『さえない私にさようなら』のネタバレ感想・見どころ
見どころの一つは行ったことも見たことも無いクロアチアの絶景の海浜風景と丘の上に建てられた家(元家畜小屋を改装した粗末な石造り)での生活風景です。全編を通じて、いつもこの海の背景が現れる為、視聴者は癒されっ放しでした。自分の母親がこっそりと買っておいた彼女の生まれ故郷の「家」(120万€で転売の話も持ちかけられていました)を、母親の死後に相続し、自分の遣り切れない日常生活をきっぱりと放棄してその地を訪れます。何もかも捨ててという訳ではなく、後ろ髪は引かれっ放しでした。そして「携帯電話」で残した家族との繋がりを保っていました。しかし、その携帯電話も途中で海中に抛り投げてしまいましたが…こんな突拍子も無い(わがまま勝手な)行動ができる女性は(男性も)千人に一人もいないのではと想像されますが、映画であれば何でも許せます…
あっけらかんとした小太りの中年女性は人懐っこく、誰とでも素直に打ち解ける性格をしていました。それもそのはず、ミュンヘン育ちとは言え彼女の母親はトルコ育ちのクロアチア人という設定でした。自転車でちょっと距離のある町に出掛けて買い物、食事などを陽気に楽しんでいました。夜、しこたま酒を飲んだ挙句、道路の真ん中で寝込んでしまうという程の開放感に浸ることもありました。京塚昌子程の”巨体”を、彼女の家の一部を住居にしている男性(元家の持ち主)に抱え上げられ家まで連れて帰られていました…
その曰くありの男性との関係も一筋縄では行きませんでした。視聴者はまるで騙されている可能ように、険悪な関係の2人がいつの間にか打ち解け合う姿を見る事に唖然とするかもしれません・・・多分二人の人柄以外にクロアチアの雄大な自然美に包まれる事で、柔和な雰囲気に包まれていくのかもしれません。
いつの日にか夢が叶えば是非映画のシーンのような場所に立ちたいなぁと思いました…
何人かの方の映画コメントに邦題「さえない私にさようなら」のセンスの無さをけなす投稿がありました。確かにこの題名では本編を見たいと思う人はいなくなりそう…
『さえない私にさようなら』の概要・あらすじ
ドイツのミュンヘンに暮らすゼイネップ・アルティンは働きづめの毎日にも関わらず夫や娘、父親に感謝すらされず、さらには愛する母を亡くしてしまう。ゼイネップは母が何年も前に密かに購入した家を相続、そのクロアチアの一軒家になかば衝動的に向かう事になります。しかし、静けさを求めて訪れたその家には、元の持ち主である無骨な男性ヨシップがひとり住んでいました。ところが、美しい自然に囲まれ、地元の人との交流することから人生の楽しさを思い出し、新しい愛を見つけるきっかけとなって行きます。
2023年製作/109分/ドイツ
原題:Faraway
配信:Netflix
『さえない私にさようなら』のスタッフとキャストについて
バネッサ・ヨップ監督
ナオミ・クラウス:トルコで育ち、ドイツで暮らす主人公の中年女性が、家族との生活に疲れ果てて亡き母の故郷・クロアチアの美しい自然の中にある一軒家へ行きます。そこですっかり、開放的な気分にしたり本来の姿に戻って行きます。
ゴラン・ボグダン
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