館は考え、当時はチケットの半券を持っていれば1000円で再度鑑賞できるリピーターを推奨するキャンペーンが配給会社(コムストック)により行われたり、エンドロール終了後に表示されるパスワードを入手すると、日本語版オフィシャルサイトの特別ページに入ることができる特権が与えられ、「謎解き」のヒントを入手することもできたという工夫が凝らされた様です。こんな施策が出されることも十分理解出来ます。とにかく難解で一度見ただけでは理解不能だと思います。映画レビューを書かれている批評家も少なくとも3,4回は見ているのではないでしょうか…
時代的に少し共通する映画。
マルホランド・ドライブ ネタバレ感想
ストーリーとテーマについて
夢(妄想)、回想、現実が混沌としてしまい、映画の中で何が起こっているか語る事は難しいので、鑑賞する為のヒントをリンチ監督より以下提供されています。ストーリーを理解するための10のヒントです。映画公開時は、オフィシャルサイトにも掲載されたものです。キーワードをもとに本作品再観賞という意欲は余りありませんが、鑑賞前に読んで、気力を充実させて謎ときに挑戦してみたいものです。
デヴィッド・リンチによる10個のヒント:
- 映画の冒頭に、特に注意を払うように。少なくとも2つの手がかりが、クレジットの前に現れている。
赤いランプに注目せよ。 - アダム・ケシャーがオーディションを行っている映画のタイトルは?
- そのタイトルは再度誰かが言及するか?
- 事故はひどいものだった。その事故が起きた場所に注目せよ。
- 誰が鍵をくれたのか? なぜ?
- バスローブ、灰皿、コーヒーカップに注目せよ。
- クラブ・シレンシオで、彼女たちが感じたこと、気づいたこと、下した結論は?
- カミーラは才能のみで成功を勝ち取ったのか?
- Winkiesの裏にいる男の周囲で起きていることに注目せよ。
- ルース叔母さんはどこにいる?
キャラクターとキャストについて
デヴィッド・リンチ監督:1946年米モンタナ州生まれ。「エレファント・マン」(80)がアカデミー作品賞にノミネートされ、自身も監督賞、脚色賞(クリストファー・デボア&エリック・バーグレンと共同)の候補に挙がった。大長編SF小説を映画化した「砂の惑星」(84)を経て、「ブルーベルベット」(86)で再びアカデミー監督賞にノミネート。90年の「ワイルド・アット・ハート」はカンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞。TVドラマ「ツイン・ピークス」(90~91)は米国だけでなく日本でも大ヒット。01年の帆本作品「マルホランド・ドライブ」では、カンヌ国際映画祭の監督賞を受賞し、3度目のアカデミー監督賞ノミネートを果たした。
ナオミ・ワッツ:イギリス出身。14歳で家族とともにオーストラリアに移住する。シドニーの演技学校で学んだ後、1986年に演劇活動を休止し、モデルとして生計を立てるために日本へ移住した経験を持つ。しかしながら、この時期の経験を人生最悪の時期と振り返っている。同じく86年に「For Love Alone(原題)」でスクリーンデビュー。その後、ハリウッドへ渡り、「タンク・ガール」(95)や「娼婦ベロニカ」(98)などに出演するも、なかなか芽が出なかった。
しかし、01年デビッド・リンチ監督に抜擢され「マルホランド・ドライブ」に出演すると、アメリカ国内外から演技を絶賛され、スター女優となる。翌年には「リング」のハリウッドリメイク「ザ・リング」に、03年にはショーン・ペンと共演した「21グラム」、ピーター・ジャクソン監督の「キング・コング」(05)などに出演する。「21グラム」に続き「インポッシブル」(12)で、2度目のアカデミー主演女優賞ノミネート。
ストーリーの中でまだハリウッドでは売れていない端役のダイアンは当時のナオミ・ワッツと非常にダブる境遇であったそうだ。同じくオーストラリア出身のニコール・キッドマン(15歳でオーディションで知り合って以来二人は大変に仲がいい)が既にスターとして人気があったが、ナオミ・ワッツも本作品を切っ掛けにスター街道へ駆け上る。
まとめ
難解ではあるが、ナオミ・ワッツの体当たり演技が光っていた。ストーリーが一直線に進まず、時々あれっ!と思われるシーンが多発しますが、それを上手く乗り越えていく必要があります。一生懸命ヒントをもとに謎解きに挑戦するべきか、或はスクリーンの前で映像の流れに身を任せるか鑑賞方法は色々あると思います。
わたしのおすすめポイントは89点。
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