『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』のあらすじ・概要
「マージン・コール」「オール・イズ・ロスト 最後の手紙」(いずれの作品も残念ながらまだ見ていませんが…)のJ・C・チャンダー監督が、「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」のオスカー・アイザック、「ゼロ・ダーク・サーティ」のジェシカ・チャステインら実力派キャストを迎え、夢を信じてオイルビジネスに全てをかけた男が、わずか30日間で全てを失っていこうとする様を描いた緊迫した社会派ドラマ。
1981年、ニューヨーク。この時代はニューヨーク史の中で最も過酷な時代だったという。移民としてアメリカにやってきたアベルとその妻アナは、モラルを無視したつぶし合いが平然と行われている石油業界に乗り込み、クリーンなビジネスを信条に会社を立ち上げ、順調に経営を進めていました。
しかし、全財産を、イースト川の石油ターミナルの土地購入という新規事業につぎ込んだ直後、何者かによって商売道具のオイルが、何者かによりタンクローリー毎次々と強奪されるという事態が発生します。アベルの妻、アンナは暴力には暴力で対抗すべきだと主張していましたが、理想主義者のアベルはそれを拒絶していました。更に経営する会社の脱税疑惑が明らかになり、家族への脅迫といったトラブルに襲われることになります。
悪い噂が広まったことで銀行からの融資も突如受けられなくなり、妻との間にも亀裂が入り始めてしまったアベルは、孤立無援の中で破産を回避するため奔走します。
2014年製作/125分/アメリカ
原題:A Most Violent Year
『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』のスタッフとキャストについて
J・C・チャンダー監督・脚本・製作:08年の世界金融危機(リーマン・ショック)を題材にした「マージン・コール」(11)で長編映画監督としてデビュー。同作は脚本も自ら手がけて、アカデミー脚本賞にノミネートされるなど高い評価を得ました。
➢おすすめ映画感想|『トリプル・フロンティア』(2019/J・C・チャンダー監督)
オスカー・アイザック (アベル・モラレス):南米からの移民でありながら、米国ニューヨークのオイルビジネスの世界で凌ぎを削る競合の中で、『クリーン』ビジネスを掲げ商売難きを打倒している。
➢「オスカー・アイザック」の最近見た・見直したおすすめ映画10作品(順不同)をご紹介します
ジェシカ・チャステイン (アンナ・モラレス):夫と共に南米移民としてニューヨークにやって来て成功を収めている。会社の帳簿を捜査して利益留保をする当たり抜け目のない所を見せている。かなり強い性格の持ち主。
なお、チャスティンとアイザックはジュリアード音楽院で学生時代に出会ってから、ずっと共演を願ってきた間柄といいます。スターダムに上がるまでの10年間ずっと連絡を取り合ってきたそうです。最初にチャスティンが同映画への出演が決まり、チャスティンはチャンダー監督にアイザックの出演を自ら懇願したメールをおくったという。
➢「ジェシカ・チャスティン」おすすめ映画10作品(最近見た映画、見直した映画限定、順不同)
デビッド・オイェロウォ(ローレンス検事):名門ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの「ヘンリー6世」で黒人俳優として初めて英国王を演じ、イアン・チャールストン・アワードを受賞しています/アベルを追い詰める検事役。
出演作品➢おすすめ映画感想|『ミッドナイト・スカイ』(2020/ジョージ・クルーニー監督)SFドラマ Netflix配信で視聴
おすすめ映画感想【インターステラ―】(2014/クリストファー・ノーラン監督)宇宙空間への時空を超越した『飛行』を愉しむ!
『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』のネタバレ感想
(ネタバレあり)1981年はわたしが会社に入社する1年前なので、それ程大昔ではないと思っていました。しかしながら、映画で描かれるニューヨークはかなり物騒な世界である事が分かります。地下鉄の中の野放図な落書きが如実に物語っている様に思えます。現在は落書きはきれいさっぱり消し去られ地下鉄も少しは安全になったのかもしれません(油断大敵ですが…)
当時、チャンスとピンチは表裏一体の世界だったのかもしれません。『虎穴に入らずんば虎児を得ず』こんな危険極まりない業界に飛び込み、『素手で戦う』(正々堂々と)というのもちょっと考えが甘いのではないかという気もしなくはありません。オイル業界の荒くれメンバー、全米トラック業界の幹部(映画『アイリッシュマン』で裏側が描かれていました)、マフィアの世界、更にユダヤ人から土地購入のシーンが描かれています。ユダヤ人は契約に関してはきっちりと守りますが、当然、相手に対してもきっちり契約条件に従う事を求めます。その意味では土地の売買契約は30日の期限以内に遂行することを約束し、守れない場合は支払った40万㌦は没収するという条件付きなので、本当に嫌な予感がしました。
土地購入の契約を開始した途端にタンクローリーの度重なる強奪事件の発生、経営する会社の脱税の嫌疑、引っ越した家への侵入者の嫌がらせ等、裏で手を回しているのは、すっかりこのユダヤ人ではないかと疑いましたが、結局そうでは無かった様です。犯人は誰なのか?
最後に、妻アンナの”機転の賜物”により無事ピンチを切り抜けることになります。これはちょっと拍子抜けした部分です。正直ズルいなぁと思いました。しかし、夫婦で困難を無事乗り切る事が出来、ハッピーエンド!
コメント