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おすすめ映画|『僕たちは希望という名の列車に乗った』(2017/ラース・クラウメ監督)50年代ベルリンの壁以前の東独が舞台! 

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僕たちは希望という名の列車に乗ったの作品情報

  • 原題:(Das schweigende Klassenzimmer=静かな教室)は、2018年のドイツの青春映画。上映時間111分。
  • 監督はラース・クラウメ、1973年イタリア生まれ。前作には『アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男』(07)(ナチスの最重要戦犯アドルフ・アイヒマン捕獲作戦の影の功労者フリッツ・バウアーにスポットを当てた実録ドラマ。1950年代後半のドイツ・フランクフルト。
  • 検事長フリッツ・バウアーのもとに、逃亡中のナチス親衛隊中佐アイヒマン潜伏に関する手紙が届くというストーリーに基づくドイツ映画)がある。ラース・クラウメ監督は写真家のアシスタントとしてそのキャリアをスタートしている。監督になる前の映画学校では入学当初からカメラに関する知識は豊富だったが、学校では新しいものを学びたいという意志が強く「監督」コースを選択した。監督となってから挫折の経験としては友人と立ち上げた映画製作会社で作った作品が完全な失敗作となり、膨大な赤字を抱え倒産してしまった。失敗の原因を冷静に分析してみたところ、作品自体は良かったものの、失敗の根本原因は脚本の未熟が原因であったと分析、その後アメリカに渡り「ロバート・マッキー」という脚本の先生のセミナーを受講して、自分の脚本スキルを磨いたと明かしている。その後、自ら監督・脚本を手掛けた作品が 『アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男』へと繋がっている。
  • 出演はレオナルド・シャイヒャー(労働者階級出身の高校生テオ・レムケ役)、 トム・グラメンツ(テオの同級生で親友、エリート階級であるクルト・ヴェヒター役)など。東西冷戦下の東ドイツで起きた実話を、当事者の1人ディートリッヒ・ガルスカのノンフィクション『沈黙する教室』(大川珠季訳、アルファベータブックス)をもとに映画化されたもの。

僕たちは希望という名の列車に乗ったのあらまし

  • ベルリンの壁が建設される前の1956年の東ドイツが舞台。エリート高校に通うテオとクルトはある日、遊びに出かけた西ベルリンの映画館でハンガリーの民衆蜂起を伝えるニュース映像を見る。
  • 当時のハンガリーはソ連による軍事介入で多数の人々が犠牲になったことに怒りを感じた2人は、ただ犠牲者を哀悼したいという純粋な気持ちから、同じクラスの級友たちに呼びかけて授業中に2分間の黙祷を行った。
  • だが、この行為はソ連の影響下にある東ドイツにおいては体制への反逆行為とみなされ、当局の調査が入り、国民教育相から直接生徒たちに一週間以内に首謀者を明かすこと、それに従わない者は全員退学に処すという通達が下されてします。
  • 生徒たちは大切な仲間を密告して無事大学に進級してエリートを進むか、それとも信念を貫き大学進学を諦めて労働者として生きるか、人生を左右する大きな決断に迫られることになる。

「僕たちは希望という名の列車に乗った」の見どころ

1950年代の東ドイツというかなり特殊な状況の東ドイツの高校生の学校生活の一端を見ることが出来る。好奇心旺盛な高校生がたまたま観た映画館のニュース映像からハンガリーがソ連に抵抗して民衆が放棄したことを知る。その後、クラスメイトのおじさんの家で当時は視聴することが制限されていたというベルリンの米国軍からの流される西側状況を知ることが出来るラジオ放送を聴きハンガリー状況の詳細を入手する。

ひょっとしたことからハンガリーで決起し犠牲となった民衆の為に授業中に2分間の黙祷を捧げようとしたことが大問題へ発展していくことになるが、高校生達はそこまで深刻な問題になることは知る余地も無い。

ドイツ人がハンガリー民衆蜂起の犠牲者に黙祷を捧げる事が”国家反逆罪”であるかの様に取り扱われ、国家教育担当大臣までもが学校にやってくることも現在では全く信じられない出来事ではあるが、当時としては十分あり得る事だったのかもしれない。

最後にはクラス仲間の結束が確認され、学級閉鎖となってしまうが、首謀者ひとりのみを犠牲にして他のクラスメイトは難を免れる様な事が無いのが本編映画の素晴らしい結末である。高校生の勇気及び見守る家族の深い思いに心を打たれるものがある。

無意識のうちに当時の東ドイツの政治的タブーを犯してしまった若者たちが、仲間との友情や恋を育みながら、あるときはまっすぐに主張をぶつ け合い、人間として正しいこととは何かをひたむきに模索していく姿がドラマティックに描かれている。国家体制というしがらみの中で、思いがけなくこのうえなく過酷な現実に向き合わされた彼らが、人生のすべてを懸けた決断を下すクライマッ クスは、余りに感激的!果たして自分にこんな勇気が、強固な友情を守れるかか問い掛けられている様である...

おすすめ度★★★★★

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