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おすすめ映画感想【博士と狂人】(2020/P・B・シェムラン監督)初版の発行まで70年を費やし、世界最高峰と称される「オックスフォード英語大辞典」の誕生秘話

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『博士と狂人』のあらすじと概要

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初版の発行まで70年を費やし、世界最高峰と称される「オックスフォード英語大辞典(OED)」(収録数41万語以上)の誕生秘話を、メル・ギブソンとショーン・ペンの初共演で映画化した作品。

原作は、全米でベストセラーとなったノンフィクション「博士と狂人 世界最高の辞書OEDの誕生秘話」(サイモン・ウィンチェスター著)。貧しい家庭に生まれ、学士号を持たない孤高の言語学者マレー(メル・ギブソン)。エリートでありながら、精神を病んだアメリカ人の元軍医で殺人犯で精神病院に収容されているマイナー(ショーン・ペン)。2人の天才は、辞典作りという壮大なロマンを共有し、固い絆で結ばれていく。

しかし、犯罪者が大英帝国の威信をかけた辞典作りに協力していることが明るみとなり、時の内務大臣ウィンストン・チャーチルや王室をも巻き込んだ事態へと発展してしまう。主演のメル・ギブソン、ショーン・ペンの他にはドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のナタリー・ドーマー、「おみおくりの作法」のエディ・マーサンらが脇を固める。

『博士と狂人』のスタッフとキャストについて

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P・B・シェムラン監督(別名:ファラド・サフィニア):

メル・ギブソン(天才言語学者マレー役):1945年の沖縄戦に参加しながらも人を殺すことを拒否し続けた米軍兵士デズモンド・ドスの実話を描く監督作「Hacksaw Ridge(原題)」(2016)(アンドリュー・ガーフィールド主演)。また、イエス・キリストの死を描いた監督作「パッション」(2004/私財30億円を投げ出して制作に取り組んだ作品)の続編企画の準備も進めているそうだ。本作品は、彼が約20年にわたって製作準備を進めていた渾身の企画だという期待の一作。

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ショーン・ペン(殺人犯の元軍医マイナー役):精神病棟の囚人役。精神錯乱状態になり誤って殺人を犯してしまう。裁判では精神病を理由に無罪となるが、精神病棟に収容されている。その後、精神科病院で暮らしながらも、マレー博士に何千もの「言葉」の用例を送り続け、辞書編さんに多大なる貢献をした謎の協力者を演じている。

「ギター弾きの恋」(99)、「I am Sam アイ・アム・サム」(01)でアカデミー主演男優賞にノミネートされ、「ミスティック・リバー」(03)と「ミルク」(08)で同賞を受賞。現代アメリカ映画を代表する俳優のひとり。

ナタリー・ドーマー:夫をマイナーに殺された未亡人イライザ役で、彼女を助けようとするマイナーとの間に、複雑な恋愛感情が生まれていくが、その結果マイナーは大いに悩むことになる。

私生活では大のポーカー好きとして知られ、2008年にロンドンで開かれた世界大会で2位の成績をあげた。またロンドン・フェンシング協会の会員でもあるそうだ。

『博士と狂人』のネタバレ感想

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70年を掛けて辞書を完成させるという事業の困難さのごく一部を垣間見た様な気がします。日本の映画でも確か「舟を編む」だったか、辞書作りをテーマとした作品がありました。本作品の話は当時の大英帝国の威信を掛けての事業なので世界からの注目度も相当高かったものと思われます。

学位を持っていない孤高の言語学者マレー(メル・ギブソン)はヨーロッパを中心に語学の天才であらゆる国の言葉、古代の言葉まで精通しており、辞書編纂のリーダーとして打ってつけの人材として描かれています。それぞれの単語に各時代の使用例を示し、言葉の使われた用例がどのように推移して行ったかを示す作業に膨大な文献からの例文集めが必須でした。気の遠くなるような根気の要る作業の積み重ねが辞書作りの基本でした。

その使用例探しをボランティアで手伝っていたのが、精神病棟に収容されていた囚人マイナー(ショーン・ペン)でした。彼は元軍医、外科医でしたが、マレーにも劣らず語学の天才で、その博識を生かし、辞書編纂作業には不可欠な貴重な数千件もの用例をマレーの手元に送り続けていました。

しかしマイナーは罪も無い男を精神錯乱状態のなかで射殺してしまいます。ところが、残された妻子に対して、マイナーは全財産を投げ打って罪滅ぼしをしようします。勿論の当初は夫の殺人犯の情けにすがる事を潔いものと思わず、妻(ナタリー・ドーマー)拒否しますが、マイナーの人柄に触れていく内にだんだん心が通じ合うようになっていきます。

辞書編纂事業に人生を打ち込むマレー、精神病により殺人を犯してしまう天才マイナー、
夫を殺害された独り残された妻イライザの三者三様の人生も微妙に絡み合い、単純作業の積み重ねの辞書編纂のストーリーが劇的な展開を見せていく場面が見せ場となってきます。

120分間緊張の連続で、一瞬も映像から目が離せないストーリー展開は実に見事な作品でした。

 

最後に

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精神病院の看護人役のマンシ―を演じたエディ・マーサンはマーティン・スコセッシ監督の「ギャング・オブ・ニューヨーク」(02)や「ヴェラ・ドレイク」(04)等多くの作品に出演しています。脇役ながら非常に存在感のある俳優です。

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