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おすすめ本|「コロナショック&Xデーを生き抜く お金の守り方」藤巻健司著(PHP新書)

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おすすめ本の紹介
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著者の主論は近い将来ハイパーインフレの到来は不可避というものです。わたしも10年以上前からハイパーインフレの考え方の他著者の著作を何冊か読んでみて、日本円の将来に対して悲観的な見方を少し持っていました。藤巻氏の本著作での説得力のある説明で益々本気でハイパーインフレの発生を懸念するようになりました。現在の1ドル=100円前後から1ドル≒1000円でもなったら資産の価値は1/10のになるのか? 問題はやはり政府/日銀の大メタボ体質にある様です。

2011年頃の1ドル=70円の時代からは円安が進んだとはいうもののまだ1ドル=100円台を保っています。しかし、バブル以降、欧米各国の株式の回復ぶりと比較して、日本の株式市場は「不振」が続いています。日銀が大量での株式を積極的に購入していることで値を支えている所もあり、この程度というのももはや人為では限界があるということでしょうか? 欧米各国の主力企業の株式時価総額の差は歴然とした大幅な格差が生まれています。まるでウサギとカメの競争の様相となってしまいました。

これから日本に起こり得る事、その後の予想される回復状況、個人としてやるべき事等など大変経いな文章で論じ、且つ示唆に富む内容となっています。是非とも一読をおすすめします。

「コロナショック&Xデーを生き抜く お金の守り方」の概要

Jason GohによるPixabayからの画像

コロナショック後、日本はどうなるのか? そして、あなたのお金と生活は? コロナショックの影響はいつまで続くのか……。正直、先は読めないが、著者によれば「どう転んでも日本の危機は逃れられない」という。その理由は、日本政府及び日銀の「世界一のメタボぶり」。コロナ危機後、経済危機が長引けばもちろん、仮に短期で終息したとしても、また別の問題が発生するという。では、不可避の危機に対して、我々個人はどうすればいいのか。本書では、通貨、株、国債、金、不動産などについて、「今買うべきもの」と「買ってはいけないもの」を一つひとつ分析。さらに、「コロナ後の働き方」へも言及。そして最後には「未来編」として、コロナ後の日本と世界を大予測する。国内外を知り尽くす金融のプロであり、政治家として日本の問題点にも鋭く切り込んで来た著者だからこそ書ける一冊。コロナ禍を受け緊急発刊!(本書より)

藤巻健史(ふじまき・たけし)略歴:
1950年、東京生まれ。一橋大学商学部を卒業後、三井信託銀行に入行。80年、行費留学にてMBAを取得(米ノースウエスタン大学大学院・ケロッグスクール)。帰国後、三井信託銀行ロンドン支店勤務を経て、85年、米モルガン銀行(現・JPモルガン・チェース銀行)に入行。東京屈指のディーラーとしての実績を買われ、当時としては東京市場唯一の外銀日本人支店長兼在日代表に抜擢される。同行会長からは「伝説のディーラー」と称された。(本書より)

「コロナショック&Xデーを生き抜く お金の守り方」のとピックス・感想

S. Hermann & F. RichterによるPixabayからの画像

国内株は「大ばくち」買うなら米国株と言い切っています。本書内の説明を聞く限り、円からの一時逃避こそが自分の資産を守る最大の方法という事です。今ではネット証券で外国個別株、海外ETF等は簡単に購入出来ます。しかしながら、わたし自身日本国内のネット証券の口座で保有し続ければ良いのか、或は香港上海銀行など外資系銀行に口座を持ちドル預金をして、株式・ETFで運用した方が良いのかイマイチ理解出来ていません。以前同じようなハイパーインフレ対応の警鐘本では、日本国内銀行、証券会社の口座で外貨口座を保有してもあまり意味が無い、口座が凍結されてしまえば日本の金融機関からは現金を引き出す事は出来なくなってしまいます。やはり、確実なのは外資系銀行に口座を持つ事とありました。この辺はどうなんでしょう?もう少し良く調べなければならないポイントです。(現在わたしは中国銀行の人民元口座しか持っていません)

