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映画『スリー・ビルボード』(2017/マーティン・マクドナー監督)感想‣娘を殺されて行き場のない大きな怒りを抱える母親の姿をリアルに描く!

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Mike GoadによるPixabayからの画像
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映画『スリー・ビルボード』のあらすじ・概要

2017年・第74回ベネチア国際映画祭で脚本賞、同年のトロント国際映画祭でも最高賞にあたる観客賞を受賞するなど各国で高い評価を獲得し、第90回アカデミー賞では主演女優賞、助演男優賞の2部門を受賞したドラマ。

米ミズーリ州の架空の片田舎の町エビングで、何者かに娘を殺された主婦のミルドレッドが、事件後7カ月間過ぎたにもかかわらず、犯人を逮捕できない地元の警察に業を煮やし、解決しない事件への抗議のために町はずれに巨大な3枚の広告看板を設置します。そこには「娘はレイプされて焼き殺された」「未だに犯人が捕まらない」「どうして、ウィロビー署長?」というメッセージを張り出しました。それを快く思わない警察や住民とミルドレッドの間には埋まらない溝が生まれ、いさかいが絶えなくなっていきます。

そして事態は思わぬ方向へと展開していきます。娘のために孤独に奮闘する母親ミルドレッドをフランシス・マクドーマンドが熱演、自身2度目のアカデミー主演女優賞を受賞。警察署長役のウッディ・ハレルソンと差別主義者の警察官役のサム・ロックウェルがともにアカデミー助演男優賞候補となり、ロックウェルが受賞。監督は「セブン・サイコパス」「ヒットマンズ・レクイエム」のマーティン・マクドナー。

2017年製作/116分/イギリス
原題:Three Billboards Outside Ebbing, Missouri

映画『スリー・ビルボード』のスタッフとキャストについて

マーティン・マクドナー監督:初長編映画「ヒットマンズ・レクイエム」(08・日本劇場未公開)では監督と脚本を兼ね、アカデミー脚本賞に初ノミネート

フランシス・マクドーマンド(ミルドレッド・ヘイズ、レイプ殺人事件の被害者アンジェラの母親):1984年、コーエン兄弟の「ブラッド・シンプル」で映画デビュー。この作品をきっかけにジョエル・コーエンと結婚し、コーエン兄弟作品に欠かせない存在となります/本編作品では娘を殺されて行き場のない怒りを抱える母親役を熱演しています。

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ウディ・ハレルソン(ビル・ウィロビー署長)レイプ殺人事件の捜査がなかなか進まないため、看板で名指しで批判されてしまう。末期の膵臓がんを患っている。オリバー・ストーン監督の「ナチュラル・ボーン・キラーズ」(94)に主演して一躍注目を浴びた。「ラリー・フリント」(96)でアカデミー主演男優賞に初ノミネートされています。

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サム・ロックウェル(ジェイソン・ディクソン巡査)警察学校を6年かけて卒業したキャリア3年目のエビング警察の警官、暴力的でレイシスト、ウィロビー署長が死ぬ前に掛かれたレターを貰い改心する。大ヒット作「グリーンマイル」(99)や「チャーリーズ・エンジェル」(00)で重要な役どころを演じています。

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アビー・コーニッシュ(ビル署長の妻/アン・ウィロビー):オーストラリア出身。リドリー・スコット監督作「プロヴァンスの贈りもの」でアメリカに進出した。その後は「エリザベス:ゴールデン・エイジ」(07/シェカール・カプール監督)に出演。

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ルーカス・ヘッジズ(ミルドレッドの息子/ロビー・ヘイズ)

OlafによるPixabayからの画像

映画『スリー・ビルボード』のネタバレ感想

【ネタバレ有り】

娘を殺された母親が警察の捜査の進展がまったく無い事に業を煮やし、街道沿いの広告版に痛烈に警察を批判する看板を掲げた事から町に大きな反響の渦が起こっていきます。

米ミズーリ州の田舎町が舞台という設定です。母親ミルドレッドは相当風変わりな女性として描かれています。感情をストレートに行動に示すところは男勝りながら、彼女の行動に対する抵抗もかなり激しく反発を喰らっても絶対に挫けません。彼女に心の中では反発しているものの、彼女の息子ロビーだけが味方の様でした。それも母親の行動が町の人々の大半の反発を買っている事から、始終肩身の狭い思いをさせられているところは非常に気の毒でした。

町にいる風変わりな人間は彼女だけではありません。元亭主は自分の娘と同年代のとても若い女性とつるんで生活をしていました。また、ミルドレッドに”無能”と名指しされた保安官ビル署長の奥さんは非常に美しく、若く妖艶。しかしながら、彼は末期の腎臓癌を患い余命が告げられている身体でした。(でもとても元気!)闘病の苦しみを避ける為に、考え抜いた末に自殺してしまうという行動には驚かされました。

極め付けはジェイソン・ディクソン巡査の存在です。母親の悪知恵を頼りに、馬鹿げた行動のやりたい放題、これでよく警察官が務まるなぁと感心していました。しかし、新任の署長から粗暴な行動をたしなめられ、即くびを言い渡されていました。「ざまあ見ろ!」と内心喜んでいました。ところが、警察署が放火され全身大火傷を負います。また、ビル署長から彼の為に、生前、書かれたレター(彼の本質を見抜き、自分の素質を良い方向に生かせと諭していました)を読むと途端に”改心”するという素直な一面もありました。

すったもんだの大騒ぎが繰り返されるものの、結局真犯人逮捕の捜査進展に繋がることはありませんでした。酒場で話していた犯人と思われる男はDNA判定の結果、別人であることが判明しています。

なお、ラストに思いも寄らぬ展開も待ち構えています。それは見てのお楽しみとしておきましょう。どうなったのか、結果の映像は省略されています。計画通り実行されれば、母親ミルドレッドの怒りの溜飲を少しでも下げる事が出来るのではないかと思いました。

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