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おすすめ本|『流浪の月』凪良ゆう著 東京創元社 本屋大賞受賞作品

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おすすめ本の紹介
マサコ アーントによるPixabayからの画像
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なぜ「流浪の月」を読んだのか?

今年の本屋大賞にノミネートされた本10冊の内8冊までは読んでみました。個人的には夏物語が気に入っていたので多分大賞を受賞するだろうと考えていましたが、4月7日に発表された結果、第一位は本作品「流浪の月」(凪良ゆう著)とわかり、慌てて本屋に行き買い求めて読んだ本です。結局、私の推したい「夏物語」は票が伸びず10作中7位に終わりました。さすが、目の肥えた全国書店員の選択眼に狂いは無く、本作品を読んでみるとなるほどと感心させられるストーリー展開の見事さと作者の筆力に舌を巻きました。今回私は凪良ゆうさんの本を初めて読ませていただきましたが、2007年長編『花嫁はマリッジブルー』で本格的デビューして以来、著作も多く出されておりかなり高評価をえているものが多いようです。なお、私は余り興味がないのですが、ボーイズラブ系の著作が多いと聞き、二度びっくりしました。

2020年本屋大賞ノミネート作品感想は以下の通り:

夏物語 川上未映子著 感想

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 書評 (著者ブレイディみかこ)

ライオンのおやつ 小川糸著 瀬戸内海のホスピスで生きる主人公を描く‐感想

線は、僕を描く 砥上裕将著 2020年本屋大賞ノミネート作品レビュー

 

「流浪の月」を読んだあらすじとネタバレ(要注意)感想

マサコ アーントによるPixabayからの画像

主人公(更紗)は少女時代に父親の病死後、母親との別れ、そして親戚に預けられます。その後様々な経由から養護施設で成人になります。9歳の時に、10歳年上の見知らぬ男性〈文)の家に2か月間暮す生活をします。その”事件”は世間的には文は拉致誘拐犯とみられ、警察に逮捕され施設で過ごすことになります。しかし、更紗には自分が住んでいた親戚の家には絶対に戻りたく特別な理由がありました。中学生になる年上の従兄から我慢出来ない扱いを受けていていました。一方、更紗を連れ去った文は一緒に暮らすことが単に目的で、更紗にいたずらをする事を目的にしたものではなかったのですが、世間一般の人は誰もそのような目ではみて見てくれません。

その後、成人した更紗は恋人(亮)も出来て、亮の実家にも招かれたりする幸せな生活を送っていましたが、ある日突然”誘拐犯”であった文を見掛け、彼が喫茶店を開いている事を突き止めます。文には恋人らしき女性の影もそばにありますが、更紗はなんと文の店に客として入いり、また、文が住んでいる家まで押しかけるという行動をとります。10数年振りの”再会”ですが、世間一般的に見れば、これは誘拐犯と被害者との再会であり、常識的には許されるべきものではない筈です。しかしながら、更紗の心情としては文は”誘拐犯”ではなく、あの時自分は自ら望んで行きたくて文の家に行ったという思いが強く、一緒にいて居心地が良かったという思い出を断ち切る事がどうしても出来ず深く悩みます。

一方、亮は更紗が文の店や家にまで行っている事に気付き面白くありません。挙句に家庭内暴力を振るうようになり、とうとう破局を迎えます。更紗は文の住んでいるマンションの隣に引っ越すという行動をとります。「愛している訳ではないが、そばに居られればそれでいい」という思いが高じた行動なのです。さらに文には身体的にある障碍がある事で、普通の大人の女性とは恋愛関係になれない身体だという事実も明らかになります。

非常に複雑で第三者の目からは全く信じられないような二人の男女関係の展開ですが、凪良氏の構成力、筆力で後半あたりから、一行毎に全く目が離せなくなる様な展開に恐ろしさもあり、興味森々な内容にどんどん引き込まれて行くことは間違いありません。

世の中平凡な男女だけではないという事を再認識をしました。前回読んだ「夏物語」川上未映子著でもそうでしたが(こちらは、結婚は望まないが自分の子供は産みたいというテーマ)現在よく言われる”多様性”には思いも寄らない形があるものだと感心しました。

二人には今後も波乱万丈ありそうですが、何とか乗り越えていけそうだという明るい兆しが見えてラストを迎えられますが、相当面白い内容なので是非一読をお勧めします。

世間の一般的な意見にはどようなものがあるか

以下感想をいくつか引用させて頂きます。自分の物差しだけで他人を勝手に判断するなとか、二人を応援したという意見が多数の様な気がします。さて、皆さんのご意見は如何でしょうか?

「事実と真実は違う」他の人には分からなくても、2人だけはすべて分かってる。痛みも辛さも、もどかしさも愛しさも。どうかこの先、2人が傷つくようなことが起きませんように。本屋大賞、取るにふさわしい一冊でした。

すごくいい話だった 情景や感情、動作など様々な描写が、それがプラスなのかマイナスなのかに関わらず綺麗で繊細で輝いていて、吸い込まれるように文章が読めた 内容は簡単に言い表せれないけど、この本はこれからもすごく大切なものになると思った ぜひ読んでみてください

同じ作者のおすすめの本はあるか

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2007年、長編『花嫁はマリッジブルー』で本格的デビュー。以降、各社でボーイズラブ(BL)作品を多数刊行し、デビュー10周年を迎えた17年には初の非BL作品『神さまのビオトープ』を発表、作風を広げている。  主要作品『未完成』『真夜中クロニクル』『365+1』『美しい彼』『わたしの美しい庭』などがある。

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