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おすすめ本|『次世代半導体素材GaNの挑戦』天野浩著(講談社+α新書)窒化ガリウムが切り開くニューワールド!

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「次世代半導体素材GaNの挑戦」をなぜ読んだのか?


次世代半導体素材は窒化ガリウム(GaN)というのは話は初耳でした。一時期半導体製造装置関連の業務に携わった事もあり、半導体という言葉に敏感になっていたつもりでしたが、GaNという文字すら初めて見るものでした。そしてその説明の一文には、日本発、21世紀最大の産業が出現するという派手な宣伝文句につられて本書を手にしました。

「次世代半導体素材GaNの挑戦」を読んだ概要・感想

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次世代半導体の材料はシリコンから窒化ガリウム(GaN)へ、これは日本人がノーベル賞を獲った青色発光ダイオードの材料だった。天野浩氏は赤崎勇・中村修二とともに青色発光ダイオードの発明により2014年ノーベル賞を受賞。同じく窒化ガリウム(GaN)を使ったデバイスは、社会で電気を使う全ての物に使われるようになり、社会システムを根底から変え、21世紀最大の産業になると著者は情熱を傾けて技術応用拡大の道を模索しています。

天野さんの一番のひらめきは、博士前期課程2年の時、サファイア上に窒化アルミニウムのバッファー層を付けて世界で初めて窒化ガリウムの結晶成長に成功した成果がノーベル賞受賞に結びついた。

しかもその成果は名古屋大学大学院在学中の24才で達成されています。この実績はアインシュタインの25才を上回る若さでの偉業達成だったと記されています。

大学、大学院で延べ1,500回もの実験を繰り返す事で、漸くGaNのLEDを青く輝かす事に成功しました。天野氏には、光の三原色の中で、今まで唯一光らせることの出来なかった青色を光らせてみたという希望があったそうです。既に、赤色及び緑色のLEDは出来ていたので、「もし自分が青色発光ダイオード(青色LED)を作れば、テレビやディスプレイをスクリーンの様に薄く軽く出来る」と考えていたそうです。

しかし、成功までの途中の道のりは決して平坦ではなく、中でも博士課程後期の3年間では、学位を取得する為の学術論文について、実験での期待される成果が卒業期限までに得られず、最終的に満期退学。学位を取得できず過程を終えるという屈辱を味わっていました。本来であれば、博士号を取得しないまま、研究室で助手として研究を続けることは困難な筈ですが、恩師の赤崎先生の力添えで実験は続けることが出来たと述懐されています。

私は、CaNに関する研究や実験を継続してきました。その原動力は、世界中の人々の暮らしを良くしたい、もっと快適で安心な暮らしを皆が享受できる社会を作りたい。

と、記述されています。あまりにかっこ良過ぎる言葉ですが、ノーベル賞受賞者の言葉は、やはり重味を感じるものです。金儲けをしたいとか、有名になりたいとかいう目的では、まったく神様は味方をしてくれないのかも知れません。

私は現在、青色LEDの大きな恩恵を受けて暮らしているにも関わらず、どこがどれだけ素晴らしいのか正直良くわかりませんでした。しかしながら、今回本書を読むことで理解が深まりました。例えば、下記の通り、青色LEDの重要性が良く分かります。

LEDの中で青色LEDがもてはやされる理由の一つは、電灯に使う事が出来るからです。青色LEDの青の光の一部を黄に変換すると、青と黄は補色なので、混ざる白く見える。この仕組みが使えるのは、青色LEDだけです。

なお、本書の主題である次世代半導体の素材としてのGaNに関しては、

IOE(Intaernet of Everythingの訳語、すなわちすべてのモノのインターネット化)が将来のキーワードになります。IOT社会でネットワーク化される機器は、ほぼすべて電気エネルギーを必要とします。発電所や再生エネルギー等分散型電源や備蓄設備も含め、相互に情報を共有しつつ連携した運用が必要となる高度なエネルギーシステムが支える社会となります。

そして、このIOT社会をエネルギー面で支えるIOEには、パワーデバイスによるパワーエレクトロニクス技術が必要。パワーデバイスとは、モーターなどの電力源になる機器に電力を供給する電力用半導体素子や、大きな電力を増幅する半導体素子のこと。

現在はパワーデバイスには主にシリコンが使われていますが、素子の電気抵抗による損失が大きいため、これを低減する為には、シリコンよりも素子の電気抵抗が小さく出来るGaNを含む、ワイドバンドギャップ半導体によるパワーデバイスの実用化が期待されている。

ワイドバンドギャップ半導体には、CaNの他にも、シリコンカーバイドやダイヤモンド、酸化ガリウムがあるそうです。GaNの秘めたる巨大な潜在能力を引き出す事が出来れば、青色LED以外の分野でも、社会に貢献出来るとの期待を胸に研究を続けているそうです。

世間の一般的な意見はどうゆうものがあるのか?

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一件、感想の投稿があったので、引用します。

学生時代からのGaN(窒化ガリウム)の結晶成長研究、青色発光ダイオード(青色LED)の研究を通じて獲得された経験、知識を基に、具体的に、人材育成、社会に役立つ研究課題、企業との連携などを示すとともに、ご自身で実践されている大学での産学共同の研究システムが示されており、次世代半導体の研究者・技術者・学生ばかりでなく、他分野の方々にとっても非常に説得力のある書であると思う

同じ作者のおすすめの本はあるのか?

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他の著作の出版物はないようです。

最後に

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本書内の5Gに関して、患者に対する遠隔医療のついて、モニターを通じて医者の遠隔手術の可能性を支える低遅延の高速・大容量のワイヤレス通信技術にGaNが貢献できる可能性がある事を一例として挙げられています。人間の想像出来るものは、日々実現化に近づいていると確信していますが、それを支えるのがGaNなどの潜在的な可能性を秘めた素材であることが分かりました。

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