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おすすめ映画|『家族を想うとき』(2019/ケン・ローチ監督) 英労働者階級の現実社会の衝撃的な真実!

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ほのぼのとしたヒューマンドラマの映画で見てみたが、実際はケン・ローチ監督が訴える深刻なイギリス社会問題を訴える告発映画となっている。日本でもほぼ同じ状況社会ではないのかと思うと背筋が寒くなる。本編見る前にはある程度の覚悟が必要ではなかろうか。

隣国フランスの最近の映画レ・ミゼラブルでもパリ郊外のモンフェルメイユ地区舞台の社会の闇を描いた映画と共通したものがある。レ・ミゼラブル 映画 仏新鋭監督ラジ・リが描く現代フランスの病巣 レビューまた、本年度アカデミー賞作品賞他を受賞したパラサイトも社会の不平等という意味では同類の映画です。パラサイト 半地下の家族 映画 ネタバレあらすじ感想

家族を想うとき の作品情報


 

製作:2019年イギリス・フランス・ベルギー合作 上映時間100分               原題「Sorry We Missed You」

監督:巨匠ケン・ローチ(1936年 イングランド、ウォリックシャ―州ヌニートン出身、オックスフォード大学ピーターズ・カレッジで法律を学ぶ、卒業後BBCに入社。1967年に長編映画「夜空に星があるように」(67)に監督デビュー。1990年代から、労働者階級、移民を描いた作品を多く発表し、「ブラック・アジェンダ/隠された真相」「レイニング・ブレイク」などで国際的に高く評価され始めた。その後「麦の帆をゆらす風」(06)と「わたしは、ダニエル・ブレイク」(16)で2度のパルムドールを受賞している。

「わたしは、ダニエル・ブレイク」を最後に、ローチ監督は映画界からの引退を表明していたが、引退宣言を撤回、グローバル経済が加速する中で変わっていく人々の働き方と、時代の波に翻弄される現代の家族の姿を本編「家族を想うとき」を新たに描き出した。第72回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品されている。

出演:クリス・ヒッチェン(夫リッキー役)経歴は異色。実際配管工として20年以上働いたのちに、40歳を過ぎて俳優となった。安い給料で人に使われるより、個人の力量で稼げることに期待する。体力も気力もある労働者のプライドと意欲、そして過酷な労働環境によりそれらが次第に萎えてゆくさまを、説得力ある演技でみせており、本編主人公はぴったりのはまり役である。  

デビー・ハニーウッド(妻アビー役)リス・ストーン(息子セブ役)ケイティ・プロクター(娘 ライザ・ジェーン役)

家族を想うとき のあらまし


 

イギリス、ニューカッスル。妻と10代の子が2人いるリッキーはマイホーム購入の夢をかなえようと、働き方次第で収入が増えるフランチャイズの宅配ドライバーとして独立した。なお、リッキーは10年ほど前に金融破綻の煽りを受けてマイホームの夢を挫かれ、以前の建設業の仕事を失った。その苦境を脱しようと、職を転々としながらも怠けずに働き、今度は新たに宅配ドライバーとして独立することを試みる。妻のアビーは訪問介護福祉士の仕事をして、家計を支える。彼女は夫が夢をもって語る個人事業主という労働形態を懸念しながらも、その熱意に押し切られた。1日14時間、週に6日、宅配ドライバーとして2年も働けば、マイホームが持てるという夢を追う。こう言ってリッキーは妻を納得させた。だが、いざ始めると、慣れない作業に手間取ったり、予想外のペナルティがあったりと、彼が思い描いたように仕事は上手く進まず、息子の万引きで仕事中に警察に呼び出されたり、仕事を休んだ為に過大なペナルティーを支払う羽目になったり、働いても働いても結局借金ばかりが増える始末。更に、リッキーの配達中に強盗に襲われ、怪我は負うは、積み荷は盗まれるはなど、ありとあらゆる困難責苦が降り掛かる。本編映画では誰からも救いの手は差し伸べられることは無い。映画のラストでも救いようの全くない虚無感だけが漂う。

リッキーの立場はあくまで個人事業主扱いになるために、病気になっても保険はない。休みも取れない。すべてのリスクは個人事業主であるリッキーに帰属してしまう。ゼロ時間契約で働くうちに、リッキーの借金は膨れ上がり、彼の家族を取り巻く環境は悲惨な状況になっていくというのが実際イギリスでは現実と存在する問題と聞いてびっくり仰天。                                

どれほど強い家族愛で結びついていようと決して浮かばれないのではないか? 自分自身に運が悪かったでは決して済ますことが出来ない問題が横たわっていると思う。

家族を想うとき の見どころ

ケン・ローチ監督映画を初めて見ました。

主人公一家は何らかの救いの手が差し伸べられ、計画通り2年後には念願のマイホームの夢がかなうのかと思って見ていたら、4人家族の生活はどんどん悲惨な結末に近づきつつありました。

夫リッキーも妻アビーも二人とも家族思いで、働き者の典型的な素晴らしい人たちにもかかわらず、国の金融破たんの煽りを受けて住宅を失ったり、職業を転々とせざるを得なかったり、漸く得た個人事業主としての独立した宅配ドライバーの職も決して楽な職業ではありませんでした。

仕事と家族の面倒で毎日14時間も働いても一向に明るさが見えてきません。妻のアビーも文句ひとつ言わず訪問介護の仕事を続けています。もともと所有していた訪問用の自家用車も夫の配送車購入資金が必要な為、手放してしまいました。その為、訪問介護にはバスで通う為、余計な時間を費やしています。

高校生の息子は万引きなどの非行に走り、手が付けられない状態に陥る。小学生の娘は父親の配送車がなくなれば、仕事に行かず、家にいてくれると考え、配送車のカギを隠してしまう行動(仕事を欠勤せざるを得ずペナルティーが科せられる)などは涙を誘います。

社会の理不尽、政府の無施策振りを徹底して糾弾する社会派映画としては100点満点、また、ケン・ローチが世界的な映画監督として高く評価されている事は非常にいい事だと思います。

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