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おすすめ本|『和菓子のアン』坂木司著(光文社文庫)デパ地下舞台のほのぼのミステリーに癒される

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おすすめ本の紹介
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「和菓子のアン」のあらすじ・概要

kjuneyoungによるPixabayからの画像

高校を卒業し、顔の知れた地元東京の商店街での勤務を良しとせず、無職に甘んじる気もなくアルバイトで働き口を探していたところ、東京百貨店のデパ地下の和菓子店「みつ屋」で働き始めた梅本杏子(うめもときょうこ)(通称アンちゃん)は、ちょっぴり(?)太めの18才。プロフェッショナルだけど個性的すぎる店長や元ヤン大学生アルバイト、和菓子職人を目指すみつ屋正社員など同僚に囲まれる日々の中、長い歴史と遊び心に満ちた和菓子の奥深い魅力に徐々に目覚めていく。千客万来の謎めいたお客さんたち(珍客)の言動に秘められた意外な真相が次々に明かされていきます。

確かに本書紹介のコメントにあるように「読めば思わず和菓子屋さんに走りたくなる」こと間違い無しのほのぼのミステリーです。読後の余韻が残りまくり…

「和菓子のアン」のネタバレ感想

unicorn_ownerによるPixabayからの画像

和菓子党の私としては大変興味のある内容でした。それも殆んど知らない事ばかりでした。和菓子と言えば、大福、最中、きみ時雨しか知らず、月替わりの上生菓子の存在を本書で初めてしりました。今度デパートに行ったら和菓子屋を覗いて気になった上生菓子を是非とも購入してみたくなりました。

小学時代わたしの実家の隣は和菓子屋でした。一年中大きな鍋であんこを煮たり、和菓子を手作業で作っている作業場を横目で見乍ら、一歳上の「猛(たけし)さん」と遊んでもらっていました。しかしながら、おやつに大福や団子を貰った記憶は全くありません。隣の家が和菓子屋だったから、和菓子が好きになった訳でもありませんが、アンコ類がかなり好きでした。アンパン、葬式饅頭、御汁粉。但しボタもち、おはぎの類はそれ程好きではありません。なぜならば、中身のもち米だけでお腹がいっぱいになりそれ程食べられなくなるからです。

➢ふるさと上尾(あげお/埼玉県)こころの中の”昭和”

本書「和菓子のアン」は2008年に出版されてから10年以上たっています。文庫本で出されてから50万部以上売り上げというから大大ベストセラーです。ほのぼのミステリーと名打っている通り、色々な推理で謎を解いていきますが、デパ地下の店舗で起ることなので、他愛もないことなのですが、本人たちにとっては死活問題かもしれません。やくざの様ないで立ちの和菓子職人の「半殺し」とかいう言葉にはぞっとさせられます。

坂木司氏は性別を明かしていない様ですが、私は多分女性だと思います。司という男性名をわざわざ使用しているし、女性でなければ描けないアンさんの気持ちを書いている様な気がします。

話はもとに戻りますが、洋菓子に比較して地味で、お客の数も多くなく、華やいでもいない和菓子売り場ですが、日本文化に寄り添うものとして無くてはならない存在であることを再認識しました。季節ごとに販売される和菓子に変化がある事はうすうす気が付いてはいたものの、日々の忙しい生活の中でも、やはり季節感を感じ乍ら生きる事は大事だと思います。

確か、元城下町だった所は、武士が茶道を嗜んだことから、庶民にも普及し、和菓子が給せられる為、和菓子屋が非常に多いと聞きました。確かに、以前住んだことのある広島、名古屋等は至る所に和菓子屋が今でも残っている様に思います。これらの小さなお店でも上生菓子は販売されているのでしょうか? 少し気になるところです。

「和菓子のアン」の世間の一般的な意見はどんものがあるのか?

読者の感想から何点か引用させて頂きます。

ミステリーというから、どんなにおどろおどろしいかと思っていたら、予想外にほっこりしてしまいました。こういう展開もいいなと思いました。

『和菓子は人生の局面(冠婚葬祭)に寄り添うことも知った』
本当にそうだと感心しました。和菓子をもっと知りたくなるし、そんな贈り物ができる人になりたいと思わせてくれました。

そして、わたしの日常にもこんなにミステリーが落ちているんだと思ったら、探しに行きたくなりました。

著者の作品である「切れない糸」がとても面白かったので、期待してこの作品を取りましたが合いませんでした。
和菓子に関する説明を楽しめるかどうかがポイントかなと思います。
私は甘いものが好きなので、ある程度なるほどと思いながら読めた部分もありましたが、特に大きな事件が起きるわけではないこともあり、和菓子の説明が多くてくどいなと感じてしまいました。
レビューの点数が比較的高めですが、誰にでも進められる作品ではないと感じました。

日常の謎ものとして、傑作に分類されるべき作品。
ミステリとしての完成度もさることながら、随所に表現される和菓子の美しさ、仕事を通しての人間としての成長が、物語として素晴らしい。

和菓子が食べたくなるというのは本当でした。

最後に

watappoによるPixabayからの画像

和菓子にしろ、洋菓子にしろ昔から気になっていた事は売れ残った分の処分はどうするのか?という問題です。本書のなかでは洋菓子店の売れ残りを翌日売って「おいしくない」と問題になっていました。でも、ルール通り、本当に廃棄していたら少しもったいない気がします。

でも、次回デパートに行くのが少し楽しみになりました。和菓子売り場に行ったらどんな上生菓子に出会える事やら…

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