現状の日本の財政状況は一般家庭に例えれば、年収700万円の家庭が毎年1600万円支出している状況らしいです。しかも、すでに借金は1億1150万円もあるという事はどう見ても不健全そのもの。更に問題はこの状況に改善の方向性は一切見られず、(現在はコロナ対応で補助金などの支出は大幅増加のみこみ)悪化の一途を辿っている状況だと非常に分かり易く説明されていました。

氏の論点は「もはやハイパーインフレは不可避、如何にそのダメージを少なく食い止めるか」至急対応策を講じた方が良いという主張です。わたしは、日本の財政問題には全くの素人ながら(深く勉強したことはありません)、しかしながら巨額な借金が膨れ上がり、何となく相当問題であるという気持ちはありました。氏のいう最悪のシナリオに備えて、円建てだけの資産は、一部は米ドルにシフトして(銀行預金口座封鎖にも備える様に)行くべきものという意見に従った方が良いのではないかという気になってきました。

「コロナショック&Xデーを生き抜く お金の守り方」の世間一般的な意見はどんなものがあるのか?

Kai PilgerによるPixabayからの画像

アマゾン書評欄より一部抜粋させて頂きます。頷くべき内容もあるが、やはりハイパーインフレの到来については半信半疑という意見もあります。

コロナショック関連の雑誌や本は数冊読んだが、本書は「日本の財政」という視点から語られており、私にとっては意外と盲点だった。財政出動や景気浮揚策はもちろん、やったほうがいいに決まっている。しかし、お金は無尽蔵にあるわけではない。
たとえば、その「10万円給付」は誰のお金で、どう返すのか……。恥ずかしながらあまり思いが至らなかった。

コロナショックの先行きはまだ見えないが、「経済への影響は意外と限定的かもしれない」という論調も出てきているようだ。しかし、本書の論点からすると、これから景気が急回復しようが、不景気が長引こうが、それぞれ別の問題が浮上することがわかる。
著者が「オオカミおじさん」と言われてなお、警鐘を発する意味が非常によくわかる(その「Xデー」が本当に来るかどうかは、いまだに半信半疑だが……)。

 「ハイパー藤巻」と周りから揶揄されていると前書きで自ら触れているほど、ハイパーインフレに対する警鐘をこれまで鳴らし続けてきた藤巻健史氏。経済や金融に疎い人間でも理解しやすいよう可能な限り分かりやすい文章で、日本経済が直面している危機について述べてくださっています。

 第1章・第2章は「なるほど」と思わされる知見が多かったのですが、第3章『どんな危機にも負けない「稼げる自分」の作り方』は藤巻氏の昔話を聞いているような感じで、ページ数のわりに具体性が薄いと感じました。お話としては面白かったのですが…。
 また第4章『100年に一度の危機後に訪れる「日本経済・大復活のシナリオ」』では、日本経済は一度窮地に立たされるが“ジャパンクオリティ”があるから復活するという論調です。しかし、私が仕事で携わっているいわゆる“クールジャパン”とされているオタクカルチャー産業ですら数年以内に諸外国に追い越されかねない雰囲気が漂っています…

最後に

NickyPeによるPixabayからの画像

国の借金と企業の借金の違いが明確に述べられています。国は借金をして、福祉関連支出や公共事業にお金が足りないから借金までして支出している、一方、企業は借金して収益性のある資産を購入している。その資産を使い収益増を図る事が出来るが、国の借金は全く収益を上げる目的のものではなく、国は極力借金をするべきではなく、借金をした場合は一刻も早く返済すべきもの。

これに反して、現状の日本は借金が毎年雪ダルマ式に膨れ上がり、返済する見込みも無い飛んでも無い状況に陥っています。後世の子孫に借金が受け継がれていくことになりますが、これで本当によいのでしょうか?著者が言われる様に、万一かなりのインフレとなれば、確かに借金負担は軽減されますが、引き換えに物価の高騰(円の価値の暴落)にどこまで国民が堪えられるかだと思います。

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