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おすすめ映画|『あなたの名前を呼べたなら』(2018/インド女性監督ロヘナ・ゲラの長編デビュー作)

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映画『あなたの名前を呼べたなら』の作品情報

Anand BhattによるPixabayからの画像

監督や脚本家としてヨーロッパでも活躍するムンバイ出身の女性監督ロヘナ・ゲラの長編デビュー作。欧米とインドの両方に見識を持つ監督が、差別が残るインド社会に変革を起こしたいという熱い情熱で作り上げた作品。

世界有数の商業都市ムンバイの高級マンションが舞台。インドの農村出身のラトナ(ティロタマ・ショーム)はファッションデザイナーを夢見ながら、メイドとして働いていた。結婚後数カ月で夫を病死で亡くし、わずか19歳で未亡人となったラトナは大都会ムンバイに出てきて、建設会社の御曹司アシュヴィン(ビベーク・ゴーンバル)の新婚家庭で住み込みで働く予定だった。しかし、婚約者の浮気が発覚して直前で破談となってしまい、広すぎる高級マンションに1人で暮らすことになった傷心のアシュヴィンを気遣いながら、ラトナは彼の身の回りの世話をしていた。

ある日、ラトナはアシュヴィンにあるお願いごとをする。そのことから2人の距離が徐々に近くなってい。主人公・ラトナ役を「モンスーン・ウェディング」のティロタマ・ショーム、御曹司のアシュヴィン役を「裁き」のビベーク・ゴーンバルがそれぞれ演じる。

なお、貧富の差、身分の差、人種差別、階級の差など最近の映画でこれらをテーマにした映画が非常に多いように思われます。従来から取り上げられていたテーマだと思いますが、やはり一向に改善されていないのでしょうか? 最近見た映画の記事を参考までに添付します。

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映画『あなたの名前を呼べたなら』のネタバレあらすじ

Kiran HaniaによるPixabayからの画像

インド映画には大変珍しく、華やかな結婚式の音楽、踊りなどの喧騒は一切映像には出てこない。結婚式当日に破断となり傷心の御曹司アシュヴィンと若いメイドのラトナと”ご主人様”との奇妙な共同生活が始まるが、ストーリーの淡々とした描かれ、ファッションデザイナーを夢見るラトナが仕立て屋で勉強したり、学校に通ったり、或は学費を仕送りしている妹が卒業を待たずに、結婚して都会に出てくるという話以外事件らしいものは無い。

アシュヴィンとラトナの性格が極めて温厚で素直な点が共感が持てる。ふたりはこの奇妙な共同生活(主従関係ではあるが)の中からいつの間にか恋心が芽生える。しかし、インドという格差社会、貧富の差、古い因習の残る世界で、身分や育ちの全く異なる二人は幸せを迎えることが出来るのだろうか?

最終的にはアシュヴィンは再度渡米することになり、メイドを辞めたラトナはファッションデザイナーとしての一歩を進み始めたところで、映画は終了となるが、いつまでその後二人はどうなるのか、余韻を残した終わり方の中から少しの希望が持てそうだ。

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映画『あなたの名前を呼べたなら』の見どころ

D MzによるPixabayからの画像

映画を見た後に知ったことだが、本作品のストリー展開はインドでは絶対あり得ないタブーであるとの事です。『これが単純な恋愛映画でないことは明らかだ。富裕層と貧困層の間には厳然たる壁があり、インドでは未亡人に恋愛、再婚などの自由は許されないという。』常識的には考えられない古い「慣習」が当然の如く残されている。

『カーストによる差別は法律で禁じられているものの、そもそもの考え方は、現世で徳を積み上位カーストに生まれ変わる、というもの。すなわち現世での下剋上はあり得ないという発想なのだ。それ程インド社会は古い因習に縛られている。それでも夢に向かって努力するラトナの姿は挑戦そのものであり、その姿を描くことこそが、この女性監督の挑戦であり、少しでも社会を変えたいという切実な思いなのだ。』

女性監督ロヘナ・ゲラの挑戦は古いインド社会に対する勇気ある挑戦ではなかろうか。また、古い因習の色濃く残されるインドで、映画だから特別という事は無いと思いますが、タブーに反する映画も問題無く公開は許されるということも驚きだ。表現の自由は守られているのだろう。

目を他の視点に向けてみると、屋上からムンバイ市内を一望するシーンやオフィスの窓ガラスから市内を眺望するシーンなど現代的な非常に美しい街の風景に見とれてしまう。更に、ラトナを始め、出演者らの着る衣装、お店や室内の内装色なども色とりどり見ていて気持ちの良い映画となっているのも見どころ。

また、主人公ラトナが性格は控えめをかもしだしてはいるものの、”ご主人様”であろうと誰だろうと相手の目をしっかり見つめ、自己主張をする様は男もたじたじである。伝統文化というしがらみの中で生きていく女性の芯の強さを象徴している存在下の様に見えた。

エンドロールが始まった最後の歌で「生きてみよう…失うものは何もないから…」という歌詞があった。この歌に勇気づけられる人も多いと思われる。

まとめ

ラトナの携帯にアシュヴィンから電話が入ります。アシュヴィン「ラトナ…」長い、長い間の後、ラトナ「アシュヴィン…」で、映画は終わります。ずっとラトナは「ご主人様」と呼んでいたので、名前で呼ぶ変化は心が盛り上がった証なのでしょう…この辺の感情の変化は女性でないと分からないかも知れませんね…

頗る平坦なシーンの連続で、少し盛り上がりの欠けるきらいはありますが、本作品はインドの古い因習の残る社会に一石を投じる役目を果たした事は確実です。

わたしの評価は89点です。

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