どの映画作品をみても必ず出会えるデ・ニーロ独特の「照れ笑い」の表情は忘れられません。ボクサー、マフィア、精神病患者など役作りに徹する姿勢は、きっと本人にすっかり為り切ろうとする真摯な気持ちで役にぶつかっているのでしょう。彼の作品のほんの一端だけ(10作)を好み順でご紹介します。やはり何と言ってもマーティン・スコセッシ監督とタッグを組むマフィア役がデ・ニーロの一番のはまり役になるのではないかと思います。
『レイジング・ブル』(1980/マーティン・スコセッシ監督)
後に「ブロンクスの猛牛」とも呼ばれるようになるジェイクが、八百長試合を強いてくる組織との関係などに悩まされながらも栄光をつかみとる。1949年、このタイトルマッチにおいて、ジェイクは見事にマルセル・セルダンをTKOし、チャンピオンベルトを手にした。しかしその裏で、ジェイクの病癖-ビッキーへの強い猜疑心、セコンドを務める弟ジョーイに対する複雑な感情を深め、信頼できる人間が次々と離れていくことで徐々に凋落していく姿に悲壮感が漂う。
映画感想|『レイジング・ブル』(1980/マーティン・スコセッシ監督)実在のボクサー、ジェイク・ラモッタの半生
『グッドフェローズ』(1990/マーティン・スコセッシ監督)
巨匠マーティン・スコセッシがニコラス・ピレッジのノンフィクションを基に、「グッドフェローズ」と呼ばれるギャングたちの生き様を描き、1955年から1980年にかけてのニューヨーク・マフィア界で生きた、ヘンリー・ヒルという実在の男を題材とした作品である。アメリカ映画名作ランキング・ギャング映画編では『ゴッドファーザー』に次ぐ第2位に選ばれている作品。
映画感想|『グッドフェローズ』(1990/マーティン・スコセッシ監督)ニューヨークのマフィア界で生きた、ヘンリー・ヒルという実在の男の生き様を描く
『カジノ』(1995/マーティン・スコセッシ監督)
ある天才賭博師を通じて、まだマフィアの支配下にあった1970年代から80年代のラスベガスを描いている。 ニコラス・ピレッジのノンフィクション『カジノ(英語版)』を原作とし、大部分を事実・実話に基づいている。
映画感想|『カジノ』(1995/マーティン・スコセッシ監督)
『マイ・インターン』(2013/ナンシー・マイヤーズ監督)
ジュールズ(アン・ハサウェイ)は、ファッション通信サイトを経営・管理する新興会社の辣腕CEOとして充実した日々を過ごしていた。仕事と家庭を両立するパーフェクトな女性像そのものの彼女はまさに勝ち組でしたが、ある日、公私の重大な試練が訪れます。同じころ、シニアインターンとして、40歳も年上のベン(ロバート・デ・ニーロ)が70才で採用され、ジュールズの会社で働くことになり、ジュールズの配下に配属されてやってきます。初めの内はジュールズにベンは少々煙たがられる存在でしたが、徐々にその存在感を発揮して、良き相談相手となっていく推移が絶妙な展開となるので面白い。
感想|「マイ・インターン」(2013/ナンシー・マイヤーズ監督)ロバート・デ・ニーロとアン・ハサウェイ共演のヒューマンドラマ
『レナードの朝』(1991/ペニー・マーシャル監督)
1969年。ニューヨーク、ブロンクスにある慢性神経病患者専門のマウント・カーメル病院に赴任したセイヤー医師(ロビン・ウィリアムズ)は、話すことも動くこともできない患者たちに反射神経が残っていることに気づき、訓練によって彼らの生気を取り戻すことに成功する。また、同じような症状の他の入院患者も同じ薬の投与により一時的に著しい回復を見せるのだが。
映画感想|『レナードの朝』(1991/ペニー・マーシャル監督)神経科医オリバー・サックスが実体験をつづった奇跡の医療ノンフィクション
『アイリッシュマン』(2019/マーティン・スコセッシ監督)
マーティン・スコセッシ監督、ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノなど超豪華な顔合せと聞いて大きく期待してみた。主要な出演者が70歳代と聞いて驚くが、迫力は少しも衰えていない。ドラマの内容がマフィア絡みの犯罪ドラマであり、あまりに多くの人が次々に殺されるシーンには流石に少し辟易したが、、、
『世界にひとつのプレイブック』(2012/デヴィト・O・ラッセル監督)
それぞれに愛する人を失い心に大きな傷を負った男女が巡りあい再生していく姿を、涙と笑いで綴るヒューマン・ラブコメディー。『ザ・ファイター』のデヴィッド・O・ラッセル監督が、人生の再起に懸ける男女を描く。デ・ニーロは良き父親役で出演している。
感想|『世界にひとつのプレイブック』(2012/デヴィト・O・ラッセル監督)ジェニファー・ロレンス主演ヒューマン・コメディ
『アメリカン・ハッスル』(2014/デビッド・O・ラッセル監督)
実話を元にしたフィクションを「ザ・ファイター」のクリスチャン・ベール、エイミー・アダムス、「世界にひとつのプレイブック」のブラッドリー・クーパー、ジェニファー・ローレンス、ロバート・デ・ニーロ、ラッセル監督作初参加のジェレミー・レナーら豪華俳優陣を迎えて描いた。79年、ラスべガスやマイアミに続くカジノタウンとして開発中のニュージャージー州アトランティックシティ。これほど豪華な共演者の中でもアラビア語を解するマフィアの大ボスとして本領発揮していた。
映画感想|『アメリカン・ハッスル』(2014/デビッド・O・ラッセル監督)1970年代アメリカで起こった収賄スキャンダル「アブスキャム事件」を映画化。
『ジョイ』(2015/デビッド・O・ラッセル監督)
シングルマザーのジョイ(ジェニファー・ローレンス)は航空会社で働きながら2人の子どもや家族の世話に追われ、貧しく冴えない日々を送っていた。ある日、割れたグラスを掃除したモップを絞って手を怪我した彼女は、触らずに絞れるモップのアイデアを思いつく。父(デ・ニーロ)の恋人に出資してもらい、父の工場でモップを生産したものの、誰も関心を示さずまったく売れなかったが、ある切っ掛けで爆発的に売れ始める。
映画感想|『ジョイ』(2015/デビッド・O・ラッセル監督)アイデア商品の発明で人生の大逆転を果たした主婦の実話を映画化
『ジョーカー』(2019/トッド・フィリップス監督)
まさにショッキングな狂気の映画と言える。一人の人間がその育ちや生活している社会環境の影響により、良心を失い悪の権化<悪のカリスマ・ジョーカー>にまで変貌する過程が描写されている。デ・ニーロの出演した最後の場面の演出は如何なものか!? 見応えのある、大変面白い映画だと思いましたが、デ・ニーロファンにとっては少しがっかりかも。
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