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おすすめ映画『ハワーズ・エンド』(1992/ジェームズ・アイボリー監督)感想‣別荘「ハワーズ・エンド」をめぐって繰り広げるフォースターの傑作の見事な映像化

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『ハワーズ・エンド』のあらすじ概要

名匠ジェームズ・アイボリーが「眺めのいい部屋」「モーリス」に続いてE・M・フォースターの名作小説を実写映画化した長編作品。

20世紀初頭のイギリスが舞台。知的で情緒豊かな中流階級のシュレーゲル家と、現実的な実業家のウィルコックス家。両家は旅行中に親しくなり、シュレーゲル家の次女ヘレンはウィルコックス家の田舎の別荘「ハワーズ・エンド」に招かれます。そこで次男ポールに一目ぼれするヘレンでしたが、ある行き違いからウィルコックス家と気まずい関係になってしまいます。

その後、ロンドンのシュレーゲル家の向かいに期せずしてウィルコックス家が引越してきますが、当然のことながらヘレンは彼らに会おうともしません。一方、姉マーガレットはウィルコックス家の老婦人ルースと深く理解しあいます。やがてルース夫人は「ハワーズ・エンドはマーガレットに」という遺言を残して他界します。しかし遺言はもみ消され、マーガレットはウィルコックス家の当主ヘンリーのもとへ嫁ぐことになり……。

シュレーゲル姉妹をエマ・トンプソンとヘレナ・ボナム・カーター、ウィルコックス氏をアンソニー・ホプキンス、ルース夫人をバネッサ・レッドグレーブがそれぞれ演じ、トンプソンがアカデミー主演女優賞を受賞しました。

1992年製作/143分/イギリス・日本合作
原題:Howards End

ロッテントマト批評家支持率:94%

『ハワーズ・エンド』のスタッフとキャストについて

ジェームス・アイボリー監督:数々の文芸映画で手腕を発揮し、E・M・フォースター原作の「眺めのいい部屋」(86)と本作「ハワーズ・エンド」(92)、後にノーベル賞を受賞する作家カズオ・イシグロの小説を映画化した「日の名残り」(93)はアカデミー作品賞、監督賞などにノミネートされています。

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アンソニー・ホプキンス(ヘンリー・ウィルコックス):実業家のウィルコックス家、マーガレットを後妻として結婚を申し込む。但し,先妻ルースの遺言である別荘の所有権をマーガレットに渡すという事を無視してしまう。

ヴァネッサ・レッドグレーヴ(ルース・ウィルコックス): ヘンリーの先妻、病没する。マーガレットと懇意にしていた為、彼女が住む家の契約を切れてしまう事を心配し、別荘を譲ると遺言に残すが、ウィルコックス一家には無視されてしまう。

ジェームズ・ウィルビー(チャールズ・ウィルコックス):

エマ・トンプソン(マーガレット・シュレーゲル):オールドミスという事を自他ともに認めている。優しい性格で誰からも慕われるが、少しおしゃべりである。ヘンリーと結婚するが、妹やその知り合いであるレナード・バストの就職の件で問題が絶える事は無い。

ヘレナ・ボナム=カーター(ヘレン・シュレーゲル):正義感が強く、かなり極端な性格をしている。

『ハワーズ・エンド』のネタバレ感想・見どころ

ネタバレ有り

全く対照的なシュレーゲル家とウィルコックス家であるにもかかわらず、様々な接点が生まれていきます。その中でも最大の驚きは、当主ヘンリー・ウィルコックスの再婚相手が姉のマーガレット・シュレーゲルになった事でした。また、演劇講習会で偶々妹のヘレンが知り合った青年レナード・バストの就職の話・恋愛が絡み、物語がかなり複雑化して行くところに本編ストーリーの妙味があります。

人助けのつもりで、現在働いている生命保険会社が経営が悪化するので早目に転職した方が良いというアドバイスはしたものの、実はまったく不確かなデマカセ情報でした。これを信じてしまった不運なレナードは転職しても、不況の最中永続きせず、負のスパイラルの荒波に揉まれ続ける結果となります。

一方妹ヘレンはレナードの不運を自分の責任であると自覚し、5000ポンド(当時は1ポンド≒7万円として、3.5億円!?)の小切手を送付します。しかし、結局彼は貰う理由が無いと、貧窮に苦しみながらも、きっぱりと受け取りを拒否する好漢振りを発揮します。しかし、結局、心身ともに追い詰められていたのか、チャールズの剣による一撃が原因(死因は心臓病ながら)で一命を落とすことになります。

本編原作、フォースターの代表作『ハワーズ・エンド』を読んでいませんが、大変読み応えのあり、大変面白い小説だそうです。更に、本作による映画化ならではのロンドンやハワーズ・エンドのあるハートフォードの家並みや、邸宅の内装、それに色とりどりの花が咲き誇るイングリッシュガーデンの情景、19世紀初頭のイギリス人の衣装の再現、走り回る自動車などの情景など見るべき要素の大変多い作品となっており、大変興味深く観賞することが出来ました。

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