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ものすごい映画『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』(2017/ヨルゴス・ランティモス監督)感想‣ヨルゴス・ランティモスワールドの展開に心の準備を…

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『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』のあらすじと概要

「ロブスター」「籠の中の乙女」のギリシャの鬼才ヨルゴス・ランティモス監督が、幸せな家庭が1人の少年を迎え入れたことで崩壊していく様子を描き、第70回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞したサスペンススリラー。

郊外の豪邸で暮らす心臓外科医スティーブンは、美しい眼科医の妻や可愛い子どもたちに囲まれ順風満帆な人生を歩んでいるように見えました。しかし、謎の少年マーティンを自宅に招き入れたことをきっかけに、すぐに家族と打ち解けるものの、それ以来一家には奇妙な現象が次々と起き始めます。子どもたちが原因不明で突然歩けなくなったり目から血を流したりと…やがてスティーブンは、容赦ない選択を迫られることになります。それは、スティーブンはかつてマーティンの父のオペを担当しており、不幸にもオペの途中死亡するという”医療ミス”を起こしていたのでした…

ある理由から少年に追い詰められていく主人公スティーブンを「ロブスター」でもランティモス監督と組んだコリン・ファレル、スティーブンの妻を「ドッグヴィル」のニコール・キッドマン、謎の少年マーティンを「ダンケルク」のバリー・コーガンがそれぞれ演じています。

原題:The Killing of a Sacred Deer

KanenoriによるPixabayからの画像

『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』のスタッフとキャストについて

ヨルゴス・ランティモス監督・脚本:ギリシャ・アテネ出身。アテネの映画学校で映像演出を学ぶ。2005年、初の長編監督・脚本作「Kinetta(原題)」を発表している。

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コリン・ファレル(スティーヴン):ダブリンの演劇学校在学中からTVドラマや映画に端役で出演。ジョエル・シュマッカー監督の「タイガーランド」(00)で高く評価される/医療技術の腕に関しては優秀な心臓外科医でしたが、マーティンの父親のオペの前に飲酒をしていた事実が麻酔医師の口から明らかになります。誰にも打ち明けられない秘密を抱え込んでいました。

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ニコール・キッドマン(アナ):ミュージカル映画「ムーラン・ルージュ」(01)でアカデミー主演女優賞に初ノミネートされ、翌年の「めぐりあう時間たち」(02)で同賞に輝く/気丈な性格で夫や家族を支える。

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バリー・コーガン(マーティン):アイルランドの首都ダブリン出身。クリストファー・ノーラン監督の戦争大作「ダンケルク」(17)でイギリス兵救出に向かう民間船の乗組員ジョージ役を演じて国際的に脚光を浴びる/執拗にスティーヴン医師に纏わりつく、精神異常者的な部分もある。スティーヴンの子供にどんな薬品を飲ませたのか不明ながら、突然歩けなくなったり、食欲が失くすような”妖術”でも使うのかは謎に包まれる。

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PublicDomainImagesによるPixabayからの画像

『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』のネタバレ感想

ネタバレ有り(要注意!)

『ロブスター』『女王陛下のお気に入り』などの映画でヨルゴス・ランティモス監督を知りましたが、本作品『聖なる鹿殺し』もかなりインパクトの強い映画でした。題名はギリシャ神話から取っているらしいですが、よく分かりません。

根底にあるのは、ハムラビ法典の「目には目を歯には歯を」の復讐そのままのストーリーにぞっとさせられました。マーティン役のバリー・コーガンの気味の悪い演技は天下一品でした。ねちねちと執拗に纏わりつき、決して他人に借りを作らないしたたかさ、未亡人となった実の母親を医師のスティーヴンに故意に近づけようと仕組む行為などは16,7歳の少年の思考・行動の域を遥かに超えていました。また、アナが訪ねて来た時のマーティンのスパゲティ・ナポリタンの食べ方は彼の異様さを倍加させる効果満点でした。

最後まで、もやもやとして結局良く分からずに終わりましたが、二人の子供がマーティンの言葉通りに発病して歩けなくなったり、やがて食べ物を食べられなくなったりします。これは、ある種の「薬品」を使った為なのかどうなのか? この部分の種明かしはやはり難しいのかもしれません。

最終的にはマーティンの筋書き通りに『復讐劇』は完結して終わります。自分の息子一人を犠牲にするという納得しがたい結末に唖然とさせられました。うやむやにされた医療ミス問題に対しての『責任』の取り方の一つを示しているのかもしれませんが、余りに残酷過ぎる気はします。

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