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公開中 おすすめ新作映画見どころ|『オートクチュール』(2022/シルビー・オハヨン監督)「奴隷みたいな金額でドレスを作る…」という世界!?

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『オートクチュール』のあらすじ概要

フランスのラグジュアリーブランド「Diorディオール」のアトリエを舞台に、世代も境遇も異なる2人の女性の人生が交差する様子を描いたヒューマンドラマ。

ディオールのオートクチュール部門でアトリエ責任者を務める孤高のお針子エステルは、次のコレクションを最後に引退することを決めていました。準備に追われていたある朝、エステルは地下鉄で若い女性にハンドバッグをひったくられます。ジャドがエステルのハンドバックを盗んだことで、出会うはずのなかったふたりの人生が交差していきます。その犯人ジャド、夢を見ることさえ知らなかった移民二世の少女の滑らかに動く指を見た瞬間、ドレスを縫い上げる才能を直感したエステルは、彼女を警察へ突き出す代わりに見習いとしてアトリエに迎え入れます。

反発しあいながらも、時には母娘のように、そして親友のように、美を生み出す繊細な技術をジャドに授けていくエステルでしたが、コレクション発表を直前にし、とうとう過労で倒れてしまいます…

「たかが世界の終わり」のナタリー・バイがエステル、「パピチャ 未来へのランウェイ」のリナ・クードリがジャドを演じた。ディオール専属クチュリエール(ディオールの衣装デザイナー)ジュスティーヌ・ヴィヴィアンが衣装監修のもと、ディオール・ヘリテージに保管されていた幻のドレスや貴重なスケッチ画などが登場します。

本作品「オートクチュール」は、3月25日から東京地区では新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマほかで公開中。

原題:Haute couture

trieu haによるPixabayからの画像

『オートクチュール』の監督と主要キャスト

シルビー・オハヨン監督・脚本:ユダヤ系チュニジア人として幼少期をパリ郊外ラ・クルヌーヴの大規模団地「cité des 4000」で過ごす。その後文学を学び広告クリエイターとなる。小説家として6冊の本を出版しいてる。

ナタリー・バイ(エステル):1948年生まれ、73歳ですがもっと若く見えます。フランソワ・トリュフォー、ジャン=リュック・ゴダール、モーリス・ピアラなど偉大な監督たちの作品に出演、セザール賞を始め受賞多数。90年代以降は『アメリカン・ビューティ』(99)や『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(02)などハリウッド作品に抜擢されている。

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リナ・クードリ(ジャド):1992年アルジェリア生まれ。ジャーナリストの父とバイオリン教師の母という文化的な家庭で育つ。内戦中に両親と共にフランスに避難。「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」などの話題作に出演している。最新作はカンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション作品の『ガガーリン』

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『オートクチュール』のネタバレ感想と見どころ

ディオールの大変に興味深いアトリエの様子が仔細に描かれていることに驚きました。ファッション業界の方々は一層興味が湧くのではないかと思いました。ド素人の私が見た場合は、あぁこんなものかで終わってしまいますが…平日午後の上映時間帯にしては、館内はほぼ満席、大入り大盛況、しかも女性客が95%以上を占めており、やはり本作品への女性陣の関心の高さが分かります。

ディオールのアトリエの責任者が退任する前に、近い将来の「お針子」候補を、ある日偶然に見掛けた少女の手を見ただけで、将来性を感じ、「お針子」の弟子として雇い入れるという、俄かに信じ難いストーリーの展開に驚きました。大師匠エステルの眼力は鋭く、ちょっとした「訓練」でジャドはメキメキと裁縫技術を上げて行きます。しかしながら、師匠エステルと孫ほども年齢差がある弟子ジャドと性格、生活習慣、育った環境は違い過ぎ、平穏に関係が続く事はありません。又、安易な妥協などあり得ない二人でした。何度も激情的な衝突・破綻を繰り返しながらも、アトリエにまたまた舞い戻る事の繰り返しでした。

フランス国内の移民問題、宗教問題、中上層階級と下層階級との格差問題、ジャドの親友の少女は「何故働く必要があるの、生活保護、失業保険を貰って暮せば良いのに」と堂々と言い放ちます。ジャドの母親は鬱病となり、生活はまだ10代の一人娘に頼り切って毎日寝て暮している状態です。ジャドが偶然にエステルに拾われなかったら、永遠にスリ、窃盗の繰り返しのその日ぐらしのままだったのではないかと思うとぞっとします。

更に、師匠エステルの生涯にも光を当てています。エステルの母親もやはりディオールの元お針子で娘の事を一切構わない親だったらしく、エステルも孤独な娘時代を過ごしたという過去の独白があります。しかしながら、エステルはその『過ち』を再度自分自身でも繰り返してしまった様です。この為、現在は二人の実の娘とは暫く連絡も取れず、責任ある仕事は任されているもののひとり孤独な生活を送っています。

100分というそれ程長くはない上映時間の中にこれ程濃密な内容が重層的に表現されています。そして、色々考えさせられる映画であり、観賞後同行者とのお茶、食事の際、話しが尽きる事は無いのではないでしょうか?

 

 

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