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おすすめ映画|『ペイン・アンド・グローリー』(2020/名匠ペドロ・アルモドバル監督)自伝的傑作映画!

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「ペイン・アンド・グローリー」のあらすじと概要

granadandyouによるPixabayからの画像

スペインの名匠ペドロ・アルモドバルが長年にわたってタッグを組んできた名優アントニオ・バンデラスを主演に迎え、70才を迎えての自伝的要素を織り交ぜ描いた人間ドラマ。世界的な映画監督サルバドール(アントニオ・バンデラス)は、脊椎の痛み、頭痛などの原因不明の病気を患っており、また4年前に最愛の母を亡くしたことで生きがいを見いだせず、心身ともに疲れ果てていました。引退同然の生活を送っていました。彼は、幼少時代の母親(ペネロ・ペクルス)と、その頃に移り住んだバレンシアの村での思い出の数々、30年前マドリッドでの恋の破局など、自身の過去を回想するようになっていました。そんな彼のもとに、32年前に手がけた映画の上映依頼が届きました。予期せず自身の旧作との再会が、思わず心を閉ざしていたサルバドールを過去へと翻らせていくことになります。現実と過去の思い出の部分を何度も行きつ戻りつ回想を繰り返すシーンは、サルバドールにとっては大変懐かしく、楽しい思い出の断片に満ちていいるものでした。

バンデラスが主人公の映画監督を繊細に演じ、2019年・第72回カンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞。第92回アカデミー賞でも主演男優賞、国際長編映画賞にノミネートされた。アルモドバル作品のマドンナ役、ペネロペ・クルスが貧しいながらも陽光降りそそぐ、バレンシアで、家族を明るく支える愛情深い母親を好演しています。

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スタッフとキャストについて

Manolo FrancoによるPixabayからの画像

名匠ペドロ・アルモドバル監督・脚本:映画「神経衰弱ぎりぎりの女たち」がベネチア国際映画祭で脚本賞を受賞し、世界的に注目を浴びる。その後、「オール・アバウト・マイ・マザー」(98)でアカデミー賞の外国語映画賞、「トーク・トゥ・ハー」(02)では脚本賞を受賞。世界的巨匠と呼ばれる映画監督のひとりとなりました。

アントニオ・バンデラス(映画監督サルバドール役):スペインを代表する俳優。近年の出演作に製作も手がけた「オートマタ」(13)、「エクスペンダブルズ3 ワールドミッション」(14)、「ライフ・イットセルフ 未来に続く物語」(18)、現在上映中作品「ドクター・ドリトル」(20)などもあります。19年にはアルモドバルの自伝的作品、本作品「Pain and Glory」に主演し、第72回カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞した。アルモドバル自身になり切り、繊細な役柄を丁寧に演じていた印象が深い。ドクター・ドリトルにも出演中ということなので、機会があればぜひみて見たいものです。

ライフ・イットセルフのレビュー投稿記事はこちら:

レビュー|「ライフ・イットセルフ」未来に続く物語 ボブ・ディランの名曲に乗り、運命の赤い糸に翻弄されるヒューマンドラマ

アシエル・エチェアンディア(アルベルト役):

ペネロペ・クルス(サルバドールが幼少時代の母親役):スペインを代表する監督の作品に多く出演、特にペドロ・アルモドバル監督作「オール・アバウト・マイ・マザー」(99)は国外での評価も高く、この作品を機にアメリカやイギリス映画への出演が増える。ウッディ・アレン監督の「それでも恋するバルセロナ」(09)でアカデミー助演女優賞を受賞。世界で活躍する女優として人気を集めている。勿論海賊アンジェリカ役で『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉』ジョニー・デップとの共演を忘れてはなりません。

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「ペイン・アンド・グローリー」の感想

Alfredo EstévezによるPixabayからの画像

世界的な名声を獲得している名匠ペドロ・アルモドバル監督の半自伝的要素を取り入れている作品で、長年監督と名タッグを組んできたアントニオ・バンデラスを主演に据えている。幼年時代のバレンシアの生活の回想シーンが懐かしい。貧しい生活ながらも特に母親から厳しいながら、温かく支えられながら成長した過程が詳細に描かれています。成績優秀である為、学費の心配をする必要のない神学校への進学は心底嫌がっていた様です。

なお、監督の人生に病魔が重くのしかかります。映画監督としての大成功の裏には、体を蝕みつつある原因不明の頭痛、背骨の痛み等があり、鬱状態になり、仕事に手が付かない状況で苦しんでいます。そこに、32年前の自分の作品が再上映されるというニュースが舞い込み、長年仲違いしていた出演俳優との再会(この時、ヘロインを紹介され、一時的に全身の痛みを忘れさせてくれる短い幸福感は得たようです)、更には30年前に別れた”恋人“(同性愛者!)との思いがけない再会も重なります。この時、元恋人から囁かれる「君の映画はどれも僕の人生の〝祝祭〟だった」言葉に、今まで全く忘れ変えていた大きな喜びを得る事が出来、自信を回復させることになります。

これらの、新たらしい出会い、従来重く伸し掛かっていたわだかまりから徐々に開放されていく心理状態の推移の様子が分かります。

又、ラストでバランシアの子供時代の思い出の一つに、自分が読み書きを教えた事がある塗装屋の青年に読書する自分の自画像を描いてもらいました。それを画商の展覧会で偶然に見出すシーンがあります。絵の裏には彼が嘗て教えた文字で感謝の言葉が書かれていました。この回想シーンなども事実だったのだろうという気がします。このように非常にささやかな「過去の栄光」の一つ一つを積み重ね、再度触れる事により、一度失い掛けた精気を取り戻す事は可能である事を教えてくれる映画だと思います。

おそらく、過去の栄光には大なり小なり各人にも必ずあるものであり、忘れ掛けている思い出を糧にして、将来に向かってもう一度、一歩でも二歩でも前進出来る事が可能に思える映画でした。

最後に

ddzphotoによるPixabayからの画像

腰痛、頭痛が続く奇病を患い、人生の最大のスランプに陥りながら又再生していく過程を描いている。70才を過ぎてから、もう一度人生に挑戦しようと意欲が湧いてきて作成された映画だという気持ちがなんとなく伝わってくる映画ではないかという気がします。困難に陥った時、人それぞれ立ち直る切っ掛けはほんの些細な事かも知れませんが、必ずあるものと固く信じたい。

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