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おすすめ映画『危険なプロット』(2012/フランソワ・オゾン監督)感想‣スリリングな心理戦を繰り広げるサスペンスタッチのドラマ。

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『危険なプロット』のあらすじと概要

フランソワ・オゾン監督が、文才あふれる少年と彼に翻弄される国語教師が繰り広げる心理戦を描いた作品。かつて作家を目指していた高校教師ジェルマンは、生徒たちの作文を採点している最中、男子生徒クロードが書いた文章に目を留まります。それは、あるクラスメイトとその家族を皮肉につづった作文でした。それは、数学が苦手なクラスメイトのラファに勉強を教えるため、彼の家に行った際に見聞きした家族の様子が細かく書かれていました。

クロードの感情あふれる文章に危うさを感じながらも、その才能にひきつけられたジェルマンは、クロードに小説の書き方を指導していきますが……スペインの戯曲を元に、舞台をフランスの高校に移して映画化。かつて作家を目指していた国語教師のジェルマンが、生徒クロードが友人ラファ一家について書いた作文から文才を見い出していくうちに、クロードとラファ一家の関係が思いもよらぬ方向に展開していきます…

2012年製作/105分/フランス
原題:Dans la maison

『危険なプロット』のスタッフとキャストについて

フランソワ・オゾン監督・脚本:1967年仏・パリ出身の映画監督・脚本家。

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ファブリス・ルキーニ(高校教師ジェルマン):独特の語り口調による朗読においても成功を収めており、ラ・フォンテーヌやニーチェの作品、ルイ=フェルディナン・セリーヌの『夜の果ての夢』などの、小劇場での朗読が主に知られています…

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クリスティン・スコット・トーマス(ジャンヌ、ジェルマンの妻、画廊を運営):「イングリッシュ・ペイシェント」(96)ではアカデミー賞、ゴールデングローブ賞などで主演女優賞にノミネートされた。以降、実力派女優として「モンタナの風に抱かれて」(98)など出演作品多数。

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エマニュエル・セニエ(エステル):14歳からモデルとして活躍、そのミステリアスな美貌から国際的なモデルとなるが、84年に映画女優に転向。その後は、歌手としても活動しています。1989年に映画監督のロマン・ポランスキーと結婚し、子供が2人います。

エルンスト・ウンハウワー(クロード):フランソワ・オゾン監督が“目力”で抜てきした美少年を演じる。撮影当時21歳だったそうですが、元々若く見えるので、16,7歳の高校生役でも違和感はありません。

『危険なプロット』のネタバレ感想・見どころ

高校生のクロードが、同級生ラファに数学を教える為に家を訪れ、彼の家族の様子を作文に赤裸々に綴られていきます。それを読んだクラス担任の教師は妻とふたりで批評し合いながら、徐々に話しに引き込まれていき、次の展開を楽しみにして待っています。教師ジェルマンもかつては作家を目指していたこともあり、授業終了後のふたりで行う作文指導の課外授業にも力が入ることはとても頷けます。

現実のラファ一家の家族の生活、クロードの目を通じて描かれるラファ一家の様子、更にクラス担任ジェルマンと妻との生活が微妙に交わり乍らストーリーが展開して行くところは見事です。途中から架空の出来事も作文の文章の中に描写されるようになります。一方、ラファの美貌の母親エステル(日常生活に不満を抱える様子が描かれています)との関係は現実なのか、あるいは虚構なのか少し曖昧に描かれていきます。ジェルマンの指導の”甲斐”あり、かなり刺激的に描写なっていきます。

数学の問題用紙を盗んだことが明かされ、ジェルマンは教職の地位と愛する妻を失う事になります。これは、現実だろうと思います。但し、全く予期しなかったジェルマンの妻ジャンヌとクロードの関係については、余りにも唐突な展開、常軌を逸した行動なので俄かには信じ難い所もありました…

本作品公開当時一度映画館で見た記憶があり、今回10年振りの視聴となりました。(内容は殆んど覚えていなかったので、新鮮な気持ちで見る事が出来ました…) 終始、何か起りはしないかという”不穏”な気持ちに満ちたサスペンス的な映画です。高校生の男子の気持ちになって、鍵穴から他人の家庭を覗き見る様な気分になることは間違いありません(わたしにはそんな趣味は全くありませんが…)

でも、クロードの様な青年が将来大物小説家になったら、ちょっとゾッとします…

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