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おすすめ本『内戦と和平 現代戦争をどう終わらせるか』東大作著(中公新書)  

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おすすめ本の紹介
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なぜ、「内戦と和平」を読んだのか?

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本書は毎日新聞土曜版の書評欄に紹介されていた為、書店で買い求めて読んだものです。最近はコロナウイルスの世界的な感染で、平和に過ごすことがどれだけ重要な事なのかをしみじみ実感しています。世界には戦争は未だに続いています。本書で改めて知ったことですが、現在の戦争は一国内で行われる「内戦」がほとんどであることが分かりました。イラク、シリア、アフリカ諸国で内戦が行われている報道とは接してはいるものの、内情はどうなっているのか、また、自衛隊がPKO派遣されている事実も聞いてはいるものの、どのような意義があるのか正直良く理解していませんでした。

本書「内戦と和平」では、具体的な内戦を取り上げ、一つ一つ非常に詳しく語られています。紛争の原因、調停方法、停戦が合意されその最終結果等々説明されています。また、国連の役割、更に日本の貢献、将来的な世界平和に向けて日本が今後出来ること、日本に期待されることなどを取りまとめており、その意見は非常に参考になりました。

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「内戦と和平」を読んだ概略・感想

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人類の不治の病と言われる戦争。現在、そのほとんど95%以上が国家間の紛争ではなく凄惨な内戦であるという。2018年に行われた世界の軍事紛争は52件、国家間の紛争はわずか2件で、残りはすべて内戦だったそうだ。本書ではシリア、イラク、アフガニスタン、南スーダンなど二十一世紀以降の内戦を例に、具体的に発生理由から拡大、国連や周辺国の介入の失敗、苦難の末に結ばれたはずの和平合意の破綻、再構築といった過程等を分かり易く分析・解説しています。

著者は、NHKでテレビ局の報道ディレクター退職後、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学で博士号取得、国連日本政府代表部公使参事官を経、そして研究者として一貫して和平調停に関わってきたことから、数多く現地で情報収集されており、本書は、実際現場の第一線で和平構築に活躍されて来られた貴重な経験に基づく、詳細な現地報告書となっています。

内戦終結に向けての、近隣諸国や大国の対応、国連の機能及びその限界、国連と大国の思惑などが非常に良く説明されており、毎日、新聞やTVで放送される断片的なニュースでははっきり分からなかった事や、一体どうなっているんだ、という疑問について理解することが出来る解説書です。

南スーダンの内戦については、2011年スーダンより南スーダンが独立したものの、キール大統領とマチャール第一副大統領の対立により、2013年に内戦が勃発、2018年に和平合意がなされるまでに200万人が国外に難民化となり、220万人が国内難民となっていました。

南スーダンでは、「平和構築」の初期の段階で、キール大統領とマチュール副大統領の共存に失敗し、包摂的政治プロセスが破綻し、内戦に陥ったと分析しています。

一方、アフガニスタンは、新国家作りの初期段階でタリバン勢力を排除したことが大きな失敗であったと分析しています。

シリアにおいては、三代にわたる国連シリア特使が、懸命な和平調停を行ったものの、グローバルな大国と周辺諸国が、シリアの内部の紛争当事者への軍事的・財政的支援を続けて、内戦の拡大し、典型的な「国連の濫用」という事態になったという。

また、イラクについても、グローバルな大国である米国が、当初国家再建の主導権を握り、国連に政治的な役割を与えずに、その正当性だけを利用しようとしたが、米軍の撤退後、内戦がさらに拡大する状況に陥ったなど、紛争の原因、調停の内実、失敗/成功の状況など詳細の分析がされています。

世間の一般的な意見はどんなものがある

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読者の書評を引用させて頂きました。

シンプルだが重いタイトルである。そして、その重さに違わぬ内容であった。全ての紛争が話し合いで解決できるかと言えば難しいかもしれない。それでも、幾つかの成功例がある以上、無駄な血を流さずに平和な世の中になって欲しい。私は明日銃で撃たれるかもしれないという心配をしないで今夜は何を食べようか、次はどの本を読もうか、来週はどの映画を見ようか、そんな呑気な日々を送っている。紛争地域の当事者たちにも平和になればそれが味わえるということを分かって欲しい。先に読んだ「南スーダンに平和をつくる」と併せて読むのがお勧めである

調停役としての国連の有用性が論じられており、国連無要説が唱えられている今こそ読まれるべき本だと思った。また「国連の濫用」ということばで有力な国々が批判されている。国連を政治的に利用しながらもう片方の手で内戦の当事国を殴りつけるような真似をしている国の多さを思う。

同じ作者のおすすめの本はあるのか?

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未だいずれも読んでいませんが、以下の既刊書がありますので、読んでみたいと思います。

『人間の安全保障と平和構築』 (日本評論社 2017)
『平和構築 アフガン、東ティモールの現場から』 (岩波新書 2009)
『犯罪被害者の声が聞こえますか』 (講談社 2006 のち新潮文庫 2008)
『我々はなぜ戦争をしたのか 米国・ベトナム敵との対話』(岩波書店 2000 のち平凡社ライブラリー2010)
『縛らぬ介護』(葦書房 2001) など。

最後に

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本書を読んで改めて感じた事は繰り返しになりますが、やはり、遠い他国の内戦のことだから日本には関係の無い事と無関心ではいられないという事を感じました。現在正に自衛隊PKO部隊を派遣して、国際協力している意義を国民一人一人が良く理解しなければならないと思いました。(良く知らなかったのはわたしだけだったかもしれませんが...)

また、本書の後半で国連には三つの国連があるという説明がありました。①193の国連加盟国による「国連」 ②「国連事務局」や「国連機関」「国連PKOミッション」など ③国連の活動について調査、研究、提言し、その活動に貢献するNGOや、研究者、学者、シンクタンクなど。これを三つの国連を明確に区別して「国連」を考えた方が良いと指摘されています。

また、現在PKO国連スタッフは計10万人近く展開しており、国連は世界最大の軍事組織を抱えているという話に驚きました。

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