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おすすめ映画|『ウインド・リバー』(2017/テイラー・シェリダン監督) 米ワイオミング保留区を舞台にしたサスペンス映画 

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ウインド・リバー の作品情報

  • アメリカの辺境を舞台に現代社会が抱える問題や現実をあぶりだした「ボーダーライン」「最後の追跡」で、2年連続アカデミー賞にノミネートされた脚本家テイラー・シェリダンが、前二作に続いて辺境の地で起こる事件を描いた自らのオリジナル脚本をもとに初メガホンをとった犯罪サスペンス映画。
  • 第70回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で監督賞を受賞。主演は「ハート・ロッカー」のジェレミー・レナーと、「アベンジャーズ」シリーズのエリザベス・オルセン
  • 2017年 アメリカ映画、上映時間107分
  • 監督・脚本:テイラー・シェリダンの初監督作品。米テキサス州で生まれ。1990年代後半に俳優としてキャリアをスタートさせ、その後脚本家に転身し、メキシコの麻薬カルテルと米国土安全保障省の攻防を描いた「ボーダーライン」(15)で米脚本家組合(WGA)賞にノミネート。テキサスを舞台に銀行強盗を繰り返す兄弟と、2人を追う引退目前のテキサスレンジャーを描いた「最後の追跡」(16)で、アカデミー脚本賞に初ノミネートを果たした。17年、自ら脚本を執筆した本編「Wind River(原題)」で監督デビュー。
  • 主演:ジェレミー・リー・レナー(コリー・ランバート役) 1971年アメリカ、カリフォルニア州生まれ。『ジェフリー・ダーマー』(2002年)、『S.W.A.T.』(2003年)、『28週後…』(2007年)、『ハート・ロッカー』(2009年)、『アベンジャーズ』、『ボーン・レガシー』(2012年)などに出演。主演した『ハート・ロッカー』は2009年のアカデミー作品賞を受賞し、自身もアカデミー主演男優賞にノミネート。翌2010年公開の『ザ・タウン』でも高評価され、アカデミー助演男優賞などにノミネートされている。

出演作投稿記事➢

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  • エリザベス・オルセン(ジェーン・バナー役) 1989年アメリカ、カリフォルニア州生まれ。2011年から本格的に女優として活動し、「マーサ、あるいはマーシー・メイ」と「サイレント・ハウス」に主演、前者の演技が高く評価される。13年ニューヨーク大学の芸術学部を卒業。その後、ハリウッド版「GODZILLA ゴジラ」(14)でヒロイン役に抜てきされ、マーベル映画「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」(15)ではスカーレット・ウィッチ役に起用、「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」(16)や「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」(17)にも同役で出演。
  • 出演:ジョン・バーンサル(マット役)、ジル・バーミンガム(マーティン役)他

ウインド・リバー のあらまし

ネイティブアメリカンが追いやられたワイオミング州の雪深い土地、ウィンド・リバー先住民保留地で、主人公コリー・ランバートは雪原の中で女性の遺体を発見する。捜査の為、FBIの新人捜査官ジェーン・バナーが現地に派遣されるが、不安定な気候や慣れない雪山に捜査は難航。遺体の第一発見者である地元のコリーの協力が不可欠と判断し捜査の協力を求める。コリーは地元のベテランハンターでもあり、雪山の状況に非常に詳しい。ふたりはやがてネイティブ・アメリカンの村社会の闇を暴き出し、犯人捜査も解決に向かうのだが、そこで思いもよらない反抗に遭遇する。

ウインド・リバー の見どころ

この映画で存在感を示しているのはベテランハンターとして、自然や野生生物の生態に詳しい主人公コリーの落ち着いた判断力、言動ではないかと思う。人間が相対する大自然は氷点下20度にも達し、深い雪以外何も存在しない程厳しい世界です。

本編映画であぶり出しているのは、先住民はこの不毛の地である「保留区」にアメリカ政府によって強制的に移住させられたという歴史があります。同じような「保留区」は全米に100か所近くも存在しており、発生する犯罪、失踪した人間の統計すら余り調査されることはないというアメリカの闇の世界が横たわっています。この地域には耕作地も殆んどなく、生活の手段が無く、虚脱感が蔓延しドラッグにふける若者など映画の中で表現されているありのままの世界が大きな問題として暴かれています。

閉ざされたワイオミングの先住民居住区で起きた悲惨な事件を解決する話ですが、コリーも自分の娘を「ある事件」で亡くしている為、また被害者女性の親とも親しい関係にあったことから、娘を亡くした両親の気持ちは痛いほど分かるのだろうと思います。

一方、頼り甲斐のあるコリーに手助けを依頼するFBIの捜査官は若くて、美人の新米捜査官(ジェーン・バナー)はコリーとはまったく対照的にラスベガスから偶々出張でワイオミングに来ていました。未経験の厳冬期の雪原での犯罪捜査に戸惑うばかりで、捜査に全く手が付けられない状態でしたが、コリーの助力で捜査は直ぐに核心に近づくことが出来ます。おそらく、ジェーンたったひとりの力では真犯人を見つけ出すことは出来なかったでしょう…

最後に犯人逮捕に向かった際「掘削所」の一味から猛烈な抵抗に遭遇しますが、これもコリーの助力で命からがら脱出することが出来ます。彼は最後のシーンで病床に横たわるジェーンに対して、「お前は生き延びたので、家に帰れる」この世界では「生き延びるか、諦めるかのどちらか」「強さと意思がものを言う世界」「ここには運は無い」等のセリフのどれもが、ウィンド・リーバーという土地の自然環境の「厳しさ」もさることながら、政府に無理やり押し込められた不毛の地で生きる先住民の生活の現実を語る言葉に思われます。

後味の良い結末の犯罪サスペンス映画ではありませんが、コリーの頼れる男としての渋い魅力と天真爛漫な美貌のコリーと珍コンビによるストーリー展開がなかなか見ものでした。

アメリカの抱える多くの問題点の一部(人種差別、ネイティブインディアン問題)を理解出来る映画として、是非おすすめします。

これは映画ではないが最近読んだ本で日本、樺太、シベリア域に広がるアイヌ民族について書かれた歴史小説があります。参考まで。

熱源 直木賞 川越宗一著 樺太アイヌを主人公とする感動の歴史小説

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