映画『炎の裁き』のあらすじ概要
「ラスト サムライ」などの名匠エドワード・ズウィックが、3人の子どもを殺害した罪で死刑宣告を受けた男と、彼の無実を信じ真相究明のため奔走する女性の姿を、実話に基づいて描いたヒューマンドラマ。
トッドとステイシー夫妻の家で火事が起こり、まだ幼い3人の娘が命を落とします。妻ステイシーは仕事で外出しており、火事発生時に自宅にいた夫トッドが殺人容疑で逮捕されます。貧しい家庭で教育もほとんど受けずに育った犯罪歴を持つトッドに裁判では一方的な不利な証言が相次ぎ、冤罪の可能性があったにも関わらず、死刑判決が下されてしまいます。7年後、獄中のトッドと知り合ったエリザベスは彼の無実を確信し、冤罪の証拠を集めるべく奔走を開始しますが…
2019年製作/129分/アメリカ
原題:Trial by Fire
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映画『炎の裁き』のスタッフとキャストについて
エドワード・ズウィック監督:1952年生まれの彼は、17歳の時に黒澤明監督の『七人の侍』(54)を観て、黒澤映画を1本残らず研究しようと決意したといいます。それが、フィルムメイカーへの道に繋がりました。『ラストサムライ』、『ブラッドダイヤモンド』などがあります。
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ジャック・オコンネル(キャメロン・トッド・ウィリンガム):「THIS IS ENGLAND」で長編映画デビュー。14年に「300 スリーハンドレッド 帝国の進撃」でハリウッド進出を果たし、アンジェリーナ・ジョリー監督第2作は反日映画「Unbroken(原題)」(14)では主演に抜てきされています。
2015年10公開の主演作『名もなき塀の王』で演じた主人公の暴力的な少年エリックが愛を知り、人間として成長していく様子を見事に演じきり、欧米で「新しいスターの誕生」と称され高い評価を獲得。同作品は、世界最大の批評家サイト「ロッテン・トマト」で満足度99%を記録、英国インディペンデント映画賞主演男優賞にノミネートされるなど注目の若手俳優のひとりとなっていました。
ローラ・ダーン(エリザベス・ギルバート):Netflix映画「マリッジ・ストーリー」(19)では、主人公ニコールをサポートする女性弁護士を演じ、アカデミー助演女優賞を受賞しています。
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エミリー・ミード(キャメロンの妻、ステイシー・ウィリンガム):ただ一人法廷で夫を信じ、トッドが子供たち3人を愛しており、殺人の罪を犯す筈が無いと強く主張するが、まったく聞き入れられることはなかった。
映画『炎の裁き』のネタバレ感想・見どころ
【ネタバレ有り】
本編はローラ・ダーンの出演作として見ました。ところが、主演ジャック・オコンネルの演技の素晴らしさにあっという間に引き込まれ、一体全体どうなってしまうのかと結末が大変心配になり、すっかりストーリーに没入してみる事ができました。脚本の素晴らしさにも驚きです。真実に基ずくストーリーとは言え、いくつもの問題がどこにあったのか、明確に示しています。
主人公トッドは、当時のアメリカとしては珍しく専業主夫として3人の幼い娘の世話をしながら家族5人で暮していました。教育レベルもそれ程高くは無く、粗野な性格で夫婦喧嘩はちょっ中絶えず少々荒んだ関係でしたが、3人の娘に対する愛情だけは非常に深いものを感じました。
ところが、突然一家を襲った不審火により家は半焼、トッド一人がどうにか炎が燃え盛る家から脱出しますが、火の勢いと熱さに気が動顛してしまい、彼は娘三人を救い出す事は出来ませんでした。(妻は夜勤の仕事に出ており、不在中)
警察は状況証拠から判断して、父親であるトッドが娘三人を殺したのではないかという嫌疑を掛け、お葬式当日に父親を逮捕します。裁判では、証人より彼に一方的に不利になる内容の証言ばかりが示されます。国選弁護人からはまったく反論すらされていません。唯一妻ステイシーだけが、娘らを深く愛していたトッドが犯人の筈がないと主張しました。しかし、まったく受け入れられる事も無く「死刑」判決が言い渡されてしまいます。
濡れ衣により死刑判決を受け刑務所に入ります。理不尽な極刑に甘んじる事は到底出来ず、精神的にも極度に不安定に陥り、同室者、他受刑者とのいざこざ騒ぎを起こし独房に入れられます。しかし、彼は徐々に平静さを取り戻し、素直に現実を受け入れるように努力している様子が描かれていきます。
ここまでが奈落の底に落とされ、ある程度落ち着きを取り戻すまでの前半部分です。収監されて7年後ようやくローラ・ダーン扮するエリザベスと、獄中ながらも知り合う事が出来、もしかしたら無罪を証明出来るかもしれない期待が少し脹らみます。しかしながら、迫りくる時間はあまりにも残酷です。トッドは遂に死刑執行日の連絡を受ける事になります…ため息の出るような重苦しい結末は情けない気分でいっぱいでした!
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