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おすすめ本|『ニッポン巡礼』アレックス・カー著(集英社新書ヴィジュアル版)

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おすすめ本の紹介
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『ニッポン巡礼』の概略

Quang Nguyen vinhによるPixabayからの画像

本書を手に取り、表紙裏に以下の説明書きがあり、思わず購入してしまいました。

白洲正子の文筆に動かされた著者が、知る人ぞ知る「かくれ里」=隠された本物の場所を巡る。ひっそりとした寺社、山間の集落、海沿いの棚田、離島の原生林、城下町の白壁、断崖に囲まれた自然の入り江―。人が密集する著名な観光地ではない。SNSで話題を呼ぶスポットでもない。そんな場所にこそ、日本の魅力が隠されている。滞日五十年を超える著者が、自らの足で回った全国津々浦々の「かくれ里」から厳選した十カ所を、こっそりと紹介する。

著者は本書の最後の方でも、紹介する場所には読者には行って欲しくないと、甚だ矛盾する言葉が書かれています。本書では紹介するけれど、このままの状態で保存したいので、余りに多くの観光客には訪れて欲しくないという本音何だろうと思います。美味しい食事を提供する隠れ家レストランを紹介したいけれども、実際は余りに多くの人には押し掛けて貰いたくないので、こっそりと少数に紹介するのと一緒だと思います。気持ちは良く分かります。

本書内では著者が自分の脚で訪問された10か所が紹介されています。紹介内容にびっくり仰天しました。一般の日本人より良く勉強されているし、良く各地を訪問し日本の古き良き時代の自然・隠れ里的な趣の残る世界を愛して止まない気持ちが非常に良く伝わってくる本です。

一般的な観光ガイドとして、(著者の本書を出版した意思とは合わないかもしれませんが)本書片手にこっそり紹介されている”場所”を訪れてみたい気にさせられます。それと、挿入されている写真が物凄く素晴らしく、大変きれいなので引き込まれてしまいました。

紹介されている場所は以下の10か所です。

  1. 日吉大社、慈眼堂、石山寺(滋賀県)
  2. 羽後町田代、阿仁根子(秋田県)
  3. 能登半島(石川県)
  4. 八頭町、智頭町(島根県)
  5. 奄美大島(鹿児島県)
  6. 萩(山口県)
  7. 三井寺(滋賀県)
  8. 南会津(福島県)
  9. 青ヶ島(東京都)
  10. 三浦半島(神奈川県)

わたし自身既に訪問した経験のあるところもありますが、やはり、見る場所、見る視点が異なるとこういう見方もあるものかと非常に感心させられることばかりでした。日本の良さを再認識出来るような気がします。

『ニッポン巡礼』のトピックス・感想等

Quang Nguyen vinhによるPixabayからの画像

1.板井原集落(鳥取県)

鳥取県智頭町の紹介でやはり、普通のガイドブックとは異なる趣向の解説が目を引きました。この町の山奥に「板井原集落」総戸数100軒ほどの家屋があり、20軒程は江戸・明治期の建物で、県選定の伝統的建造物の指定を受けているものの、ほとんど人が住んでいないそうです。ただ、全く住んでいない訳ではなく、別の町におい移住した住人が正月やお盆に一時的に戻って多少の手を入れる状況の様です。また、道路が整備されておらず自動車は集落に入れないという欠点があるような、かなり廃れた印象です。しかしながら、ここにこそ、著者は「可能性を感じる」と、なぜなら、美しい景観は永遠に残され、俗世間からかけ離れた景観は「観光立国」が叫ばれる現代に適しているという意見です。

俄に納得しづらい「観光資源」論です。廃れ果た景観の集落は日本中至る所にあるような気もするのですが、、、 しかしながら、本書に掲載されている集落の写真から垣間見る限り「とてつもない美しい集落」に間違いなさそうです。以前2年間程広島に住んでいた経験がありますが、その時、板井原集落の事を知っていれば、迷わず訪れていたかもしれません。

2.奄美大島(鹿児島県)

以前「奄美大島の嘉徳浜に巨大コンクリートの護岸工事建設計画」が沸き上がり危うく美しい海岸がコンクリートで固められてしまうところだった様です。行政は日本中至るところで、取り返しのつかない爪痕を残している様です。話は違いますが、広島県の『鞆の浦』も埋めいう話も立てられそうになったという話も聞きました。

マンゴローブの原生林の写真も素晴らしい景観です。その原生林に囲まれた”ジュラシック・ビーチ”と呼ばれる嘉徳浜の美しさも是非一度訪問したい場所の一つとなりました。

『ニッポン巡礼』の世間の一般的な考え方はどんなものがあるのか?

shell_ghostcageによるPixabayからの画像

アマゾンカスタマーレビューより抜粋させて頂きました。好意的な感想が多い様です。

本書は氏のこれまでの人生で出会った景色、景観、風景を日本の文化や土壌がいかに改変されてしまったかを旅の哲学という文脈の中で綴って書き留めたものだと感じた。

場所が特定されれば無駄なお土産屋が出来たり、景観や自然が改変されてしまい、オーバーツーリズムにより本来あった姿は亡くなってしまう現実。

ふと思った。きっと身近な所にも手垢が付いていない改変されていない自然や文化が残っている場所があると。そう、そこに旅すれば良いのだと。

読書メーター感想より。

表紙の写真いいなと思った。あいだあいだにセンス光る写真が貼っていて、内容はともかく取っておきたくなる。

日本の前衛芸術の話はよく分からなかったが、土方巽という人物が書いてあったので、これが理解の切り口になると思った。延暦寺と三井寺の抗争や密教および関連する芸術に惹かれるフェノロサ、岡倉天心、さらに世界一の日本コレクションを誇るボストンのつながりまで平易に解説してあってわかりやすかった。

最近の問題については、オーバーツーリズムについて力説。

最後に

MAKOTO NAMATAMEによるPixabayからの画像

アレックス・カー氏の活躍は以下の通りです。過疎地に可能性を見出し再生し、地域振興につなげる仕事をされている様です。日本ならず、タイにも拠点を設け、活躍されていると聞きました。著作も多数あるので、是非今後読んでみたいと思います。

徳島県の祖谷(いや)は、険しい山並みに囲まれた四国の山間部の中でも秘境中の秘境として知られている。アレックス・カーは過疎化が進んだこの山里で、住む人がいなくなった茅葺き屋根の古農家を一棟貸しの宿泊施設として再生し、これまでにない画期的な旅の体験を打ち出してきた。

祖谷のほかにも、五島列島の長崎県小値賀町(おぢかちょう)、古い商店街が残る香川県宇多津町(うたづちょう)、奈良の秘境と呼ばれる奈良県十津川村(とつかわむら)など、その地ならではの再生プロジェクトを手掛け、観光を核にした地域振興につなげてきた

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