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おすすめ映画|『アマンダと僕』(2017/仏 ミカエル・アース監督)

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アマンダと僕 のあらすじと概要

舞台はパリ。主人公ダヴィッドは町の便利屋アルバイトとして働く24歳の成年とその姪の少女アマンダ7歳。ある日突然無差別テロ事件の悲劇で肉親を失った青年と少女の絆を描き、2018年・第31回東京国際映画祭で最高賞の東京グランプリと最優秀脚本賞をダブル受賞したフランス製のヒューマンドラマ。

パリに暮らす青年ダヴィッドは、恋人レナと穏やかで幸せな日々を送っていたが、ある日、突然の悲劇で姉であり、アマンダの母親サンドリーヌが帰らぬ人になってしまう。サンドリーヌには7歳の娘アマンダがおり、残されたアマンダの面倒をサドリーヌの弟ダヴィッドが見ることになる。

姉弟仲良しだった姉を亡くした悲しみに加え、7歳の少女の親代わりという重荷を背負ったダヴィッド。一方の幼いアマンダも、まだ母親の死を受け入れることができずにいた。本作品は母親亡き後、悲しみの中、心の傷が癒えぬながらも仕事や学校など日常生活に戻らなければならない、二人の生活を淡々と描いている。母がいなくなった悲しみ、憤りを正直に曝け出す場面も時にはあるが、直ぐに気分を変えまた前向きに生きる姿が意地らしく非常に健気。

それぞれに深い悲しみを抱える2人だったが、ともに暮らしていくうちに、周囲の温かい目にも勇気づけられて、次第にふたりが深い絆に育まれていくストーリー。

監督・脚本はこれが長編3作目のミカエル・アース。主人公ダヴィッド役はフランスの若手俳優バンサン・ラコスト。アマンダ役はアース監督が見いだした新人イゾール・ミュルトリエ

なお、パリを舞台とする最近見た映画一覧はこちら(ご参考)

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アマンダと僕 ネタバレ感想

ストーリーとテーマについて

ある日突然イスラム系のテロリストの銃撃事件で愛する母親や肉親を失うという事が現実として起きるのがパリなのか。この出来事には少し唖然したが、これがテロと向き合っている現実の世界とすれば.、余りに悲しい。

7歳の少女が大好きだった母親(シングルマザー)を失くすという事実は想像もできない。弟のダヴィッドとしても仲良かった姉は亡くし上、突然姪の生活の面倒を見るという重い負担がのし掛かる。一時は施設に送ることも解決手段と考えていたのかもしれない。

重いテーマのストーリーではあるが、ダヴィッドの前向きな生き方とアマンダの時々は涙を浮かべるものの周囲の人々に見守られながら生きるシーンにほっとする。

また、季節のせいか画面が非常に光が多く明るいし、部屋も白一色の壁色が効果的に使用されていた。

ダヴィッドのおばさんの家には大きなウサギのペットがいて、これも真っ白いウサギだ。このペットもアマンダの心を癒すには良い効果がありるのかもしれないが、ペットにしてはバカでかい。それにレコード屋に変な名前のオウムなどもいて効果的に使われている。

ダヴィッドの恋人ルナは事件後ダヴィッドがアマンダと生活するようになると、何故かこんな生活には耐えられないと言い残し、パリから田舎町に戻ってしまう。連絡はその後も度だ得ることなく続くものの、なぜダヴィッドの側を離れてしまったのかよく理解ところではある。

学校への送り迎え、一緒に自転車を漕いだり(パリの街中で車道のど真ん中を堂々と漕ぐシーンは本当に多かった)、ドッジボールをやったり、本当に日常的でありきたりの行動シーンの連続を見せられているだけなのに、観衆は誰もが皆ふたりの生活を応援しているところがこの映画の魅力といえる。

監督も自ら語っていますが、『日常の細部を克明に描くことで、人々に本当の悲しさ、恐ろしさを伝えようと思いました。身近な人が残した何げないオブジェにこそ悲しみは宿るんだと思います。また青年が一方的に少女を支えるのではなく、逆に少女に励まされる中で、ほんのりと明かりが見えてくる。そんな風に描きたかったんです』この感じは本当によく表現されています。

最後のロンドン・ウィンブルドンでのテニスの試合(生きていたら母親と三人で行く予定でした)で選手が0-3で負けていると涙ぐんでしまうアマンダ、逆転すると大喜びではしゃぐアマンダ、快活で明るい笑顔を見ると応援したくなります。多くの方も評価されている通り7歳アマンダの無類の笑顔にはこちらが癒されます。本当はこの子には不幸が一番似合わないと思いました。

ダヴィッドとアマンダが住むパリ11区の街の日常風景も見どころのひとつ。但し、ここで2015年パリで起きた同時多発テロ事件が起き、本作品のひとつのモチーフになっているとのこと。

キャラクターとキャストについて

監督・脚本ミカエル・アース:ミカエル・アース 1975年、パリ生まれ。子供時代から映画が大好きだったが、大学では経済学を専攻していた。ダメもとで受けた映画学校FEMIS(国立映画学校)に合格して転校。短編「Charell」(06年)がカンヌ映画祭批評家週間に選出。「Memory Lane」(10年)で長編デビュー、ロカルノ映画祭ワールド・プレミアで上映された。本作品「アマンダと僕」は長編3作目。

 

バンサン・ラコスト(ダヴィッド)1993年パリ生まれテロ事件や親しい人を亡くすといった重いテーマを、光が輝いているかのように描くところが魅力的であったと自ら本作品を語っています。

新人イゾール・ミュルトリエ :オーディションで100人以上の少女の中から選ばれた、演技経験のない素人の女の子。

日テレドラマ

まとめ

ある日、アマンダはある本のタイトルが気になり母に尋ねます。「Elvis has left the building(エルヴィスは建物を出た)」ってどういう意味?

「この言葉は英語の慣用句で、もとはエルヴィス・プレスリーのコンサートで、終わっても帰らない観客に向かって言われた言葉なの。「どうしようもないこと」「おしまい」という意味で使われるのよ」。

というシーンがありますが、これが最後の最後ウィンブルドンで観戦している時、アマンダの口から出てくるセリフなんですね…

監督は音楽、特にエルビス・プレスリーが好きなようです。

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