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おすすめ本|『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(ブレイディ・みかこ著)

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おすすめ本の紹介
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なぜこの本を読んだのか?

本屋大賞2019年ノンフィクション本大賞受賞作であり興味を魅かれ読んでみたが、かなり面白かった。初めて題名を目にした時は正直言って、余り読んでみたい気を起させるような題名ではありませんでしたが、巷の書評などを読んだところ、かなり好意的な意見が多く本書を手に取ってみました。

なお、わたしはTVで直接見たわけではありませんが、NHK「おはよう日本」「あさイチ」フジテレビ系「めざましテレビ」TBS系「王様のブランチ」で紹介されているとのことです。

又、受賞については本屋大賞のみならず、紀伊國屋書店スタッフが全力でおすすめするベスト30「キノベス! 2020」第1位を初め多数の賞を獲得している事を後から知りました。

2020年本屋大賞ノミネート作品で既読の本は以下の通り。(大賞受賞作発表は4月7日)

2020年本屋大賞ノミネート砥上裕将著「線は、僕を描く」レビュー

小川糸著 瀬戸内のホスピスで生きる主人公を描く「ライオンのおやつ」感想

第162回直木賞受賞作 川越宗一著『熱源』樺太アイヌを主人公とする感動の歴史小説

この本を読んだのあらすじ、感想

著者自ら若い時から音楽(パンク?)の道に進み、イギリスに渡り、現地日系企業に勤務をする傍ら、現地で「保育士」免許を取得し保育施設で働くなどキャリアを持っています。元金融街に勤めていたアイルランド人の夫と暮らし、リストラされた夫は何と大型ダンプの運転手を(昼夜)2シフトでやっています。子供は一人現在中学一年生という家族構成。

想像もしていませんでしたが、現地校での生活は連日問題の嵐で親子で対応にてんやわんやの大騒ぎです。それも小学校はカトリック系の中流市民の子弟が通う学校に通い、『優等生』であったにもかかわらず、中学では地元とは言いながら問題の多い『底辺中学校』に進学する道を自ら選んだようです。

わたしなら問題発生が一度でもあれば萎えて、より優秀な生徒揃いの優秀校への転校を検討し始めると考えますが、この親子は勇敢にも、バイタリティを発揮してあらゆる問題を無難に解決して悠然と乗り越え、どんどん逞しくなっていくところに感動を超えて、スーパーヒーロー親子を見る様な気がするのは私だけではないでしょう。

また、音楽、保育士、(ヤンキー)という肩書から想像も出来な筆力でぐいぐい読者を引き込んでいき、一気に読み切らせる作家能力は驚嘆に値すると思います。

全体は16章の構成になっており、一章毎に異なるエピソードが取り上げられています。すべてイギリスの多民族、多人種、多宗教のルツボの世界で起こる”事件”です。日本の単一民族の暮らしに住み慣れた我々には想像もできない事ばかり起こります。

しかしながら、中学生の男子生徒にしては少し大人びてはいないかと思われる息子の知恵も十分にかつ柔軟に発揮されているから驚きです。育てられた環境がその能力を育んだのか、或は母親の血を引く人並以上に優れた稀有の才能なのかは分かりませんが、(処世術の)”天才”親子のイギリス生活奮闘物語となっており、かなり読み応えのある本だと思います。

16章すべてのあらすじはここでは述べませんが、一番深く印象に残るシーンは親子が母ちゃんの故郷、九州福岡に帰省した際、立ち寄ったお店で酔っ払いの日本人サラリーマンに絡まれ「なぜ日本人の息子にきちんとした日本語を教えないのか、日本に対して失礼ではないか…」という全く意味不明の説教を受けるシーンには正直驚きました、、、

世間の客観的な意見は、どのようなものがあるのか?誰が読むべきなのか。

『多様性とは言葉は良いが現実は大変。その中で、ここに出てくるお子さんは、私なんぞより大人。というか、大人より子供の方が賢いですね。一方的な大人、自分が正義だと思い込んでる、たちの悪い大人が多いですから。この作品、読めて良かった…』

『教訓が散りばめられている本だったが、その中でもしっくりきたのは、「世界中で起きている混乱を乗り越えていくには、自分とは違う立場の人々や自分と違う意見を持つ人々の気持ちを想像してみることが大事。」シンパシー(感情的状態)抱くことができていたが、エンパシー(知的作業)という想像力までは持っていなかったことを自覚した…』

『イギリスについてぼんやりとしか知らなかったけど、ちょこっと知れた気がする。それ以上に、子供の柔軟さに感動した!大人がなんとも思わないことにつまづいたかと思えば、あっという間に自分らのルールで解決してしまう。素晴らしい。固まってないでほぐれよう、と思わせてくれた…』

これら読者の感想に全く同感です。寄せられる意見はほとんどが賛辞の嵐!大人気となっています。

これから益々外国人旅行客や外国人就労者を受け入れる事になる日本では外国との接し方について、勉強になる本だと思います。決して現在の自分の感覚のみが正しいと思っていたら実は世界的には大間違いだったというような事も多々あろうと思います。そういった意味では少々大げさになりますが、老若男女すべての日本人が読んで参考にすべき本かも知れません。

また、一番必要とするのはこれから外国人と接触する機会の多い人、これから外国に行ってそこに中長期的に住むことになる人は必読なのではないでしょうか!

同じ作者のおすすめの本はあるか?

著書『子どもたちの階級闘争』では、イギリスの緊縮財政がもたらした経済格差と多様性について、託児所に集う親子らの日常を通して描いた。その後、自身の子育てについて新潮社の雑誌『波』に月1回連載された。

他に『労働者階級の反乱~地べたから見た英国EU離脱~』 (光文社新書)など。


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