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上映中おすすめ新作映画『クラブゼロ』(2023/ジェシカ・ハウスナー監督)感想‣栄養学のオタク教師と彼女に心酔する純粋な生徒たちを描くミステリー

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『クラブゼロ』のあらすじと概要

「リトル・ジョー」「ルルドの泉で」などで知られるオーストリア出身のジェシカ・ハウスナー監督がミア・ワシコウスカを主演に迎え、「意識的な食事」を説く栄養学教師と彼女に心酔する生徒たちの運命を、ブラックユーモアを交えて描いたスリラー。

名門校に赴任してきた栄養学の教師ノヴァクは、「意識的な食事」と呼ばれる最新の健康法を生徒たちに教えます。それは「少食は健康的であり、社会の束縛から自分を解放することができる」というもので、無垢な生徒たちは早速実践を開始します。ノヴァクにすっかり心酔しきり、彼女の教えに感化された生徒たちは「食べないこと」に多幸感や高揚感を抱くようになります。その言動は次第にエスカレート。両親たちが異変に気づいた時にはすでに手遅れで、生徒たちはノヴァクとともに「クラブゼロ」と呼ばれる謎のクラブに参加することになります。

原題または英題:Club Zero
2023年製作/110分/オーストリア・イギリス・ドイツ・フランス・デンマーク・カタール合作
劇場公開日:2024年12月6日

『クラブゼロ』のスタッフとキャストについて

ジェシカ・ハウスナー監督:オーストリア・ウィーン出身。フィルムアカデミー・ウィーンでミヒャエル・ハネケに師事し、助手も務める。卒業後の1999年、仲間とともに映画製作会社「coop99」を設立。2001年カンヌ国際映画祭ある視点部門に出品された長編監督デビュー作「Lovely Rita」(01)で国際的な注目を集めています。

ミア・ワシコウスカ(栄養学教師ミス・ノヴァク):

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シセ・パペット・クヌッセン(ミス・ドーセット):デンマーク出身。両親のボランティア活動に伴い、幼少期の一時をタンザニアで過ごす。1987年から90年までパリで演技を学び、帰国後は実験劇場「OVINE 302」からデンマーク王立劇場まで幅広い舞台で俳優として活動

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『クラブゼロ』のネタバレ感想

ミア・ワシコウスカ演じるミス・ノヴァクは一見普通の教師に見えますが、実際はとんでもない信念を持っていました。食事を摂らなくても人間は生存する事が出来る!?「少食は健康法の一つ、社会の束縛から解放される・・・」という考えを持ち、自分自身も実践し、無垢な生徒たちにも実行する事を指示していました。生徒たちは、お互いに監視し愛ながら、プレートに乗せられた食事を小さく刻み、一口分口に運んでいる様でしたが、実際は口には入れず、最終的には全ての料理を捨ててしまうという行動を取っていました。  

彼女たちは学校の寮で生活を共にしていました。時々自宅に戻っていました。しかしながら、彼女(彼)たちの行動(食生活)は親たちに衝撃を与えることになります。子供がほとんど食事を摂らない、食べた振りばかり…挙句の果てにやせ細り、健康が蝕まれていることに気が付きますが、気が付いた時には既に手をくれとなっていました。子供たちはすっかり洗脳されてしまい、自分の行動の善悪の判断すら出来ない状況になっていました。

ブラックユーモアなので、真に受けないで欲しいという紹介文がありました。勿論、この映画は行き過ぎたダイエット法などを一部批判している事は分かります。一部のやや間違ったダイエット法をそのまま鵜呑みにしてしまい、思わぬリバウンドでがっかりしてしまう事もある様に、何事も宣伝のみを鵜呑みにせず、良識の範囲内の”健康法”の実践が良いのではないかと感じました…

本作品は、素晴らしい洗練された映像美、超富裕層の邸宅での超ゴージャスな食事風景、敷居の高そうな全寮制の学校、日本の障子を思わせるような校長室、ビビッドな色彩の制服・刺激的な効果音などなど、どのシーンを切り取ってみても絵になるような場面の連続です。そして、起っている事態は非日常的で異常な事ばかり…主演ミアの多くを語らない、淡々とした無表情、以前の映画ではあまり見せたことが無い一面(秘めた内面の恐ろしさがじわじわ伝わって来ます)をのぞかせています。その部分も大変楽しみな作品となっています。

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