本著は本当に恐ろしい内容に驚愕させられました。日本の農業に関しては衰退の一途といった状況で現在の職業自給率が38%というのも衝撃的に低いですが、近い将来10%にもならないという試算には国の無策に憤りを感じました。安ければ何でもいいという事で国産牛肉より安い米国産、オーストラリア産の牛肉を買って食べていました。しかし、本書でそのからくりを聞き恐ろしくなりました。米国・オーストラリア国内では禁止されている成長ホルモンを日本輸出向けの牛肉には使用しているというあくどさは許し難いものです。政府・農林水産省は国民の安全をもっと守るべ気ではないかと思います…他読者の感想にもありましたが、日本政府は防衛力増強に多くの国家予算を割いていますが、将来的に日本の安全を守る為には農業を守る事の方がより重要ではないかと思っています。
『農業消滅』概要
徹底した規制緩和で、食料関連の市場規模はこの30年で1・5倍に膨らむ一方、食料自給率は38%まで低下。農家の総収入は13・5兆円から10・5兆円へと減少し、低賃金に、農業従事者の高齢化と慢性的な担い手不足もあいまって、?農業消滅?が現実のものになろうとしている。人口増加による食料需要の増大や気候変動による生産量の減少で、世界的に食料の価格が高騰し、輸出制限が懸念されるなか、日本は食の安全保障を確立することができるのか。農政の実態を明かし、私たちの未来を守るための展望を論じる。(本著裏表紙より転記)
本ではありませんが、映画で農業関連の面白かった作品紹介…
➢おすすめ映画『ファーストフード・ネイション』(2007/リチャード・リンクレイター監督)感想‣“安くて安全な食べ物”などこの世の中にはないのかもしれない…
おすすめ映画|『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしの作り方』(2018/ジョン・チェスター監督)
『農業消滅』内容で気になった点など一部のみ
(恐るべき食料自給率の低さ)
2035年の日本の食料自給率が、酪農12%、米11%、青果物や畜産では1〜4%という危機的状況に陥るという懸念が農林水産省のデータに基づいた著者の試算が示しています。(現在の食料自給率は38%!)かなり衝撃的な近未来予測ですが、コメの自給率11%と聞いて俄かに信じられません。さらに鶏のヒナはほぼ100%海外からの輸入依存なので、鶏卵の自給率は既に0%だという。
知れば知る程驚きの数値にびっくり仰天しました。10年後にもさらに急速に低下する自給率、これで国家の安全が守れるのか大きな問題です。
(肝心な種すらも外国産に頼り切り)
現状80%の国産率の野菜は、実は90%という「種」の輸入依存度を考慮すると自給率は現状ではたった8%。これは政府によって「種は企業の儲けの源」として捉えられ、種の海外依存度の上昇につながる一連の制度変更が行われてきたというから驚きです。公共の種が企業に移れば自家装飾を許諾してもらえず、毎年買わざるを得なくなる状況に陥っています。
海外の大手企業に独占されようとする種には驚き。一企業の利益より国民の食糧確保が重要
(将来的に農業後継者がいるのだろうか)
厳しい農家の実態として農業従事者の平均錬例は68.6歳と高齢、農家の一時間当たりの所得は平均で961円ととても低い。農産物価格が安い(買い叩かれている)、これでは農業後継者の育成は困難となっている。
やがて大規模農業へ集約化されてしまうのか、畊作を放棄された農地はどうなるのか、心配な事ばかり…
(日本輸出向け農産物に対する犯罪的な手法)
日本では収穫後に防カビ材などの農薬を掛ける事は禁止されているが、アメリカ産のくだものや穀物を船で運ぶ際には農薬を掛けないとカビが発生する。これはアメリカの反対で、収穫後に掛けた場合「食品添加物」という事にして認めさせられています。更にアメリカ産の赤身牛肉からはテストロゲン(医学界で乳がん細胞の増殖因子とされている成長ホルモン)が国産牛肉が天然に持っている量の600倍検出されたとの報告があります。牛肉に関してはオーストラリア産も米国産と同じ(自国内では投与は禁止されている)、自国消費分と日本輸出用は使い分けしている様です。
輸入小麦の残留調査では、アメリカ産の97%、カナダ産の100%からグリホサートが検出されています。これは発がん性に加え、町内最近に影響して様々な疾患を誘発するとして腐れている除草剤を、収穫前に散布して収穫していることによります。日本で売られているほとんどの食パンや小麦粉製品からグリホサートが検出されているという。
最近見なくなった様な気がする「遺伝子組み換えでない」という表記のからくりも大問題、日本はアメリカなど外国にいわれるがままを強いられている
(日本政府の腰抜け政策)
日本の農業を貿易の取引材料にする為、『日本の農業は過保護だ』という嘘がメディアを通じて国民に刷り込まれていった。保護政策を辞めれば、自給率が上がるかの様な議論があります。しかし、日本の農業は過保護だから自給率がさがった、工作放棄が増えた、高齢化が進んだ、というのは大きな間違い。
著者「鈴木宣弘」について
鈴木宣弘:1958年三重県生まれ。東京大学大学院農学生命科学研究科教授。専門は農業経済学。82年東京大学農学部卒業。農林水産省、九州大学大学院教授を経て2006年より現職。
おもな著書に『食の戦争』(文春新書)、『悪夢の食卓』(KADOKAWA)、『農業経済学 第5版』(共著、岩波書店)などがあります。是非近い内のこちらの本も読ませて頂こうと思います。
国産オーガニック推進の立場をとり、輸入農産物の農薬や食品添加物、輸入牛肉のホルモン剤、昆虫食などのフードテックの危険性を訴える。反農薬運動や遺伝子組み換え(GM)闘争を牽引するブレーン的存在、オピニオンリーダーとしてオーガニック関係者から広く支持を集めています。(ウィキペヂアより抜粋)
世間の一般的な感想にはどんなものがあるか
アマゾンカスタマレビューで公開されている感想文より引用、総じてわたくし同様初めて聞く内容に驚いたという感想が多数です。全ての国民にこの実態を知って欲しいというの意見が多数でした…
専門家として、重要な試算をしてくださっています。
こういった分析は誰かがやらなければならないことなので、専門家の方が率先してやってくださることは本当にありがたく、こういったこういった数値を使って多くの人が色々な場で議論をすることが大事だと感じます。
題名が衝撃的で読み始めて、日本の行く末にいたる暗示、解決策
岐路に至るまで示してある。
最後まで驚くことを示してくれるばかりな本です。
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