『MINAMATA ミナマタ』のあらすじ概要
ジョニー・デップが製作・主演を務め、水俣病の存在を世界に知らしめた写真家ユージン・スミスとアイリーン・美緒子・スミスの写真集「MINAMATA」を題材に描いた伝記ドラマ。
1971年、ニューヨーク。かつて、数多くの写真を「ライフ」誌に掲載され、アメリカを代表する写真家と称えられたユージン・スミスは、現在は酒に溺れる日々を送っていました。そんなある日、アイリーンと名乗る通訳の女性から、熊本県水俣市のチッソ工場が海に流す有害物質によって苦しんでいる人々を撮影してほしいと頼まれます。そこで彼が見たのは、水銀に冒され歩くことも話すこともできない、被害者の子どもたちの姿や、激化する抗議運動、そしてそれを力で押さえ込もうとする工場側という信じられない光景の数々でした。
衝撃を受けながらも冷静にカメラを向け続けるユージンだったが、やがて自らも危険にさらされ、借り受けていた写真現像所を焼き払われたり、工場内で暴行に遭い重症を負います。(その怪我が遠因となり後に亡くなります)追い詰められた彼は水俣病と共に生きる人々に、あることを提案し、被害者たちの衝撃的な写真を撮る事に成功します。ユージンが撮影した写真は、彼自身の人生と世界を変えることになります。
「ラブ・アクチュアリー」のビル・ナイが共演し、日本からは真田広之、國村隼、美波らが参加。坂本龍一が音楽を手がけています。
『MINAMATA ミナマタ』のスタッフとキャストについて
アンドリュー・レビタス監督:1977年生まれ米・ニューヨーク出身
W.ユージン・スミス:1918年、アメリカ・カンザス州ウィチタ生まれ。1975年、アイリーンとの連名による写真集「MINAMATA」がアメリカで出版され、世界中で大反響を呼ぶ。翌年、スミスはロバート・キャパ賞を受賞。しかし同年アイリーンと離婚し11月、アリゾナ大学の写真教授になるため、アリゾナ州ツーソンに移る。1978年10月15日、脳溢血の発作により死去。享年59歳。
ジョニー・デップ(W.ユージン・スミス)主演・製作:海賊ジャック・スパロウを演じたディズニーの娯楽大作「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」(03)が世界的な大ヒットとなり、アカデミー主演男優賞の候補にもなった。人気実力ともにNo.1の映画スターに上りつめる。
本作のユージン・スミス役は従来のジョニー・デップの雰囲気からは遠くかけ離れており、本人かどうかすらわからない演出でした。一切のオーラを消し去り、役柄に没入した作品となっています。
印象に残る言葉としては、以下の言葉がありました。
写真は撮られる者だけでなく、撮る者の魂すら奪う。だから、本気で撮れ
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真田広之(ヤマザキ・ミツオ):中学入学と同時に千葉真一主宰のジャパンアクションクラブ(JAC)に入団する。深作欣二監督作「柳生一族の陰謀」(78)で俳優業を本格化させ、「里見八犬伝」(83)、「麻雀放浪記」(84)などで若手アクションスターとして活躍。
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國村隼(ノジマ・ジュンイチ):ドリー・スコット監督作「ブラック・レイン」(89)、ジョン・ウー監督作「ハード・ボイルド 新・男たちの挽歌」(92)、クエンティン・タランティーノ監督作「キル・ビル」(03)など海外作品でも活躍している。
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美波(アイリーン):東京出身。父はフランス人、母は日本人。映画「バトル・ロワイアル」(01)で女優デビューした。映画、TVドラマ、モデルとして活躍中。
『MINAMATA ミナマタ』のネタバレ感想
何故、今、水俣なのかという疑問が第一にわきました。70年代の日本の公害問題として日本人なら誰でも聞いた事がある「水俣病」を、ハリウッドが撮る? かなり驚きました。また、映画の中で語られる真実は驚く事ばかりでした。ユージン・スミスらは水俣に3年間も住み続け、写真を撮り続けています。写真を撮るとはこんなに苦労の多い事だという事を初めて知りました。現地での地に足の付いた取材活動を続けない限り、やはり、ラストの母娘で入浴するシーンなど、どんなに著名なカメラマンであろうと撮らせることは無いと思いました。
50年前ライフ誌に掲載された写真は全く知りませんでした。この一枚は衝撃的で、目を背けたくなり、涙が出そうになるほど悲しい写真です。しかし、ずかずかと土足で被害者の姿を好奇の目のみで撮った写真ではないという事は十分伝わって来ます。
ジョニー・デップらの思いは、本作品MINAMATAを通じて現在も、地球上には同じような公害問題を抱え、苦しむ多くの人々がいる事に目を向ける必要があり、解決に向け協力して行くべきだと訴えているのだと思います。
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