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おすすめ映画|『パラサイト 半地下の家族』(2019/ポン・ジュノ監督)

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パラサイト 半地下の家族のあらすじと概要

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『母なる証明』『殺人の追憶』『スノーピアサー』など世界的に大活躍する韓国人監督ポン・ジュノが10年ぶりに監督した最新作第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画として初のパルムドールを受賞。半地下の家で暮らす貧しい家族とIT企業を経営する裕福な社長一の出会いから始まる物語を描き、貧富格差社会への痛烈な批判を込めた作品、ユーモアあり恐怖心あり悲喜劇ありの(2時間12分)。ポン・ジュノ監督作『グエムル -漢江の怪物-』などへの四度目のタッグとなる国民的俳優ソン・ガンホをはじめ、『新感染 ファイナル・エクスプレス』などのチェ・ウシク、『最後まで行く』などのイ・ソンギュンらが出演。舞台は韓国ソウル市内の高台にある高級邸宅でストーリーは極めて「韓国的」ながら、韓国国内はもちろん海外諸国で好評を得ている。米国内では海外映画興行収益歴代TOP10入りを果たすなど快進撃を続けている。

半地下住宅に住む貧しいキム一家は全員失業中で、日々の暮らしに困窮していた。ある日、たまたま長男のギウ(チェ・ウシク)が家庭教師の面接のため、IT企業のCEOを務めるパク氏の豪邸を訪ね、兄に続いて妹のギジョン(パク・ソダム)もその家に雇われ、ついには父母も含めて全員が素性を隠しながら、パク氏一家に雇われることになるが、驚いた事にキム一家の誰も知らない地下室に”寄生”する人物の存在…(ボン・ジュノ監督の意向で未視聴者に対するネタバレは可能な限り慎みたいが…)

パラサイト 半地下の家族のネタバレ感想

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ストーリーとテーマについて

ボン・ジュノ監督の狙いは貧民の生活空間を描く際、「半地下」という極めて特異な空間を設置したところだと思う。ここは恐ろしく厳しい環境で、「便所コウロギ」は這いずり回るし、酔っ払いに立小便は掛けられる、トイレの便器が水圧の関係で座敷の中でかなり目立つ高い位置にあるなど驚がく的な生活環境である。片や一方の大富豪の生活する空間は超ラグジュアリー空間の極みで優雅で居心地がいい!ところがこの映画は貧富の差を示し、問題を暴露し共感を得る映画だけに留まらず、ユーモア溢れる家族ドラマ、ブラックコメディ、秘密の地下室の存在などサスペンスホラー映画、さらには高校生の娘と家庭教師の小さな恋等々てんこ盛りの見どころもかなりあるので、ずば抜けたエンターテインメント性が表現されていて、観客の目はスクリーンにくぎ付けになり、を離すことは出来ません。

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また、これほど本編が韓国で評価を受けている事は、その背景として文政権の最低賃金の引き上げで20代の失業率10%、大学、大学院を出ても3人に1人しか就職できない韓国の厳しい現実があることは確か。

演出や脚本について

上述の通り、貧富格差の大きさに映画の中ではびっくり仰天させられる。半地下室の家の窓から見得る風景はごみ溜めのようだが、富豪の邸宅の庭の眺めは緑鬱蒼とした庭園の眺望で、ラストシーンでは驚きの展開が待ち受けているガーデンパーティーが開催されるところである。

家族4人が長男、長女の家庭教師、父親が運転手、母親が家政婦として続々と潜入していくストーリーは極めて自然で全く強引なところがなく、我々が思わず応援したくなる様なやり方なので好感を持てる。一方の、IT会社の経営者家族4人も悪人ではなく、決して他人を蹴落として出世したという印象は無く、憎めないお人好しとして描かれている。最後に彼らに逃れられない悲劇が待ち受けているところが、一番恐怖を感じるところである。これは、何度も本編中で繰り返し描写されている半地下生活で染みついた家族4人、特に父親(運転手)の体臭が重要な一因となっている。この”体臭”を超え難い階層の垣根の象徴としていて描写していて、悲劇の引き金になっているところに恐ろしさを感じた。洗濯しようと、衣服を着替えようと家族4人に同じニオイが染みついている。

キャラクター&キャストについて

ボン・ジュノ監督・脚本:1969年韓国生まれ、延世大学社会学科を卒業。短編映画「White Man」(95)などを監督。95年、韓国映画アカデミーを第11期生として卒業し、卒業制作の「支離滅裂」はバンクーバー国際映画祭や香港国際映画祭に招待された。長編映画初監督作は、00年の「ほえる犬は噛まない」(00)で、脚本も担当。カンヌ国際映画祭で話題を呼んだ「殺人の追憶」(03)や続く「グエムル 漢江の怪物」(06)は韓国で大ヒットし、日本でも注目を集める。その後は「母なる証明」(09)を経て、クリス・エバンスやティルダ・スウィントンら欧米のキャストを招いた初の英語作品「スノーピアサー」(13)などがる。

主演:ソン・ガンホ(キム・ギテク役)1967年韓国生まれ、韓国を代表する実力派俳優。高校卒業後、慶尚専門大学放送芸能科を中退し兵役に。除隊後の1991年から舞台俳優として活動し始め、96年にホン・サンス監督作「豚が井戸に落ちた日」で映画デビューを果たす。「日本でも大ヒットしたアクション大作「シュリ」(99)ではハン・ソッキュ演じる主人公の相棒役を演じる。初主演作「反則王」(00)では多くのスタントを自らこなしてヒットに導き、サスペンス大作「JSA」(00)では大鐘賞で主演男優賞などを受賞し、国際的にも注目を集める。03年、「殺人の追憶」でポン・ジュノ監督と初タッグを組み、同監督のパニック・エンタテインメント大作「グエムル 漢江の怪物」(06)でスター俳優として不動の地位を確立。13年には同監督初の英語作品「スノーピアサー」で海外進出も果たした。

まとめ

長男は未経験ながら家庭教師のやり方もうまいし、長女は偽造の大学卒業証明書を簡単に作ったり、描いた絵を見乍ら、精神状態を分析する振りをする、また、父親も運転手の仕事をそつなくこなす運転技術を持っている、母親の料理の腕も捨てたものではない。そんな一家4人がことごとく定職が無く、失業して劣悪な環境の半地下生活を余儀されて、大雨が降れば床上浸水でトイレの水が逆流してくるようなところだ。

但し、これだけを見せられたら、そうですか、可哀想だ、どうにかしなければならないとわおもうものの、他人ごとに終わってしまうが、ボン・ジュノ監督は極貧階級にも、超富裕層どちらにも肩入れしている訳ではないが、結果的には誰もがキム一家のおやじ(ソン・ガンホ)を応援しているのだと思う。だから多くの観客の支持を得るのだと思う。まだ、オスカーの発表まではまだ少し時間がありますが、発表前に自分自身で本作品の評価に出かけてみては如何でしょうか! 

おすすめ度★★★★★

 

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