映画『ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド』のあらすじ概要
ザ・ビートルズが名盤「ザ・ビートルズ」(通称「ホワイト・アルバム」)レコーディングの前に訪れたインドで、たまたま彼らと遭遇したポール・サルツマン監督が、当時の模様を振り返りながら製作したドキュメンタリー映画。なお、代表作にして最高傑作と謳われる本アルバム『ザ・ビートルズ』の楽曲の多くが生まれたとされる背景やベールに包まれていたインド滞在期のビートルズの素顔が紐解かれていきます。
1968年、当時23歳のサルツマン監督は失恋の傷を癒すため北部インドへ渡り、ガンジス川のほとりリシケシュにあるマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーのアシュラム(僧院)を訪れます。そこで偶然にもインド長期滞在中のザ・ビートルズの瞑想”合宿”に遭遇したサルツマン監督は、彼らと瞑想を学びながら一緒に過ごした奇跡のような8日間をカメラに収めました。
それから50年を経て、サルツマン監督はビートルズ研究の第一人者マーク・ルイソンとともにインドを再訪。「バンガロウ・ビル」のモデルになった人物との出会いや、俳優ミア・ファローの妹プルーデンスに捧げられた「ディア・プルーデンス」誕生秘話などが明かされていきます。また、「オブラディ・オブラダ」の歌詞がサビしかない状態の様子、しかもそのほんの数行のサビのメモ書きを足元に置き、見ながら歌っています。
デビッド・リンチが製作総指揮、俳優モーガン・フリーマンがナレーションを担当。
2020年製作/79分/カナダ
原題:Meeting the Beatles in India
映画『ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド』のスタッフとキャストについて
ポール・サルツマン監督:エミー賞を2度受賞したカナダの映画、テレビのプロデューサー、監督であり、300本以上のドラマやドキュメンタリー作品を手がけています。
モーガン・フリーマン(ナレーション)
デヴィッド・リンチ製作総指揮:『マルホランド・ドライブ』などで知られる映画監督、超越瞑想の実践者であり、2005年にはデヴィッド・リンチ財団ヘルス&ウェルネス・センターを設立しています。
パティ・ボイド:ジョージ・ハリスンの最初の妻で1966年に結婚、1977年離婚。後にエリック・クラプトンと再婚(1989年離婚)
ジェニー・ボイド:パティ・ボイドの妹
マーク・ルイソン:イギリスの歴史家、伝記作家であり、ビートルズ研究の世界的権威。
映画『ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド』のネタバレ感想・見どころ
世界的な名声を得た後のビートルズのインド”合宿”の様子が、偶然に居合わせた一人のカナダ人監督の記憶と共に、かなり鮮明に描かれていきます。当時はカメラこそ回されていませんでしたが、カラー写真の多くが現存しており、それを基にした非常に愉しいドキュメンタリー映画となっています。
映像を見てまず驚くのが、ビートルズや他参加者の非常に寛いだ様子が描写(ふんだんに撮影された写真を利用)されていることです。朝夕の瞑想時間帯以外は自由にお茶を飲んだり、新しい曲のインスピレーションを得たりと悠々とした一日を送っています。一部メンバーは早々にインドを立ち去るものもいたそうですが、最長55日間もインドに滞在したと語られていました。また、当時まったく無名だった一青年であったポール・サルツマン監督に対して、決して他所者といった垣根を設けることなく、対等に付き合ってもらった貴重な経験を述懐しています。
作詞・作曲のヒントも日常の何気ない他メンバーの”行動”を即興的に”歌”にしてしまう作曲法の描写も非常に新鮮でした。
また、インドのアシュラム(僧院)という場所が醸し出している雰囲気なのかもしれませんが、メンバー4名と他の同行メンバーの仲が非常に良く、和気藹々として雰囲気が非常に良く伝わってきました。写真に撮られるビートルズの素顔が今まで見たどの写真の顔よりも、見た事もない柔和さを漂わせている事に直ぐ気付くと思います。
ガンジス川と聞いて、失礼ながら非常に汚い・不衛生な川をイメージしがちです。しかしながら、この映画で見る僧院の下を滔々と流れるガンジス川の水は澄んでいて非常にきれいでした。ジョン・レノンの『天国は心の中に』という言葉と共に深い印象が残りました。
ビートルズの曲で、弦楽器シタールの音色が聞こえて来たら、今後はガンジス川の風景が思い浮かびそうです。ビートルズファンはもとより、全ての音楽ファンに取って、50年前(1968年)の人気絶頂期のビートルズが過ごしたインドへ暫しタイムスリップの旅で出るのも非常に興味深いものだと思います。インドのイメージが大分変わるような気がします・・・
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