著者出口治明さんとは著書「還暦からの底力」(講談社現代新書)を読んで以来、明確な思考、極めて分かり易い文章が気に入り、著作を読むようになりました。しかしながら、調べていく内に膨大な著作量に圧倒されています。現在も継続し多くの著作を出版し続けているので、読むのが追いつかない程です。
自分の考え方を示され、その結論に至ったプロセスが大変分かり易いので賛同し易いし、押しつけがましくないのが良いのではないかと思います。また、読者に対して自分の頭でよく考えて、自分の考え方を持つように導きます。現代の日本人に不足している視点かも知れません。政治は政治家任せ、会社は社長任せでは、日本を取り巻く問題の多様化、複雑化に伴い、今より良い日本の実現は益々難しくなっている様な気がします。
感想「還暦からの底力」出口治明著/少し独創的な感じもしますが大変役立つ処世訓!
『自分の頭で考える日本の論点』の概略
玉石混淆の情報があふれ、専門家の間でも意見が分かれる問題ばかりの現代社会。
これらを自分で判断し、悔いのない選択ができるようになるには、どうしたらいいのか。
ベンチャー企業の創業者であり大学学長、そして無類の読書家である著者が、
私たちが直面する重要な22の論点を解説しながら、
自分はどう判断するかの思考プロセスを開陳。(本書背表紙説明より)
日本を取り巻く重要な問題点22個を取り上げ著者の考え方を論じると同時に、そう至ったプロセスを丁寧に説明しています。そして、次に我々はどうするべきか、どう考えるべきか、自分の意見を持つ様に仕向けてきます。一番これが面倒臭いのですが、しっかりした自分の意見を持つ為には1問1問問題の本質を捉える為何冊かの他の著作を紐解いたり、他人の意見を聞きに行ったりする必要があります。そんな暇はないので、専門家に任せるではもう許されないのかもしれません。
『自分の頭で考える日本の論点』のトピックス・感想等
取り上げられている22の論点の内何点かに絞り込み、その内容の一端をご紹介します。
1.ネット言論は規制すべきか? この項では特に匿名でネット言論がなされる為、責任感が希薄にある為、言論のクオリティーが低下すると述べてます。但し、大手の新聞でも大半の記事は無署名であると。また、わたし自身大問題だと感じていますが、『政治家の安易な発言撤回が許されるのは日本だけ』と指摘しています。つい最近も前安倍首相が国会答弁の訂正をしていましたが、これなどは大変大きな問題で、国会を軽視しているとしか考えられず、これは大変異常な事だと思います。
2.少子化は問題化? 大問題だと思います。根本的な問題は日本社会に残る男女差別であり、根は深いと指摘しています。ヨーロッパフランスの様に少子化に歯止めが掛かった国もあるので、そっくりそもまま真似しろとは言わないまでも大いに学び、取り入れるべき方法(女性が子供を産みたい時に、産んでもらう得るような環境・体制を社会全般に整備する等)は即実行に移すくらいの危機感を持った対応が日本には必要ではなかと考えます。
3.日本はこのままアメリカの「核の傘」の下にいていいのか? これも大問題です。永遠にアメリカの属国のままで、すべてアメリカの言いなりになっていて自主独立国と言えるのかという大変大きな問題です。著者は「中国脅威論」は無いと言われます。中国は現在のアメリカ中心の世界秩序を本音では破壊することを決して望んでおらず、既存の体制の下で自力を養う事を望んでいると主張します。却って、東西冷戦時代の思考から脱却できていない日本の考え方がお粗末であることを指摘しています。この外交問題については、後、20冊位研究署を読んだり、人の意見を聞いてしっかり現状認識を行い自分の意見を持てるようにしたいものです。
4.原発問題をどうする? これは本書内では論じられていません。地球環境を考えた場合、化石燃料を使用を制限する場合、どうしてもある程度原子力に頼らるを得ない事は理解出来ますが、フクシマ原発問題もあり判断が非常に難しい所です。この問題も専門家に投げ出すことなく、しっかり自分なりの意見を持ちたいと考えます。
『自分の頭で考える日本の論点』の世間一般的な意見はどんなものがあるのか?
大半は好意的な意見が多いのですが、各論の中では賛成できない部分もあるとの指摘に留まりました。(財政と一般家庭の家計を一緒に論じるのは可笑しい等…)
・・・何より本書全体を通して、『人間はあまり賢くはないが、それでも理性的な思考があれば、今よりも良い世の中を創ることができる、打てる手はある』という楽観的・ポジティブな信念が貫かれています。
暗いニュースばかりの昨今、ぜひTVを消して本書を読んでみて下さい。元気出ますよ。
相変わらず著者の本は素晴らしいですね。本書はその名の通り、今の日本の主な論点について自分の頭で考えられるようになるための知識と思考法を授けています。特に重要なのは「タテ・ヨコ・算数」の3つを大切にすること。「タテ=歴史を知る」「ヨコ=世界がどうなっているかを知る」「算数=数字、ファクト、ロジックで裏付ける」ということで、これにより思い込みにとらわれず、玉石混交の情報に騙されないようになる
「僕がどのようにしてその答えに至ったかという思考のプロセスをまず共有していただきたい。
そのうえで、僕のジャッジに納得するかしないか、しないとすれば、自分はどう考えるか」
と著者は「はじめに」にて述べている。確かに本書をスタートにして、深く考える道しるべになる。
以上アマゾン書評より引用させて頂きました。
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