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上映中 おすすめ新作映画『無名』(2023/チェン・アル監督)感想‣いま中国でもっとも注目を集める若手俳優、本作で映画初主演(トニー・レオンと共演!)

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『無名』のネタバレ感想・見どころ

足掛け10年余駐在した中国ですが、TVでは毎日どこかの番組で抗日戦争の連続ドラマが放映されていました。好き好んで見ていた訳ではありません。とにかく一般家庭では娯楽番組のテーマとして抗日戦争の人気は絶大と感じていました。番組全般では尊大で残虐な日本軍に中国人が徹底的に痛めつけられるのですが、ラストでは必ず日本側が負けるという決まりきったパターンです。米国TV番組の騎兵隊にやっつけられるインディアン(ネイティブアメリカンと言わないと叱られる!)と同じです。小さな子供を持つ中国人の友人は子供に「この人はTVに出て来る日本人と違って優しいよ!」と紹介してくれました!(嘘の様な本当の話)

この(抗日戦争)番組をほとんどの中国人は物心ついた子供時代から見て育つ為、日本人に対する感情はあまり良く無いはずと思っていました。ところが、最近のジブリ作品など日本アニメブームの影響がとてつもなく大きく、映画もアニメも漫画本もTV番組も、日本で放映された(出版された)途端、中国訳された”海賊版”が出されてあっという間に広がっていたのを見ていました…とにかく中国の若者が抱く”日本”に対する憧れの凄まじさに驚いたものです。

更に話は横に逸れますが、縁あって中国でのリバ剣(学生時代までやっていた剣道を50✖歳で再開)して中国の道場に通い始めると、驚くべき事にほぼ毎週入門志願の男女(社会人)が”剣道”を習いたいと押し掛けてきました。これも日本(剣道)アニメの影響らしいです…

そういう訳で本作の時代背景については1937年前後から戦後までの日中の歴史については日本の(文系)大学受験生よりも詳しい知識が蓄積されているのではないかと思いました。わたしは国民党、共産党、日本軍の三つ巴の錯綜する複雑怪奇な世界が、残念ながら余り良く理解出来ませんでした。

そんな中国で本作は151億円の興行収入を得る大人気ぶりと聞きました。人口が10倍なので、日本マーケットに単純に換算すると15億円、これが多いのか少ないのか何とも言えませ…個人的には意外とあっさり(芸術的過ぎて拍子抜け)映画が終わってしまった気がします。日本がホウホウの態で上海から逃げ惑う、いつもの阿鼻叫喚シーンが無いのでちょっと違和感を感じました(多くの中国人はこちらを期待している筈)もしかすると中国国内版と海外版では内容が少し違うのではという気もしますが(これはちょっと考え過ぎかもしれません)

名優トニー・レオンの余裕綽々の落ち着いた演技は大変見ものでした。ラストでは驚きのアクションシーン(スタント無し)にも力が入りました…しかしながら、大スターにもかかわらず雰囲気的には香港の飲茶の店で、蒸し焼売でも食べてそうな感じのところも好きです…

『無名』のあらすじと概要

「花様年華」「インファナル・アフェア」などの香港の名優トニー・レオンとテレビドラマ「陳情令」でブレイクした中国の若手俳優ワン・イーボーが共演し、第2次世界大戦下の上海で暗躍する中国共産党・中国国民党・日本軍のスパイたちの攻防をスリリングに描いたノワールサスペンス。

中国・汪兆銘政権の政治保衛部に所属するフー(トニー・レオン)は、中国共産党の秘密工作員だった男ジャンの身辺調査を行います。フーは中国国民党に転向するというジャンから共産党幹部の情報を聞き出すことに成功すします。1941年、上海に駐在する日本軍スパイのトップ・渡部は、政治保衛部の主任となったフーやその上司タンと日本料理店で戦局について会話をします。フーの部下として働くイエ(ワン・イーボー)は、友人ワンとともに諜報活動に従事していましたが…反抗を画策する国民党や中国共産党のメンバー達との情報戦や裏切り、暗殺など様々な謀略を図り、大陸を巡る闘いが繰り広げられます。

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・上海」のチェン・アルが監督・脚本・編集を手がけています。2023年・第36回金鶏賞で最優秀主演男優賞(トニー・レオン)・最優秀監督賞・最優秀編集賞を受賞。

2023年製作/131分/中国
原題:無名 Hidden Blade

『無名』のスタッフとキャストについて

チェン・アル監督・脚本・編集:代表作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・上海」。本作で2023年・第36回金鶏賞で最優秀主演男優賞(トニー・レオン)・最優秀監督賞・最優秀編集賞を受賞しています。

トニー・レオン「花様年華」で第53回カンヌ国際映画祭 最優秀主演男優賞を受賞し、近年は「シャン・チー テン・リングスの伝説」への出演で若い世代からも注目を集めている香港スター

ワン・イーボー:中韓合同ユニット「UNIQ」のメンバーとしてデビューし、俳優としてTVドラマ「陳情令」でブレイクした若手俳優、本作にて映画初主演。

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