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映画『ファイブ・イージー・ピーセス』(1970/ボブ・ラフェルソン監督)感想‣。アメリカン・ニュー・シネマの傑作のひとつ!?

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映画『ファイブ・イージー・ピーセス』のあらすじ概要

仕事も、家族も、女さえも、およそ愛することから離反して彷徨い、生きる価値を見いだせない青年の苦悩に焦点を合わせた衝撃的な作品。

裕福な音楽一家に育った青年ボビーは、自分の家族たちとの暮らしに馴染めず、自分の育った故郷を離れ、南カリフォルニアの石油採掘現場で日雇い労働をする浮き草のような生活を送っていました。そんなある日、彼の恋人で同棲していたレストランのウェイトレスの女性レイが妊娠します。彼女は正式な結婚を望んでいましたが、ボビーにはまったくその意志はありませんでした。

父親が卒中で倒れた事を姉から聞いたボビーは故郷に戻ることを決心、レイを同行してピュージェット湾の島にある邸宅に向かう事になります。しかし、最初はレイを家に連れてゆくつもりだったボビーはレイの態度が余りにも下品であったことから、彼女の態度を警戒しをモーテルに残して、一人で自宅に向かいます。彼は家族から歓待され、父親と久し振りの対面を果たします。そこへ、自力で家にやって来たレイが現れます…

なお、本作品はアカデミー賞四部門(作品賞、主演男優賞、助演女優賞、脚本賞)にノミネートされました。

 

1970年製作/アメリカ
原題:Five Easy Pieces

映画『ファイブ・イージー・ピーセス』のスタッフとキャストについて

ボブ・ラフェルソン監督・原案・製作:ジャック・ニコルソンの盟友。

ジャック・ニコルソン(ロバート”ボビー”・エロイカ・デュピー):本作品ではアカデミー主演男優賞にノミネートされています。

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カレン・ブラック(レイエット”レイ”・ディペスト):、オフブロードウェイでデビュー。そこでの活躍をフランシス・フォード・コッポラに認められ、映画デビュー。1969年、『イージー・ライダー』での売春婦役で注目を集め、本作出演に抜擢される。

映画『ファイブ・イージー・ピーセス』のネタバレ感想・見どころ

【ネタバレ有り】

『イージー・ライダー』より1年後に公開された本作品『ファイブ・イージー・ピーセス』は『イージー・ライダー』程有名ではありませんが、かなり鮮烈な印象を残す作品です。ジャック・ニコルソンがとても個性的な青年役をリアルに演じています。まったくヒーローでも何でもなく、現代風に言えば「ちゃらんぽらん」の性格の限りを尽くして、甘っちょろい考えを反省する事も無く、「人生に意義無し、ただ生きるのみ・・・」という風来坊的に生きている様子を徹底的に描き出しています。ジャック・ニコルソンは本作品でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされています。

一方で、米国がベトナム戦争の泥沼に入り込んで、多くの前途有望な若者が命を落としている現実があります。戦後の高度成長期を経験し、物質的には非常に豊かになって来たという時期でもあります。日本では大阪万博が開催され、ようやくこれからアメリカに負けず、追いつこうと意気揚々としていた時代だったと思います。ちなみに名作『ある愛の詩』が公開されたのも1970年です。

何故これほどまでに、どうしようもない、へたれた男を描いた映画がアカデミー賞にノミネートされる程高く評価されるのか正直不思議に思いました。やはりそれは、一部のヒーローや目立ったアンチ・ヒーロー的な悪の存在よりも多数でごく一般的な、大して確固とした目的も無く生きている人にスポットを当てた意外な映画であったことが高く評価されたのかもしれません。

本編では最後にまた、ボビーはレイを一人ほったらかし、材木を運ぶトレーラーに突如乗り込み、煙の様に消えてどこかに去って行くことが象徴しているとおり、人生の終着点は無いし、なるようにしかならない、現状が気に入らなければ全部放り投げて、「再び新しい道を探せばいいや」と語り掛けている様で、ちょっと怖いなぁと感じてしまいました。

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