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おすすめ本|『フォッサマグナ 日本列島を分断する巨大地溝の正体』 (藤岡換太郎著)ブルーバックス

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おすすめ本の紹介
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「フォッサマグナ」をなぜ読んだのか

WaSZIによるPixabayからの画像

ブルーバックスの科学物の著作で、特に宇宙に関する本などを題名に釣られ何冊か読んでみましたが、たいていの本は1/3まで到達しなうちに内容についていけなくなる事が多く、途中で投げ出すことが多かったと思います。そもそも本自体が初心者向けではなく、理系の研究者や専門家向けに書かれたのではないかと思われる著作が多いと感じられました。或は私の予備知識不足、或は理解能力が乏しいせいもありましたが、、、

実際、本書で説明されている「フォッサマグナ」という存在も聞いたことはあり、その正体に強い興味はあるものの、またこの本を最後まで良い見通せることができるのか、難解な為途中で投げ出してしまうのではないかという不安はありました。しかしながら、今書は、地質学の全くの初心者のわたしでも、一息に読む通すことが出来ました。

読み通せた理由の一つはフォッサマグナの舞台が長野県、山梨県、新潟県、静岡県にまたがる山岳地域であり、日本アルプス、丹沢、伊豆が中心で、登山でよく歩き回っていた地域でもあり、非常に親近感があったこと、もう一つの理由は著者が初心者でもわかるように平易な文章で解説してくれた(若干専門的な解説か所も何か所か含まれましたが、辛抱強く読めました)事にあると思います。

本書で知る事の出来た内容では大地溝(フォッサマグナが1500万年前に形成されたこと、その深さは地下6000㍍以上もあることや、「発見者」はナウマンゾウの発見者ドイツ人ナウマン教授であったこと等々、知らない事が本当に多く、今更ながら非常に驚き大変刺激になりました。

特に印象に残ったトピックスを以下ご紹介させて頂ければと思います。世界で唯一の地形の謎が少しだけ分かったような気がします。それにしても1500万年という気が遠くなる時間軸の話に思いを馳せるのも楽しいものです。

「フォッサマグナ」を読んだあらすじ・感想

Alex HuによるPixabayからの画像

大前提になるのが日本列島付近でせめぎ合おうプレートが4つも存在するという事。北米プレート、太平洋プレート、フィリピン海プレートとユーラシアプレート。しかも最初の3つのプレートの境界は千葉県房総沖で「房総沖海溝三重点」というポイントで重なっている、世界的にも大変珍しい地点だという事です。

日本列島には東西にまっすぐに「中央構造線」、これは日本列島の地質を南と北に2分する断層ですが、これはフォッサマグナを境に大きく歪曲されて分断されています。

フォッサマグナ西側の断層境界線は明瞭で、新潟県糸魚川から静岡県で直線距離で250㌔の断層です。高低差は数千㍍以上に及ぶ大断層を形成しています。この高低差は実際地表で見える高低差のみならず、地中奥深い古い地層の「基盤岩」からの新しい地層の断層の深さという意味ですが、その深さには驚きます。

一方、大地溝(フォッサマグナ)の東側の境界線はどこかというと、これは未だには切りした境界線は見つかっていないとの事。

更に、諏訪湖を境に北側を北部フォッサマグナ、南側を南部フォッサマグナと呼んでいます。北部フォッサマグナの地層は砂岩や泥岩など堆積岩が多く、1600万年前から継続的に海底に堆積していた地層というから驚きです。また、南部フォッサマグナを代表する丹沢山地は、厚さ数千㍍に達する海底火山の噴出物からなっているそうです。なぜ、南北でこれほど地質的に異なるかというと、それぞれの地質は別の場所で形成されたことに起因するものと考えられます。

これは南西日本の沿海にあったフィリピン海プレートの海底岩盤は伊豆・小笠原現孤をのせたまま北上し、本州の下に潜り込む、1年間に4㎝の速さで北上し、本州と衝突し続け、南部フォッサマグナを形成していったものと見られています。

その後、日本列島は元々大陸と地続きであった事、また、フォッサマグナの場所は日本海と太平洋を結ぶ海が繋がっていた話など、延々と大変興味深い解説がなされており、一気に読む通すことことが出来ました。また、各章の最後には日本各地フォッサマグナ関連の「ジオパーク」の紹介コラムがあり、興味深く読むことが出来ました。

世間の客観的な意見はどのようなものがあるか

アマゾン カスタマーレビューから参考までに抜粋させて頂いた:

なんとなく名前だけ知っていたフォッサマグナについて、分かっていること、分からないことをわかりやすく説明していると思います。まだまだ分からないことが多いようで、新しい知見が増えたら、また出版していただきたいと思います。

著者・藤岡換太郎氏 フォッサマグナ 日本列島を分断する巨大地溝の正体には、本州中部を南北に横断する火山帯が現生代中期の約1500万年前に形成されたであろうことを、多面的なデータで読者に魅力的に紹介する。

本書と同じ講談社のブルーバックスで翌月に刊行された『日本列島の下では何が起きているか』(中島淳一著)と、二つ合わせると理想的な地球科学トレーニングなるだろう。

同じ作者のおすすめの本はあるか

Engin AkyurtによるPixabayからの画像

興味深い本が多いですが、いずれもまだ読んでいません。機会あれば是非読んでみたいです。

  • 三つの石で地球がわかる 岩石がひもとくこの星のなりたち (ブルーバックス)
  • 山はどうしてできるのか―ダイナミックな地球科学入門 (ブルーバックス)
  • 海はどうしてできたのか (ブルーバックス)
  • 日本海の拡大と伊豆弧の衝突 ―神奈川の大地の生い立ち (有隣新書75)

まとめ

自然豊かな日本は温泉や優れた景観に恵まれている一方、本書を読む限り地球上では極めて特殊な位置にあるのかもしれない。地震も火山爆発も日常茶飯事は当たり前だ、話は本書の内容とはそれてしまいますが、やはり、どうしても、おいおいこんなところに原発をいっぱい作っていいのだろうかという話になってしまう気がします。

今後は、丹沢登山や北アルプスを登る時は”フォッサマグナ”を少し意識して大地を踏みしめたい。

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