映画『歓楽通り』のあらすじ・概要
「髪結いの亭主」「橋の上の娘」のパトリス・ルコント監督の作品。
舞台は、45年のパリ最後の娼館<オリエンタル・パレス>の中だけで育ち、娼婦の世話役として生きてきた中年男プチ=ルイ。そんな彼の夢は“運命の女の人と出逢って、その人を一生を賭けて幸せにする”ことでした。そして、ついにある日彼は歌手を夢見る若い娼婦マリオンと出会います。プチ=ルイが願うのはただひたすらに彼女の幸せだけでした。彼は、彼女の為に”運命の人”まで探し出してきます…
マリオン役は、イブ・サンローランの最期のミューズとして知られる、トップモデル出身のレティシア・カスタ。モーリス・シャバリエ、ミスタンゲットなどのシャンソンが全編を彩る。
2002年製作/91分/フランス
原題:Rue des plaisirs
映画『歓楽通り』のスタッフとキャストについて
パトリス・ルコント監督:フランス・パリ出身
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パトリック・ティムシット(プチ=ルイ):理想の女性と出会い、彼女が幸せになるように面倒を見る事に命をかけて生きる事が人生最大の希望と考える。
レティシア・カスタ(マリオン):妖艶だがどこか幸の薄い女性、歌の才能がありオーディションに合格し、ABC劇場と5年間の専属契約を持ち掛けられる
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バンサン・エルバズ(マリオンの理想の恋人ディミトリ):戦後の混乱の中闇物資の横流し、泥棒を家業としている。定職には着かず、マリオンとプチ=ルイの収入を当てに生きている情けない男。
映画『歓楽通り』のネタバレ感想
戦中・戦後のパリの娼館を舞台とした奇妙な男女の関係を描く。娼館に生まれ、娼婦に囲まれて育ったプチ=ルイの夢は“運命の女の人と出逢って、その人を一生を賭けて幸せにする”ことでした。世間一般の男とかなり違う事は、自分の幸福ということは一切考えていないところでした。また、彼女が本当に幸せになるならば、”理想の男性を探して来る”という飛んでも無い行動にでます。また、彼女と彼氏と自分の3人の奇妙な共同生活をしています。
自分の嫁さんに芸能人のマネージャーの様な男が付きまとっていたら、かなり煙たい存在だと感じると思います。本編中恋人のディミトリはプチ=ルイを使い走りか何かの様にこき使って居たのではないかと思われます。
映画の中だけの特殊な存在なのかもしれません。谷崎潤一郎の小説の中の倒錯した世界と類似した感覚を覚えました。
パトリス・ルコント監督の表現した世界は、一部の彼の夢の世界の映像化なのかも知れません。自己犠牲の精神をとことん突き詰めて(元々は娼婦であった)女性が幸せを掴むという事はどうゆうものなのかを露わに表現した世界です。そこには善悪の価値判断は入りません。世間一般の倫理観・モラルなど一切度外視した別世界が描かれます。更に、”理想の男”をプチ=ルイはわざわざ苦労して見付けてマリオンに紹介します。その男もマフィアに付け狙われるとんでもないチンピラでした。
見終わった後は、かなり頭の中はざわざわしますが、常識ばかりの現実を生きている中でちょっと風変わりな似非体験も脳の刺激になっていいのかもしれません。またこんなことが現実となった時の為に”予行練習”が出来るかも…
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