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おすすめ映画『父の祈りを』(1993/ジム・シェリダン監督)感想‣実直な父と放蕩息子の絆を軸に、冤罪とテロリズムへの怒りを描く!

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『父の祈りを』のあらすじ概要

1970年代の英国の司法界史上最大の汚点とされるバーミンガム・パブ爆破事件「ギルフォード・フォー事件」を基に、無実の罪で15年間投獄された父子の長い戦いと絆を描いた人間ドラマ。

「マイ・レフトフット」の監督ジム・シェリダンと主演ダニエル・デイ=ルイスが再タッグを組み、再審への15年にも及ぶ長い長い戦いを描く。1994年・第44回ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞しています。1974年、北アイルランド。定職にも就かず遊んでいる青年ジェリー・コンロンは、IRAを挑発したために彼らから目をつけられてしまいます。父ジュゼッペはほとぼりが冷めるまで、ジェリーをロンドンへ行かせることに。やがて、ロンドンから約50キロ離れたギルフォードで爆破テロ事件が発生し多くの死傷者を出します。一方、久々にアイルランドに帰ったジェリーは、爆破テロをIRAの犯行と考える警察に容疑者として逮捕され、父ジュゼッペもイギリスに連行されてしまいます。ジェリーは厳しい尋問の末に白紙の供述書に署名し、父子は同じ刑務所に投獄されます。共演に「ユージュアル・サスペクツ」のピート・ポスルスウェイト、「ハワーズ・エンド」のエマ・トンプソン。

1993年製作/133分/イギリス・アメリカ合作
原題:In the Name of the Father

ロッテントマト批評家支持率:94%

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『父の祈りを』のスタッフとキャストについて

ジム・シェリダン監督・脚本・製作:アイルランド・ダブリン出身。ダブリンで劇作家として活動後、 81年に妻子を連れてニューヨークに移住、映画製作を学ぶ。

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ダニエル・デイ=ルイス(ジェリー・コンロン):無実の罪で30年から終身刑を受け服役する。冤罪事件ではあるものの、多くの脚色が施されているフィクションであるという。実際、アイルランド・ベルファストでは屋根の上の金属物を盗み出し金に換えるという窃盗を繰り返している様子が描かれていました。素行は悪く家族に迷惑を掛けているものの、気は優しい為母親、姉妹からは慕われている。

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 ピート・ポスルスウェイト(ジュゼッペ・コンロン):ジェリーの父親、息子と一緒に無実の罪で服役する。親子が同じ監獄の同房になる事は実際はあり得ない話だそうです。話を面白くする為にこのような設定になったとの話です。

息子ジェリーとは正反対の性格で几帳面で、信仰心が厚い。すっかり諦め切っている息子と異なり無罪を主張し続け何とか刑務所から出所する希望を捨てていない。市民団体あてに差し出された手紙が奏功して、ピアース弁護士の支援を受ける事になるものの、監獄内で体を壊し亡くなる。

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 エマ・トンプソン(ギャレス・ピアース弁護士):正義感溢れる人権擁護派の女性弁護士。

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『父の祈りを』のネタバレ感想・見どころ

1970年代の英国の司法界史上最大の汚点とされるバーミンガム・パブ爆破事件を元に描かれたフィクション映画です。かなりの部分、脚色されたのではないかと思われます。しかし、根本的な”冤罪゛は大問題で厳しく司法の問題点を暴くべきだと思いました。なお、事実を歪めた刑事三名が送検されたもののいずれも”無罪”という説明が最後に流れていましたが、これはまったく納得出来ないなぁと感じました。無罪と分かっている被告を、自分の非を認めることなく隠し続け15年もの刑務所暮らしをさせていることは許されるべきものでは無い様な気がします。伝統と格式のある裁判所の中でこのようなデタラメナ裁判が行われていた事自体大きな驚きでした。しかしながら、イギリスに限らず、どの国の司法の実態も似たり寄ったりだとしたらかなりの恐怖を感じました…

ジェリー・コンロンは決して品行方正とは言えないものの、テロリストではありません。白紙の供述書に自暴自棄となりサインしてしまった事で、懲役30年から終身刑という重罰を受ける事になります。その絶望感を表現する間もなく、父親も同じ刑務所に入ってい来るという驚きの方が大きかったのかも知れません。家族や友人まで含めてとんでもない事件(”冤罪”)に巻き込まれて人生が台無しになっていく絶望感をもう少し表現して欲しかったと感じました。

更に、爆破テロ事件の真犯人も同じ刑務所に収監されて来ます。そして彼は自分が爆破テロの真犯人であることを白状していました。それでも、なお、無実で刑務所に入れられ続けている人がいるという事にかなりの憤りを感じました。

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